サジェスト対策

サジェストアルゴリズムとは?2026年の仕組みと対策

記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司

「自社名を検索窓に入れると、変な言葉が一緒に出てくるのですが、あれは誰が決めているのでしょうか」。中小企業の経営者の方から、いちばん多くいただくご質問のひとつです。

検索窓に文字を入れたときに候補が並ぶ機能を、一般にサジェストと呼びます。Googleでの正式名称はオートコンプリートです。この候補を選び出しているのがサジェストアルゴリズムです。

この1年で、この分野は大きく動きました。2025年4月1日に情報流通プラットフォーム対処法が施行され、削除申出への対応期限が法律で定められました。2026年にはGoogleの検索ボックス自体がAI化し、サジェストの見え方も変わってきています。

この記事では、サジェストアルゴリズムの仕組みをGoogleの公式説明にもとづいて整理したうえで、2026年時点で中小企業が知っておくべき対処法とキーワード活用法を、順を追って解説します。専門用語はそのつど説明しますので、Webの担当が本業でない方もそのままお読みいただけます。

目次

サジェストアルゴリズムとは何か

サジェストの候補を左右する言語・時間・場所を表したアイコン

検索窓の候補を決めている仕組みのこと

サジェストアルゴリズムとは、検索窓に入力された文字列に対して、どの候補をどの順番で表示するかを決めている計算の仕組みのことです。

アルゴリズムという言葉は難しく聞こえますが、要は「決まった手順で答えを出す仕組み」という意味です。人が一件ずつ選んでいるわけではなく、機械が自動で選んでいる、と理解していただければ十分です。

候補が出る速さにも意味があります。1文字入力するたびに候補が入れ替わるため、システムは数十ミリ秒で答えを返す必要があります。この速度の制約が、後で説明する仕組みの形を決めています。

なお、日本ではサジェストという呼び方が定着していますが、これは和製の用法です。Googleの公式ドキュメントではオートコンプリート(Autocomplete)と表記されています。

なぜ中小企業にとって重要なのか

サジェストは、検索する人が最初に目にする情報です。会社名を入力した瞬間に「◯◯株式会社 評判」「◯◯株式会社 やばい」といった候補が並べば、それだけで印象が決まってしまいます。

実際に検索結果を見る前の段階で、判断の材料が与えられてしまうわけです。サジェストは、企業にとって「検索結果よりも手前にある看板」です。

採用の場面ではさらに影響が出ます。求人に応募しようとした方が社名を検索し、ネガティブな候補を見て応募をやめる。こうした話は、筆者が実際にご相談を受ける中でも珍しくありません。

逆に言えば、サジェストは無料で使える市場調査の道具でもあります。自社の商品名と一緒に何が入力されているかを見れば、お客様が何を気にしているかがそのまま分かります。

サジェスト・関連キーワード・トレンドの違い

よく混同される3つを整理しておきます。まずサジェストは、検索窓に入力している最中に出る候補です。入力を確定する前の段階に出ます。

次に関連キーワードは、検索結果ページの下部に出る「他の人はこちらも検索」などの一覧です。こちらは検索を実行したあとに出ます。仕組みも別物です。

3つ目のGoogleトレンドは、検索の人気度を時系列で比べるための調査ツールです。Googleは公式に、オートコンプリートは単に検索数の多い順に並べているわけではないため、Googleトレンドと比較すべきではない、と説明しています。

この違いを押さえておかないと、対策の打ち方を間違えます。サジェストに出る言葉と、検索数が多い言葉は、必ずしも一致しません。

サジェストは「事実の主張」ではない

ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。Googleは公式ドキュメントで、予測候補は事実や意見の主張ではない、と明記しています。

ただし同時に、場合によってはそのように受け取られることがある、とも認めています。だからこそ、問題のある候補を取り除く仕組みを用意している、という説明の流れになっています。

企業側からすれば、「事実の主張ではない」と言われても困る、というのが本音でしょう。見た人がそう受け取る以上、実害は発生します。この点は後半の対処法の章で詳しく扱います。

候補は何件まで表示されるのか

表示される候補の件数は固定ではありません。パソコンとスマートフォンで違いますし、同じ端末でも入力した文字数によって変わります。

一般に、文字数が少ないうちは幅広い候補が出て、文字を足していくほど絞り込まれていきます。会社名のように文字数の多い語では、候補が数件しか出ないこともあります。

件数が少ないということは、1件あたりの重みが大きいということです。中小企業の社名で表示される候補が3件しかないなら、そのうち1件がネガティブな語であるだけで印象は大きく変わります。

確認するときは、社名を最後まで入力した状態だけでなく、途中まで入力した状態でも見てください。入力の途中で出る候補のほうが、目に触れる回数は多いからです。

Googleが公式に説明している仕組み

Googleのオートコンプリートが検索データから候補を選ぶ仕組みのイメージ

候補のもとは「実際に行われた検索」

Googleの公式ヘルプによると、オートコンプリートの予測候補は、Googleで実際に行われた検索を反映したものです。誰かが作った辞書から出しているわけではありません。

入力された文字列に一致する、よく検索されている語を探して表示する。これが土台の考え方です。ここまでは想像どおりだと思います。

加えてGoogleは、完全な検索語の予測だけでなく、実際の検索とウェブ上に見られる語のパターンの両方をもとに、単語や語句単位の予測も行うことがある、と説明しています。

Googleが挙げている4つの考慮要素

Googleは、どの候補を出すかを決める際に考慮しているものとして、次の4つを公式に挙げています。ここは実務でも重要な部分です。

1つ目は検索語の言語です。日本語で入力しているのか、英語で入力しているのかによって候補が変わります。

2つ目は検索が行われている場所です。3つ目はその検索語への関心の高まり、つまりトレンドです。そして4つ目が、その人の過去の検索です。

場所と過去の検索が入っているため、あなたが見ているサジェストと、他人が見ているサジェストは違います。ここを理解していないと、対策の効果測定を誤ります。

ログインしている人には追加の機能が出る

Googleアカウントにログインしている場合、さらに2つの要素が加わります。過去の検索履歴と、Google上での行動にもとづくパーソナライズされた予測です。

つまり、社内で「うちの会社名でこんな候補が出た」と話題になったとき、それが自分だけに見えているものである可能性があります。過去に自分でその言葉を検索していれば、なおさらです。

確認するときは、シークレットウィンドウ(Chromeの場合は「シークレット ウィンドウを開く」)を使ってください。ログイン状態と履歴の影響を外した状態で見られます。

ただし、それでも場所の影響は残ります。完全に他人と同じ画面を見ることはできない、という前提で判断してください。

Yahoo!・Bingとの違い

日本でよく使われる他の検索エンジンについても触れておきます。Yahoo! JAPANの検索は、検索結果についてはGoogleの技術を利用していますが、サジェストは独自のものです。

そのため、Googleでは出ない候補がYahoo!では出る、という状況が普通に起こります。削除の申請窓口も別々です。片方だけ対処して安心しないでください。

MicrosoftのBingも独自の仕組みを持っています。BingはWindowsの標準ブラウザであるEdgeの既定の検索エンジンであるため、法人利用の場面では意外と目に触れます。

さらに、ブラウザのアドレスバーに直接入力した場合も候補が出ます。この候補はブラウザ側の履歴とブックマーク、そして既定の検索エンジンの候補が混ざったものです。

つまり「検索窓に入れたときの候補」と「アドレスバーに入れたときの候補」は、出どころが違います。社内で確認するときは、どちらで見たのかも記録しておくと混乱を防げます。

2026年に変わったこと|AI検索とサジェスト

AI化した検索ボックスのイメージ

検索ボックス自体がAI化した

2026年5月のGoogle I/Oで、Googleは検索ボックスを刷新すると発表しました。AIによる入力補助や、画像・ファイルからの切り替えができる作りに変わり、同年5月19日から順次展開されています。

従来のサジェストが「過去に検索された語をそのまま出す」ものだったのに対し、AIによる補助は「入力途中の意図をくみ取って言い換える」方向に寄っています。両者は併存しています。

実務上の意味は1つです。検索窓に出るものが、必ずしも「誰かが実際に検索した語」だけではなくなりつつあります。

ただし、2026年8月時点で、日本の一般的な検索画面では従来型のサジェストが主役です。会社名を入れて出てくる候補の多くは、依然として実際の検索にもとづくものだと考えて差し支えありません。

AIモードの普及で入力の仕方が変わってきた

GoogleのAIモードは日本を含む多くの国で使えるようになり、利用者が大きく増えています。AIモードでは、単語ではなく文章で質問を投げる使い方が中心になります。

文章で入力する場面が増えると、短い単語の組み合わせを前提としたサジェストの出番は相対的に減ります。この流れは、今後数年かけてゆっくり進むと見られます。

とはいえ、会社名や商品名のような固有名詞は、これからも単語で入力されます。指名検索の場面ではサジェストの重要性は下がりません。むしろ、AIの回答に出てくる情報の裏取りとして名前を検索する動きが増える可能性もあります。

2025年4月、法律が変わった

企業にとって最も大きな変化は、法律の側で起きました。2025年4月1日、情報流通プラットフォーム対処法が施行されています。

これは、それまでのプロバイダ責任制限法を改正したものです。大規模なプラットフォーム事業者に対し、削除の申出への対応を早めることと、削除の基準を定めて公表することを義務づけました。

対応期限も定められました。削除の申出を受けた日から、総務省令で定める期間内に、判断の結果を申出者へ通知しなければなりません。この期間は原則7日とされています。

ただし、この法律が具体的にどの事業者のどの機能まで及ぶか、個別のサジェスト候補が権利侵害にあたるかどうかは、法的な判断が必要な領域です。実際に申立てを行う場合は、弁護士など専門家にご相談ください。

この1年で対策の前提はどう変わったか

整理すると、変化は3つです。1つ、削除申出への回答が制度として早くなりました。放置されて終わり、という状況は以前より減っています。

2つ、削除の基準が公表されるようになりました。何が削除の対象になるのかを事前に読めるようになったということです。

3つ、検索の入口がAIに寄り始めました。サジェストだけを見ていればよい時代から、AIの回答に自社がどう書かれるかまで見る時代へ移りつつあります。

AIの回答とサジェストは別々に確認する

実務上のおすすめは、確認作業を2本立てにすることです。1本目はこれまでどおり、検索窓に社名を入れて候補を見る作業です。

2本目は、AIモードや生成AIに「◯◯株式会社について教えて」と尋ねてみる作業です。そこで返ってくる説明が、いま自社に対して世の中が持っている見方の要約になります。

この2つは連動しません。サジェストがきれいでも、AIの説明が古い情報のままということはよくあります。逆に、AIは正しく説明するのにサジェストだけが荒れている場合もあります。

AIの説明が古い場合の直し方は、サジェストとはまったく違います。自社サイトに正しい情報を分かりやすく書き、それがAIに読まれる状態を作る、という遠回りな手順になります。

どちらも定期的に見る、というのが2026年時点での現実的な運用です。月に1回、決まった日に確認する程度で十分です。

Googleが表示しない予測|公式ポリシー

ポリシーに反する予測が取り除かれる様子を表したろうとのイメージ

ネガティブな候補への対処を考えるうえで、Googleがどんな候補を出さないと決めているのかを知っておくことは、そのまま武器になります。ここは公式ヘルプの記述にもとづいて整理します。

まず自動のシステムが除いている

Googleによれば、オートコンプリートには、有用でない予測やポリシーに違反する予測が出ないようにするためのシステムが備わっています。

そのシステムが探しているのは、暴力的、性的に露骨、憎悪的、中傷的、危険な予測、またはそうした内容につながる予測です。ニュース直後の未確認の噂のように、信頼できる内容にたどり着きにくい予測も対象に含まれます。

自動のシステムで拾いきれなかったものは、Googleの担当チームが人手で削除する、という二段構えです。削除の際は、その予測と、それに近い変形も一緒に取り除くと説明されています。

検索全体のコンテンツポリシー7分野

オートコンプリートには、Google検索全体のポリシーが適用されます。公式ヘルプでは次の7分野が挙げられています。

危険なコンテンツ、嫌がらせにあたるコンテンツ、憎悪的なコンテンツ、性的に露骨なコンテンツ、テロリストのコンテンツ、暴力と流血、下品な言葉と冒とく。この7つです。

企業のサジェスト被害でよく問題になるのは、このうち「嫌がらせ」に近い領域です。ただし、単に評判が悪いだけの言葉は、この7分野には直接あてはまりません。

オートコンプリート固有の4つのポリシー

さらに、オートコンプリートだけに適用される固有のポリシーが4つあります。実務ではこちらのほうが効きます。

1つ目は選挙関連の予測です。政治的な人物や政党への賛否と受け取れる予測、選挙過程への参加や公正性についての主張は許可されません。

2つ目は健康関連の予測です。医学的に危険な主張につながる予測は許可されません。3つ目が、企業対策で最も重要な項目です。

3つ目は「名前が挙げられた個人に関連づけられた、中傷的または機微な語」です。嫌がらせ・いじめ・脅迫・不適切な性的表現に関わる予測や、嫌がらせ・なりすまし・金銭的詐欺につながる形で私的情報や機微情報をさらす予測が対象とされています。

4つ目は「重大な悪意ある行為」です。十分に確立された証拠や専門家の裏づけがないまま、個人や団体が重大な悪意ある行為をしたと非難していると解釈できる予測は許可されません。

例外が認められる場合もある

Googleは、これらのポリシーに例外を設けることがある、とも書いています。芸術・教育・歴史・記録・科学に関する文脈がある場合や、社会・政治・文化・経済に関する時事の理解と参加に資する内容の場合です。

つまり、報道されている事実に関する予測は残る可能性が高い、ということです。実際に不祥事が報じられた企業について、その語が残り続けるのはこのためです。

ここは正直にお伝えします。事実として報じられた内容に由来する候補を消すことは、基本的にできません。その場合の打ち手は削除ではなく、正しい情報の発信量を増やす方向になります。

サジェスト汚染はなぜ起きるのか

企業に対するサジェスト汚染が広がる様子のイメージ

サジェスト汚染の定義

サジェスト汚染とは、企業名や個人名を入力したときに、事実と異なる、あるいは不利益をもたらす言葉が候補として並んでしまう状態のことです。

「詐欺」「ブラック」「やばい」「潰れる」「訴訟」といった語が典型例です。企業側に落ち度がなくても発生することがあります。

被害の性質は風評被害と同じです。ただし、通常の風評被害と違い、検索結果を開く前の段階で目に入るため、影響の速さが違います。

発生の3つのパターン

1つ目は、実際に多くの人がその組み合わせで検索したパターンです。掲示板やSNSで話題になり、それを見た人が検索する。この流れが一定量を超えると候補に出ます。

2つ目は、同名・類似名の別会社や別人物の話題が混ざったパターンです。社名が一般的な単語の組み合わせだと起こりやすくなります。

3つ目は、意図的に検索回数を積み上げられたパターンです。悪質な業者や個人が、機械的に特定の組み合わせを検索することで候補に押し上げる手口が存在します。

どのパターンかによって、取るべき手が変わります。まず原因を見極めることが最初の作業です。

なぜ「一度出ると消えにくい」のか

候補に出ると、それを見た人がクリックします。クリックされればその検索が実行され、検索回数がさらに増えます。この循環が働くため、いったん出た候補は自力で残り続けやすくなります。

話題そのものが古くなっても、候補が残っているかぎり新しい検索が発生し続けます。これが「もう誰も話題にしていないのに候補だけ残る」現象の正体です。

だからこそ、放置は得策ではありません。時間が解決してくれる、という前提で構えていると、数年単位で残ることがあります。

もう1つ、検索する人の心理も働きます。候補に「詐欺」と出ていれば、本当かどうか確かめたくなるのが自然です。確かめるためにその候補をクリックする。これも循環を強めます。

この構造上、候補の内容が事実かどうかは、残りやすさにあまり関係しません。事実無根でも残るということです。ここが企業にとって理不尽に感じられる点だと思います。

自社の状況を正しく把握する手順

まず、シークレットウィンドウでGoogle・Yahoo!・Bingの3つを開き、社名を入力して出る候補をすべて記録してください。日付も残します。

次に、社名だけでなく、社名+サービス名、代表者名、店舗名でも同じ確認をします。被害は思わぬところに出ていることがあります。

スマートフォンでも確認してください。パソコンとスマートフォンで候補が違うことは珍しくありません。表示される件数も端末によって変わります。

記録は画面の写真で残すのが確実です。あとで削除申請や相談をするときに、いつからその状態だったかを示す資料になります。

業種によって出やすい言葉が違う

ご相談を受けていて感じるのは、業種ごとに出やすい言葉の傾向があることです。あらかじめ知っておくと、確認の効率が上がります。

建設・リフォーム系では「手抜き」「追加請求」「トラブル」といった語が出やすい傾向があります。契約金額が大きく、工事後に不満が表面化しやすい業種だからです。

人材・派遣系では「ブラック」「離職率」「やめとけ」が典型です。求職者が事前に調べる行動が定着しているため、検索数が積み上がりやすくなります。

飲食・小売では「まずい」「対応が悪い」など、体験に紐づく語が出ます。クチコミサイトやSNSでの投稿が引き金になることが多い分野です。

医療・法律・金融のように、専門的な判断が関わる分野では、より慎重な扱いが必要になります。候補の内容によっては、対応の前に弁護士など専門家にご相談ください。

ネガティブサジェストへの対処|2026年の手順

ネガティブサジェストへの対処4手順を表した階段のイメージ

手順1:Googleの報告フォームから申告する

最も手軽な方法は、検索窓の候補の下に出る「不適切な検索候補を報告」から申告することです。費用はかかりません。

申告のときに大切なのは、前章で見たポリシーのどれに当てはまるかを意識することです。単に「気に入らない」では通りません。

企業名の場合、狙い目は「重大な悪意ある行為の非難にあたり、裏づけとなる証拠がない」という筋道です。事実無根であることを説明できるかどうかが分かれ目になります。

Googleは削除の可否や期間を約束していません。当社としても、削除できると確約することはできません。まずは通る筋道で申告してみる、という位置づけで取り組んでください。

手順2:法的な削除申出を検討する

報告フォームで動かない場合、法的な削除申出という道があります。2025年4月の法改正以降、大規模なプラットフォーム事業者には申出への対応義務があります。

申出を受けた事業者は、総務省令で定める期間内(原則7日)に、判断の結果を申出者へ通知する必要があります。以前のように、いつまでも返事が来ないという状況は減りました。

ただし、これは「通知が来る」ことの保証であって、「削除される」ことの保証ではありません。ここは混同しないでください。

権利侵害にあたるかどうかの判断や、申出書の作成には法的な知識が要ります。この段階に進むときは、弁護士など専門家にご相談ください。

手順3:ポジティブな候補を育てる

削除が難しい場合の現実的な打ち手が、こちらです。ネガティブな候補を消すのではなく、別の候補を押し上げて相対的に目立たなくする考え方です。

「社名+採用」「社名+施工事例」「社名+料金」など、自社にとって有利で、かつ実際に検索されそうな組み合わせを設計します。そのうえで、その組み合わせで検索したくなる導線を用意します。

具体的には、名刺・チラシ・看板・メールの署名に「◯◯株式会社 施工事例で検索」と書く方法が使えます。地道ですが、実際に人が検索するので効きます。

機械で検索回数を積み上げる手法は、Googleのスパムポリシーに触れる可能性があるため推奨しません。実際の人の検索を増やす設計にしてください。

手順4:専門業者に依頼する場合の注意点

自社での対応が難しい場合、サジェスト対策の専門業者に依頼する選択肢があります。その際に確認していただきたい点を挙げます。

1つ、どのような手法で対応するのかを説明できるか。手法を一切明かさない業者は避けたほうが無難です。

2つ、「必ず消えます」と断言していないか。前章のとおり、削除はGoogle側の判断です。確約する説明には無理があります。

3つ、料金体系が明確か。成果報酬型の場合、何をもって成果とするかの定義を必ず書面で確認してください。

4つ目として、契約期間と解約条件も確認してください。効果が出るまでに時間がかかる性質の施策なので、長期契約を求められること自体は不自然ではありません。ただし、途中で状況が変わったときにどうなるかは決めておくべきです。

社内で決めておきたい対応方針

見落とされがちですが、社内のルール作りも大切です。ネガティブな候補を見つけた社員が、勝手に反論を書き込んでしまうと、かえって話題が広がります。

あらかじめ、気づいたら誰に報告するか、対外的な発信は誰が判断するかを決めておいてください。紙1枚で構いません。

また、取引先やお客様から指摘を受けたときの返答も用意しておくと安心です。「事実ではありませんが、検索の仕組み上そうした候補が出ることがあります」と落ち着いて説明できる状態にしておきます。

やってはいけない3つの対応

1つ目は、投稿元へ直接抗議することです。相手が匿名の場合、反応そのものが新しい話題になり、検索が増える結果につながることがあります。

2つ目は、社員や関係者に一斉に検索させることです。短期間に不自然な検索が集中すると、意図した効果が出ないばかりか、スパムとみなされる可能性があります。

3つ目は、何も記録せずに時間だけが過ぎることです。いつからどんな候補が出ていたのかが分からないと、後から相談するときに打ち手が限られます。

この3つを避けるだけでも、状況が悪化する確率はかなり下がります。まずは記録から始めてください。

サジェストをキーワード選定に活かす

集めたサジェストキーワードを仕分ける作業のイメージ

ここからは守りではなく攻めの話です。サジェストは、お金をかけずに顧客の関心を知ることができる情報源でもあります。

サジェストは「実際に入力された言葉」に近い

キーワードツールが出す数値は、多くの場合、広告出稿のためのデータをもとにした推定値です。実際の検索の言い回しとは少しずれることがあります。

その点、サジェストは実際に行われた検索を反映しています。人が本当にどう入力しているかを、そのまま見られるという強みがあります。

たとえば「エアコン 修理」と入力してみると、その後ろに続く候補が出ます。地域名なのか、費用なのか、時間なのか。何が最初に気になるのかがそこに表れています。

この情報は、記事のテーマを決めるときにも、ホームページの見出しを決めるときにも使えます。お客様の言葉で書くための材料が、検索窓の中にあります。

あいうえお・アルファベットで掘る方法

基本のテクニックを1つ紹介します。調べたい語のうしろに「あ」「い」「う」と一文字ずつ足していくと、そのたびに別の候補が出てきます。

「工務店 あ」「工務店 い」「工務店 う」といった具合です。50音すべて、さらにアルファベットのa〜zまで試すと、かなりの数の候補が集まります。

手作業では大変なので、後述するツールを使うのが現実的です。ただし、手で数回やってみると、どういう性質の言葉が集まるのかの感覚がつかめます。

地域名を足す方法も有効です。「リフォーム 栃木」のように地域を入れると、地元の見込み客が実際に何を調べているかが見えてきます。

集めた候補を4つに仕分ける

候補を集めただけでは使えません。仕分けが必要です。おすすめは、次の4つの箱に分ける方法です。

1つ目は「知りたい」の箱。仕組みや相場を調べている段階の言葉です。2つ目は「比べたい」の箱。おすすめ、比較、ランキングなどが入ります。

3つ目は「行きたい・頼みたい」の箱。地域名や「near me」的な言葉、業者名が入ります。4つ目は「不安」の箱。トラブル、失敗、注意点などです。

問い合わせに近いのは3つ目です。ただし競合も狙っています。差がつきやすいのは4つ目の「不安」で、ここは丁寧に答えるほど信頼につながります。

AI検索時代のキーワードの見方

AIによる回答が増えたことで、単語の羅列で検索する場面は減りつつあります。では、サジェストからのキーワード収集は無駄になるのでしょうか。

そうではありません。見方を変えるだけです。集まった候補を「読者が抱えている問いの一覧」として読むと、AIの回答に引用されるための材料になります。

AIは、問いに対して答えている文章を引用します。サジェストで見つけた問いを見出しにして、その直下で簡潔に答える。この構成が有効です。

つまりサジェストは、キーワードの一覧から、質問の一覧へと役割を変えつつあります。集める作業そのものは今後も価値を持ち続けます。

実際の記事づくりへの落とし込み方

集めた候補をそのまま記事のタイトルにしても、うまくいかないことが多いです。候補は断片なので、そのままでは読者が何を得られるのかが伝わりません。

おすすめは、候補を「問い」に書き換えてから見出しにする方法です。「エアコン 修理 費用」なら「エアコンの修理費用はいくらかかる?」という形にします。

そのうえで、見出しのすぐ下の1〜2文で結論を書きます。この形にしておくと、読者にとっても分かりやすく、AIにも引用されやすくなります。

1つの記事に問いを詰め込みすぎないことも大切です。近い問いを4〜6個まとめて1本にする、というくらいの粒度が扱いやすいと感じています。

サジェスト取得ツールと使い分け

サジェスト取得ツールの使い分けを表した道具箱のイメージ

ここでは、実務でよく使われるツールの種類と選び方を整理します。特定の製品を強く推すことはしません。用途で選んでいただくのが正解だからです。

無料のサジェスト取得ツール

日本語のサジェストをまとめて取得できる無料ツールが複数あります。ラッコキーワードなどが代表的で、基本的な取得は無料の範囲で行えます。

できることは共通しています。指定した語の後ろに50音・アルファベットを足した候補をまとめて取得し、一覧やCSVで出力する。この作業を自動化してくれます。

無料版には1日あたりの取得回数制限があることが一般的です。まずは無料で試し、業務で頻繁に使うようなら有料版を検討する、という順番で構いません。

Googleが公式に提供しているツール

Googleキーワードプランナーは、Google広告の中で使える公式のキーワード調査ツールです。広告の出稿がなくてもアカウントを作れば利用できますが、出稿していない場合、検索数は幅のある表示になります。

Googleトレンドは、検索の人気度の推移や地域差を見るためのツールです。季節性のある商材を扱っている場合、いつ記事を出すかの判断材料になります。

Search Consoleも忘れないでください。自社サイトが実際にどんな検索語で表示されているかは、ここでしか分かりません。サジェストは世の中の関心、Search Consoleは自社の現実です。

この2つを突き合わせると、狙うべき言葉と、すでに取れている言葉が分かれて見えてきます。

ツールを選ぶときの3つの視点

1つ目は、対応している検索エンジンです。Googleだけなのか、Yahoo!やYouTube、Amazonにも対応しているのか。扱う商材によって必要な範囲が変わります。

2つ目は、出力の形式です。CSVで出せるかどうかは、実務では大きな差になります。表計算ソフトで仕分ける作業がぐっと楽になります。

3つ目は、更新の頻度です。サジェストは日々変わります。取得したデータがいつ時点のものかを明示しているツールを選んでください。

もう1つ挙げるなら、社内の誰が使うかという視点です。担当者が1人なら操作性は多少難しくても構いませんが、複数人で使うなら分かりやすさが優先されます。

高機能な有料ツールを導入したものの、担当者が異動して誰も使わなくなった、というケースを何度か見てきました。続けられる道具を選ぶことが、結局は近道です。

ツールに頼りすぎないための注意

最後に注意点です。ツールが返すサジェストは、多くの場合、特定の地域・言語設定で取得された結果です。実際にお客様が見ている画面と同じとは限りません。

とくに地域性の強い商売では、実際にその地域からスマートフォンで検索してみることに勝る調査はありません。ツールは下調べ、実機は答え合わせ、という使い分けが現実的です。

また、候補の件数だけを見て判断しないでください。候補が少ない言葉でも、購入直前の人が使う言葉であれば、そちらのほうが価値があります。

取得したデータの保管方法も決めておくとよいでしょう。月に一度取得して同じ表に追記していくと、候補の入れ替わりが見えるようになります。

この履歴は、自社の取り組みが効いているかを判断する材料になります。ネガティブな候補の順番が下がってきているか、有利な候補が新しく出てきたか。数か月単位で見ていきます。

YouTube・Amazonのサジェストも見ておく

検索窓があるのはGoogleだけではありません。YouTubeにもAmazonにも、それぞれ独自のサジェストがあります。

YouTubeのサジェストは、動画を探している人の関心を映します。自社で動画を出している、あるいはこれから出す予定があるなら、確認しておく価値があります。

Amazonのサジェストは、購入を前提にした言葉が並ぶのが特徴です。商品を扱っている企業にとっては、Googleより実際の購買に近い情報が得られます。

自社の商材がどの入口で探されているかを考えて、確認する場所を決めてください。すべてを見る必要はありません。

自社サイトに検索候補機能を付ける場合

自社サイトに検索候補機能を組み込むイメージ

ここは、社内にエンジニアがいる企業や、制作会社とやりとりする担当者の方向けの内容です。自社サイトの検索窓に候補を出す機能を付けたい、というご相談も一定数いただきます。

Googleと同じものは作れない

まず前提です。Googleのサジェストは、膨大な検索ログをもとに動いています。自社サイトにその量のデータはありません。

したがって、自社サイトの検索候補は「サイト内検索を助ける機能」として設計します。商品名、カテゴリ名、よくある質問の見出しなどを候補にするのが基本形です。

候補の元になるデータは、自社が持っているものから作ります。商品マスタ、記事のタイトル、サイト内検索のログ。この3つが主な材料になります。

仕組みの基本形

技術的な要点は3つです。1つ目は、入力のたびにサーバーへ問い合わせる回数を減らすこと。1文字ごとに通信すると、サーバーにも利用者の通信量にも負担がかかります。

入力が止まってから200〜300ミリ秒待って送る、という制御が一般的です。この待ち時間を入れる処理は、実装の世界でデバウンスと呼ばれます。

2つ目は、候補の検索を速くすることです。候補データが数千件程度なら、あらかじめすべてを読み込んでブラウザ側で絞り込む方式でも十分に動きます。

3つ目は、日本語特有の問題です。ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字のどれで入力されても候補が出るようにするには、読み仮名のデータを別に持つ必要があります。

WordPressサイトでの現実的な選び方

WordPressで作られたサイトの場合、専用のプラグインを使う方法がいちばん手軽です。サイト内検索を強化するプラグインの多くに、候補表示の機能が含まれています。

ただし、プラグインを増やすほど表示速度と保守の負担は増えます。サイト内検索がほとんど使われていないサイトに、候補機能を足す必要はありません。

判断の目安は、アクセス解析でサイト内検索の利用状況を見ることです。実際に使われているなら投資する価値があります。使われていないなら、ナビゲーションの整理のほうが先です。

なお、自社サイト内の検索候補は、Googleの検索窓に出るサジェストとはまったく別のものです。社内で話すときに混同しないよう、呼び分けておくことをおすすめします。

制作会社に依頼するときの伝え方

外部の制作会社に依頼する場合、要件の伝え方で見積もりが大きく変わります。「サジェスト機能を付けたい」だけでは、相手も見積もりようがありません。

伝えるべきことは4つです。何を候補として出したいのか(商品名か、記事タイトルか、両方か)。候補は何件まで出すのか。ひらがな・ローマ字入力に対応するのか。そして候補データを誰がどう更新するのか。

とくに4つ目が抜けやすい項目です。商品が増えたときに候補も自動で増えるのか、それとも手作業で追加するのか。ここを決めておかないと、公開後に使われなくなります。

この4点をメモにして渡すだけで、話が早く進みます。専門用語を使う必要はありません。

よくある質問(FAQ)

サジェストアルゴリズムのよくある質問を表す吹き出し

サジェストは何件くらいの検索で出るようになりますか?

Googleは基準となる件数を公表していません。「◯回検索すれば出る」という数字が出回ることがありますが、根拠のある数値ではありません。

実際には、検索の総量だけでなく、短期間での増え方、地域、言語なども関係します。件数を目標にするのではなく、実際に検索される理由を作るほうが確実です。

パソコンとスマホで候補が違うのはなぜですか?

表示できる件数が端末によって違うことに加え、検索されている場所や言語設定、ログイン状態が影響するためです。Googleは考慮要素として場所と過去の検索を公式に挙げています。

社内での確認は、シークレットウィンドウを使い、パソコンとスマートフォンの両方で行ってください。片方だけを見て判断すると、実態を見誤ります。

削除の申告をすると、かえって目立ちませんか?

Googleへの報告フォームからの申告は非公開のやりとりで、外部に公表されるものではありません。この段階で目立つ心配はほとんどありません。

ただし、訴訟など公開の手続きに進む場合は、その事実自体が報道される可能性があります。どこまで進めるかの判断は、弁護士など専門家と相談して決めてください。

削除できたら、もう出てこなくなりますか?

再発することがあります。削除されるのは、その時点での予測候補です。その後また多く検索されれば、再び表示される可能性は残ります。

だからこそ、削除だけで終わらせず、有利な候補を育てる取り組みを並行することをおすすめしています。当社としても、再発しないことを確約することはできません。

サジェストを増やす業者に頼んでも大丈夫ですか?

手法によります。機械的に検索回数を積み上げる手法は、Googleのスパムポリシーに触れる可能性があり、おすすめできません。

実際の人が検索する理由を作る施策であれば、問題はありません。依頼するときは、どういう方法で候補を増やすのかを必ず確認してください。

AI検索が主流になったら、サジェスト対策は不要になりますか?

すぐには不要になりません。2026年8月時点で、日本の検索の入口としてサジェストは依然として現役です。会社名のような固有名詞は今後も単語で入力されます。

ただし、見るべき場所が増えたのは事実です。サジェストに加えて、AIの回答の中で自社がどう説明されているかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。

まとめ|仕組みを知れば打ち手が決まる

確認と改善が上向きにつながることを表したイメージ

サジェストアルゴリズムは、検索窓の候補を決めている仕組みです。Googleでの正式名称はオートコンプリートで、候補のもとは実際に行われた検索です。

Googleは考慮要素として、言語・場所・トレンド・過去の検索の4つを公式に挙げています。ログインしていれば、さらに個人向けの調整が加わります。だから、あなたが見ている画面は他人と同じではありません。

この1年での変化は3つでした。2025年4月1日の情報流通プラットフォーム対処法の施行により、削除申出への通知が原則7日以内と定められたこと。2026年にGoogleの検索ボックスがAI化したこと。そしてAIモードの普及で、入力の仕方そのものが変わり始めたことです。

ネガティブな候補への対処は、報告フォームからの申告、法的な削除申出、有利な候補を育てる施策の3段構えで考えます。事実として報じられた内容に由来する候補は消えにくいため、その場合は発信量を増やす方向に切り替えます。

今日できることを1つ挙げるなら、シークレットウィンドウを開いて、自社名・代表者名・主力商品名の3つを入力してみてください。5分で終わります。何も問題がなければそれでよく、気になる候補があれば、そこから対処を考えれば十分です。

あわせて、キーワード活用の面でも1つ試してみてください。自社の主力サービス名のうしろに一文字ずつ足していくと、お客様が実際に気にしていることが並びます。そこから記事を1本書くだけでも、サイトの手応えは変わります。

サジェストは、守りの道具にも攻めの道具にもなります。仕組みを知っていれば、どちらの場面でも落ち着いて手を打てます。

サジェスト対策のご相談はアクセス・リンクへ

株式会社アクセス・リンクは、栃木県下野市を拠点に、SEOコンサルティング・ホームページ制作・サジェスト対策を行っている会社です。代表の三田健司は全日本SEO協会の認定SEOコンサルタントで、Web制作歴は10年以上、延べ1,000件以上のサイトに携わってきました。

「社名を検索すると気になる言葉が出る」「何から手をつければよいか分からない」といったご相談を多くいただいています。まず現状を一緒に確認し、削除を狙うのか、有利な候補を育てるのか、方針を整理したうえでご提案します。

ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。現状の確認だけのご相談も歓迎しております。

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