記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
「GA4を見ると、知らないドメインからのアクセスが混ざっているのですが、これは何でしょうか」。中小企業のWeb担当者の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
原因の多くは、自社とは関係のないサイトから計測データが送られてくる「スパム」や、テスト用サイトのアクセスの混入です。放っておくと、セッション数や問い合わせ率といった大事な数字がずれてしまいます。
この問題に対して、Googleアナリティクス(GA4)は2026年9月21日、ホスト名のデータフィルタに「含める(Include)」型を追加しました。あらかじめ許可したドメインからのデータだけを受け付ける、いわば許可リスト方式の対策です。
この記事では、新しいフィルタで何が変わったのか、設定前に確認すべきこと、具体的な設定手順、失敗しないための注意点を、Googleの公式ヘルプにもとづいて解説します。
筆者は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、Web制作とSEOコンサルティングに10年以上携わり、延べ1,000件以上のサイトのご相談に対応してきました。その中で見てきた計測トラブルのパターンも交えてお伝えします。
GA4のホスト名フィルタに「含める」が追加|何が変わった?

まずは、今回のアップデートの中身を整理しましょう。ポイントは「除外する相手を探す」方式から「許可する相手だけを決める」方式に変えられるようになったことです。
2026年9月21日のアップデート内容
Googleアナリティクスの公式ヘルプ「アナリティクスの新機能」には、2026年9月21日付で、ホスト名のデータフィルタが「含める(Include)」に対応したと記載されています。これにより、イベントデータの送信を認める承認済みドメインの一覧、つまり許可リストを作れるようになりました。
許可リストに載っていないドメインから届いたデータは、GA4に取り込まれなくなります。自社サイトのドメインさえ正しく登録しておけば、見知らぬドメインからのデータを一つずつ探して除外する必要がなくなります。
6月に登場した「除外」フィルタとの違い
ホスト名のフィルタ自体は、2026年6月11日に「除外(Exclude)」型として先に登場していました。こちらは、不要なホスト名を指定して、そのデータだけを取り込まないようにする仕組みです。
ただし除外型は、スパムの送信元が新しいドメインに変わるたびに、設定を追加し続ける必要がありました。公式の説明でも、除外型は新たなスパムの発生源に追いつくための手作業の更新が必要だったと触れられています。
含める型なら、守るべき自社のドメインを一度決めるだけで済みます。管理の手間が「追いかける作業」から「一覧を保つ作業」に変わる点が、いちばん大きな違いです。
なぜ今、許可リスト型が必要なのか
GA4の計測タグは、ページのHTMLに測定IDを書き込むだけで動きます。そのため、第三者が測定IDを使って、実在しないアクセスのデータを送り込むことも技術的には難しくありません。
また、サイトの無断コピーも珍しくありません。HTMLを丸ごと写し取られると、自社のGA4タグごとコピーされ、他人のサイトのアクセスが自社の数字に混ざることがあります。
数字の信頼性を守る仕組みとして、許可リスト型は中小企業にこそ役立つ機能です。
そもそもホスト名とは?GA4に他サイトのデータが混ざる仕組み

設定に入る前に、「ホスト名」という言葉の意味と、なぜ関係のないデータが混ざるのかを確認しておきましょう。ここを理解しておくと、許可リストに何を入れるべきかが判断しやすくなります。
ホスト名=データを送ってきたページのドメイン
ホスト名とは、URLのうち「https://」の後ろから最初の「/」までの部分です。たとえば「https://www.example.co.jp/contact/」なら、ホスト名は「www.example.co.jp」になります。
GA4は、イベントを受け取るたびに、それがどのホスト名のページから送られたかを記録しています。この記録を使って、自社のドメイン以外から来たデータをふるい分けるのが、ホスト名フィルタの考え方です。
測定IDが他所で使われると、計測が混入する
混入の経路として多いのは、大きく3つです。1つ目は、測定IDを悪用して偽のアクセスを送り込むスパムです。
2つ目は、サイトのコピーです。HTMLごと複製されると、コピー先のサイトで発生したアクセスまで自社のGA4に届きます。
3つ目は、自社で用意したテスト用サイトです。リニューアル中の検証環境や制作会社のテストサーバーに本番と同じタグが入っていると、関係者の閲覧が本番の数字に混ざります。
制作の現場では、この3つ目が意外に多いと感じます。
混入データが経営判断を狂わせる例
混入したデータは、少量でも数字の見え方を変えます。特に月間のアクセスがそれほど多くない中小企業のサイトでは、数百件の混入でもセッション数や直帰の傾向が大きく動いてしまいます。
たとえば、偽のアクセスが増えた月に「広告の効果でアクセスが伸びた」と判断してしまうと、予算配分を誤るおそれがあります。問い合わせ率(CVR)の分母がふくらみ、サイトの成果が実際より悪く見えることもあります。

設定前に必ず確認|自社サイトのホスト名を洗い出す

許可リスト型のフィルタは、登録漏れがあると正しいデータまで捨ててしまいます。設定ボタンを押す前に、自社のデータがどのホスト名から届いているかを必ず確認しましょう。
探索レポートで「ホスト名」を一覧にする
GA4の「探索」で自由形式のレポートを作り、ディメンションに「ホスト名」、指標に「イベント数」や「セッション」を入れると、データを送ってきたホスト名の一覧が出ます。期間は少なくとも過去3か月ほどに広げて確認すると、たまにしか使われないドメインも拾えます。
一覧の中に、自社と無関係なドメインや「(not set)」が目立つ場合は、混入が起きているサインです。逆に、自社のドメインでも見覚えのないサブドメインがあれば、社内の誰かが別のサービスで使っていないかを確かめておきます。
許可すべきホスト名のパターン
許可リストには、次のようなホスト名をもれなく入れる必要があります。まずは「www」ありとなしの両方です。
さらに、予約やネットショップを「shop.」「reserve.」のようなサブドメインで運用している場合は、それらも対象です。外部の予約システムや決済ページに自社のGA4タグを入れて、クロスドメイン計測をしている場合は、そのサービス側のドメインも忘れずに加えてください。
迷ったら「自社が管理していて、GA4タグを入れているドメイン」をすべて書き出すのが確実です。制作会社や広告代理店にタグの設置を任せている場合は、どこにタグを入れたかを一覧でもらっておくと安心です。
Google翻訳経由の表示をどう扱うか
見落としやすいのが、Google翻訳などを通してページが表示されたときのホスト名です。翻訳機能を経由すると、「www-example-co-jp.translate.goog」のように元のドメインとは異なるホスト名が記録されることがあります。
海外からの閲覧がほとんどない地域密着型の会社なら、影響は小さいでしょう。一方、インバウンド客や海外取引がある会社は、探索レポートでこうしたホスト名からのデータがどの程度あるかを確認してから、許可するかどうかを決めてください。

ホスト名フィルタ(含める)の設定手順

ホスト名の洗い出しができたら、いよいよ設定です。ここでは公式ヘルプの手順に沿って、流れを説明します。
管理画面のどこから作るか
フィルタを作れるのは、プロパティの「編集者」以上の権限を持つユーザーです。GA4の「管理」から「データの収集と修正」の中にある「データフィルタ」を開き、「フィルタを作成」を選びます。
テンプレートの一覧から、ウェブのホスト名のトラフィックを対象にするテンプレート(英語表示では「Web hostname traffic filter」)を選びます。画面の表記は今後変わる可能性があるため、見当たらない場合は「ホスト名」という言葉を手がかりに探してください。
フィルタ名は、プロパティ内で重複しない名前にします。公式ヘルプでは、文字で始まり、40文字以内という条件が示されています。
一致の種類は「完全一致」と「含む」
ホスト名の指定方法には、値がそのまま同じであることを求める「完全一致」と、指定した文字列を含んでいればよい「含む」の2種類があります。たとえば「example.co.jp」を「含む」で指定すると、「www.example.co.jp」や「shop.example.co.jp」もまとめて対象になります。
ただし「含む」は範囲が広い分、似た文字列を持つ無関係なドメインまで通してしまうおそれがあります。登録するホスト名が少ないなら、完全一致で一つずつ指定するほうが確実です。
まず「テスト」状態で24〜36時間様子を見る
フィルタには「テスト」「有効」「無効」の3つの状態があります。最初は必ず「テスト」で保存してください。
テスト状態では、データは捨てられず、フィルタに該当したデータに目印が付くだけです。公式ヘルプは、テストに切り替えてから24〜36時間ほどデータがたまるのを待ち、探索レポートで確認する手順を案内しています。
確認には、探索の自由形式で、ディメンションに「テストデータのフィルタ名」と「イベント名」、指標に「イベント数」を入れます。自社サイトの正常なアクセスがフィルタに引っかかっていないかを、ここでしっかり見てください。
問題がなければ「有効」に切り替える
テストの結果、除外されるのが本当に不要なデータだけだと確認できたら、状態を「有効」に変更します。有効にした時点から、許可リストにないホスト名のデータは取り込まれなくなります。
設定した日付と登録したホスト名は、社内のメモに残しておきましょう。後から数字が急に減ったときに、フィルタの影響かどうかを切り分けやすくなります。
設定で失敗しないための注意点

許可リスト型は効果が大きい反面、間違えたときの影響も大きい機能です。ここでは、公式ヘルプで明記されている注意点を中心に整理します。
有効にした後に除外されたデータは戻らない
Googleアナリティクスのヘルプでは、データフィルタを適用した影響は永続的で、除外されたデータは処理されず、GA4にもBigQueryにも残らないと説明されています。あとから「やっぱり必要だった」と気づいても、そのデータは取り戻せません。
だからこそ、テスト状態での確認を省略しないことが大切です。新しいサブドメインやキャンペーン用のページを作ったときも、公開前に許可リストへの追加を忘れないようにしてください。
過去のデータはきれいにならない
データフィルタは、作成した時点から先のデータにだけ適用されます。すでに混入してしまった過去のデータが、さかのぼって消えるわけではありません。
過去の数字を正しく見たい場合は、探索レポートでホスト名を絞り込んで集計し直す必要があります。前年同月比などを見るときは、フィルタを入れた月をまたぐと単純に比較できない点にも注意しましょう。
Measurement Protocolと空のホスト名の扱い
アナリティクスの公式ヘルプ「新機能」によると、サーバーから直接データを送るMeasurement Protocolのイベントは、この含める型フィルタの対象外です。基幹システムなどからサーバー経由で購入データを送っている場合も、そのデータはフィルタに関係なく届きます。
一方で、ホスト名が空のイベントは、含める型のフィルタでは自動的に取り込まれない扱いになると、同じ公式の更新情報に記載されています。ページのURL情報を持たない特殊な送り方をしている場合は、正しいデータまで除外される可能性があるため、テスト状態で必ず確認してください。
データフィルタの数と、他のフィルタとの関係
GA4のデータフィルタには、デベロッパートラフィック、内部トラフィック、ウェブのホスト名の3種類があります。作成できる数には上限があり、1つのプロパティで10個までと案内されています。
社内からのアクセスを除く内部トラフィックのフィルタをすでに使っている場合も、ホスト名フィルタと併用できます。役割が違うので、両方を整えておくと数字の精度がさらに上がります。

中小企業はどこまでやるべき?状況別の判断

すべての会社が今日すぐに設定しなければならない、というわけではありません。自社の状況に合わせて、優先度を判断しましょう。
早めに設定したいケース
探索レポートで、自社と無関係なホスト名からのデータがはっきり確認できた場合は、早めの対応をおすすめします。アクセス数がそれほど多くないサイトほど、混入の影響が大きく出るからです。
また、Web広告を出していて、GA4の数字をもとに予算を判断している会社も優先度が高いと言えます。分析の土台となる数字がずれていると、どれだけ丁寧に分析しても結論がずれてしまいます。
急がなくてよいケース
一方で、ホスト名を確認しても自社のドメインしか出てこない場合は、急いで設定する必要はありません。混入が起きていないなら、許可リストを作っても数字はほとんど変わらないからです。
ドメインの構成が複雑で、どこにタグが入っているか把握しきれていない場合も、無理に有効化しないほうが安全です。まずはタグの設置場所を整理し、テスト状態で十分に確認してから進めてください。
制作会社に計測を任せている場合の確認ポイント
ホームページの制作や運用を外部に任せている会社では、GA4の管理権限を誰が持っているかが曖昧になりがちです。まずは自社のGoogleアカウントが、プロパティの管理者になっているかを確認してください。
フィルタの設定は数字に永続的な影響を与えるため、誰が・いつ・何を設定したかを社内で把握しておくことが大切です。委託先に設定を依頼する場合も、登録するホスト名の一覧は自社で確認してから承認する流れにすると安心です。
制作会社が独自のテストサーバーを使っている場合は、そのドメインを許可リストに入れないよう伝えておくと、検証中のアクセスが本番の数字に混ざるのを防げます。リニューアルの時期は特に混入が起きやすいので、公開前後のタイミングで一度ホスト名を見直しましょう。
フィルタと合わせて見直したい計測設定
ホスト名フィルタを入れるタイミングは、計測設定全体を見直すよい機会です。問い合わせ完了などのキーイベント(旧コンバージョン)が正しく取れているか、広告やメールのリンクにUTMパラメータが付いているかも、あわせて確認しましょう。
WordPressサイトであれば、Googleの公式プラグインSite Kitで目標の計測を整える方法もあります。AI検索からの流入を把握したい場合は、GA4のチャネル設定も見ておくと、今後の判断材料が増えます。


よくある質問(FAQ)

Q1. ホスト名フィルタを入れると、SEOの順位に影響しますか?
影響しません。ホスト名フィルタは、GA4にどのデータを取り込むかを決める設定であり、Google検索の順位とは関係がありません。
同じように、Search Consoleの数字も変わりません。検索の表示回数やクリック数はSearch Consoleで、サイト内の行動はGA4で、と役割を分けて見るのが基本です。
Q2. 設定したら、すぐに効果が出ますか?
公式ヘルプでは、テスト状態のデータがたまるまでに24〜36時間ほどかかると案内されています。有効にした後も、数字の変化はすぐには表れないため、筆者は数日たってから確認することをおすすめしています。
また、効果が出るのは設定した後のデータだけです。過去の数字は変わらないため、フィルタ導入の前と後で数字を比べるときは注意してください。
Q3. 登録し忘れたドメインのデータは、後から取り戻せますか?
取り戻せません。有効状態のフィルタで除外されたデータは、GA4にもBigQueryにも残らないと公式に説明されています。
そのため、新しいサブドメインや外部サービスを使い始めるときは、事前に許可リストへの追加を手順に組み込んでおくことをおすすめします。不安な場合は、しばらくテスト状態のまま運用して確認する方法もあります。
Q4. 除外フィルタと含めるフィルタは、どちらを使えばよいですか?
混入元が1つか2つに限られていて、今後も増えそうにないなら、除外型でも対応できます。ただし、スパムは送信元を変えてくることが多いため、継続的な手間を減らしたいなら含める型が向いています。
どちらを使う場合も、いきなり有効にせず、テスト状態で正しいデータが残るかを確認する手順は同じです。
Q5. 自社で設定するのが不安です。どうすればよいですか?
GA4の管理画面に慣れていない場合は、まず探索レポートでホスト名の一覧を確認するところまで進めてみてください。そこで混入が見つからなければ、急いで設定する必要はありません。
混入が見つかったものの設定に自信がない場合は、ホームページを制作した会社や、計測に詳しい専門家に相談するのが安全です。権限を渡すときは、必要な範囲の権限だけを付与するようにしましょう。
まとめ|GA4の数字を守る許可リストは「確認してから」入れる

GA4は2026年9月21日、ホスト名のデータフィルタに「含める」型を追加しました。許可したドメインからのデータだけを受け付けることで、スパムやコピーサイト、テスト環境のデータ混入を防げます。
一方で、有効にしたフィルタで除外されたデータは取り戻せず、過去のデータもさかのぼってきれいにはなりません。www有無やサブドメイン、外部の予約・決済サービスなど、自社のホスト名をもれなく洗い出すことが成功のカギです。
設定は「テスト」状態から始め、24〜36時間ほど様子を見てから「有効」に切り替えるのが安全な進め方です。混入が見つからない場合は、無理に設定を急ぐ必要もありません。
まずは今日、GA4の探索レポートで「ホスト名」を一覧にしてみてください。自社と関係のないドメインが並んでいないかを確かめることが、正しい数字でWeb集客を判断するための第一歩です。
アクセス解析のご相談はアクセス・リンクへ
株式会社アクセス・リンクでは、代表の三田健司が全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、中小企業のホームページ制作とSEOコンサルティングを行っています。Web制作10年以上、延べ1,000件以上のご相談に対応してきた経験をもとに、GA4やSearch Consoleの設定確認から、数字をもとにした改善提案までお手伝いしています。
「GA4の数字が正しく取れているか不安」「問い合わせの計測ができているか確かめたい」といったご相談も歓迎です。現状の設定を一緒に確認し、自社で運用しやすい形に整えるところからご提案します。
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記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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