多くの企業や個人事業主がホームページ制作を検討する際、「WordPress(ワードプレス)」という言葉を耳にすることがあるでしょう。WordPressは世界中のウェブサイトの約43%で使用されている、最も人気のあるホームページ作成システムです。無料で使えて、専門知識がなくてもホームページを作成できることから、多くの方に選ばれています。
しかし、いざWordPressでホームページを作ろうとすると、「何から始めればいいのか」「本当に自分でも作れるのか」「どんな準備が必要なのか」といった疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、WordPressを使ったホームページ制作について、初心者の方でも理解できるよう丁寧に解説します。基本的な仕組みから具体的な作成手順、よくあるトラブルの解決方法まで、実践的な情報を網羅的にお伝えします。この記事を読めば、あなたもWordPressでプロフェッショナルなホームページを作成できるようになるでしょう。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
WordPressとは?初心者にもわかる基本知識
WordPressについて理解を深めることは、ホームページ制作を成功させる第一歩です。ここでは、WordPressの基本的な仕組みと特徴について、専門用語を使わずに説明します。
WordPressの仕組みをわかりやすく解説
WordPressは「CMS(コンテンツ管理システム)」と呼ばれるソフトウェアの一種です。CMSとは、ホームページの文章や画像などを管理するためのシステムのことで、amebloなどの無料ブログのような感覚で、ブラウザ上でホームページの内容を編集できる仕組みです。
従来のホームページ制作では、HTML(ホームページを作るための記述言語)やCSS(デザインを指定するための記述言語)といった専門的なコードを書く必要がありました。しかし、WordPressを使えば、これらの専門知識がなくても、管理画面から文章を入力したり、画像をアップロードしたりするだけで、自動的にホームページが作成されます。
WordPressが選ばれる5つの理由
WordPressが世界中で支持される理由を、具体的に見ていきましょう。
まず最大の魅力は、WordPress本体が完全無料で利用できることです。有料のテーマ(デザインテンプレート)やプラグイン(機能拡張ツール)もありますが、基本的な機能は無料で十分に活用できます。
次に重要なのが操作の簡単さです。管理画面は日本語に対応しており、直感的に操作できるよう設計されています。ブログを書くような感覚で、記事の投稿やページの作成が可能なので、専門知識がない方でも安心して使い始められます。
デザイン面でも大きな強みがあります。数千種類以上のテーマが公開されており、好みのデザインを選ぶだけで、プロフェッショナルな見た目のホームページが作成できます。また、プラグインを追加することで、お問い合わせフォームやSNS連携、SEO対策など、様々な機能を簡単に追加できる拡張性の高さも魅力です。
そして何より心強いのが、利用者が多いため、インターネット上に使い方やトラブル解決の情報が豊富にあることです。困ったときにすぐに解決策を見つけられるのは、初心者にとって大きなメリットと言えるでしょう。
WordPress.orgとWordPress.comの違い
WordPressには大きく分けて2種類あり、これを理解しておくことが重要です。
項目 | WordPress.org | WordPress.com |
---|---|---|
概要 | 自分でサーバーを用意して使うタイプ | レンタルブログサービスのようなタイプ |
費用 | ソフトウェアは無料(サーバー代は必要) | 基本無料(有料プランあり) |
カスタマイズ性 | 完全に自由 | 制限あり |
独自ドメイン | 使用可能 | 有料プランのみ |
プラグイン | 自由に追加可能 | 制限あり |
広告表示 | なし | 無料プランでは広告表示あり |
おすすめ用途 | 企業サイト、本格的なサイト | 個人ブログ、お試し利用 |
一般的に「WordPressでホームページを作る」という場合は、WordPress.orgを指すことが多く、本記事でもWordPress.orgを前提に解説します。
ホームページ制作前の準備:成功の鍵を握る3つのステップ
WordPressでホームページを作成する前に、しっかりとした準備を行うことが成功への近道です。ここでは、制作前に必ず行うべき3つの準備について詳しく説明します。
1. ホームページの目的とターゲットを明確にする
まず最初に、「なぜホームページを作るのか」「誰に向けて情報を発信するのか」を明確にしましょう。目的が曖昧なまま制作を始めると、方向性がぶれてしまい、効果的なホームページになりません。
ホームページを作る目的としては、会社の信頼性を高めることや、商品・サービスの問い合わせを増やすこと、採用活動を強化すること、ブランドイメージを向上させることなどが挙げられます。これらの目的を明確にすることで、必要なコンテンツや機能が自然と見えてきます。
ターゲット設定も同様に重要です。年齢層(20代、30代、シニア層など)、性別、職業や立場(経営者、主婦、学生など)、抱えている悩みや課題、求めている情報や解決策などを具体的に想定しましょう。ターゲットが明確になれば、どのような言葉遣いで、どんな情報を提供すべきかが決まってきます。
これらを明確にすることで、デザインの方向性や掲載すべきコンテンツが自然と決まってきます。
2. サイト構成とコンテンツの計画を立てる
ホームページに必要なページと、それぞれのページに掲載する内容を事前に計画しておくことが重要です。一般的な企業サイトでは、トップページで会社やサービスの概要を伝え、会社概要ページで企業情報、代表挨拶、沿革などを掲載します。
サービス・商品紹介ページでは提供する価値を詳しく説明し、お客様の声や実績のページで信頼性を高めます。よくある質問ページで顧客の疑問を解消し、お問い合わせページで連絡方法を明確に提示します。また、プライバシーポリシーページで個人情報の取り扱いについて説明することも必要です。
サイトマップ(サイト全体の構成図)を作成しておくと、制作がスムーズに進みます。紙に書き出したり、エクセルで表を作ったりして、視覚的に整理しましょう。各ページの関係性や階層構造を明確にすることで、ユーザーにとって使いやすいサイト構成を実現できます。
3. 必要な素材を準備する
ホームページに使用する素材を事前に準備しておくことで、制作作業が効率的に進みます。
準備すべき素材:
素材の種類 | 具体例 | 準備のポイント |
---|---|---|
テキスト | 会社概要、サービス説明、キャッチコピー | Wordなどで下書きを作成 |
画像 | 商品写真、社内風景、スタッフ写真 | 高画質で統一感のある写真を用意 |
ロゴ | 会社ロゴ、ブランドロゴ | PNG形式で背景透過のものが便利 |
動画 | 会社紹介動画、商品説明動画 | YouTubeにアップロードしておく |
資料 | パンフレット、カタログのPDF | ダウンロード用に準備 |
素材が不足している場合は、無料の素材サイトを活用することもできます。ただし、著作権には十分注意し、商用利用可能なものを選びましょう。
WordPressでホームページを作る7つの手順
準備が整ったら、いよいよWordPressでホームページを作成していきます。ここでは、初心者の方でも迷わないよう、具体的な手順を7つのステップに分けて解説します。
手順1:レンタルサーバーの契約
WordPressを使うには、まずインターネット上の「土地」にあたるサーバーが必要です。個人でサーバーを用意するのは大変なので、レンタルサーバーを契約するのが一般的です。
レンタルサーバーを選ぶ際は、WordPress簡単インストール機能があるか、表示速度が速いか、サポート体制が充実しているか、料金が予算内に収まるか、自動バックアップ機能があるかといった点を確認しましょう。これらの要素は、後々の運用のしやすさに大きく影響します。
主要なレンタルサーバーの比較:
サービス名 | 月額料金(目安) | 特徴 | おすすめ度 |
---|---|---|---|
エックスサーバー | 990円〜 | 高速・安定性抜群、サポート充実 | ★★★★★ |
ConoHa WING | 941円〜 | 表示速度国内最速級、管理画面が使いやすい | ★★★★★ |
ロリポップ | 220円〜 | 低価格、初心者向けプランあり | ★★★★☆ |
さくらのレンタルサーバ | 425円〜 | 老舗で信頼性高い | ★★★★☆ |
契約手順は各サービスによって異なりますが、基本的には公式サイトにアクセスし、プランを選択します。初心者の方は標準プランがおすすめです。次に契約期間を選択しますが、長期契約の方が割安になることが多いです。その後、個人情報を入力し、支払い方法を選択すれば申し込み完了となります。
手順2:独自ドメインの取得と設定
ドメインとは、インターネット上の「住所」にあたるものです。例えば「example.com」のような、あなたのホームページ専用のアドレスを取得します。
ドメインを選ぶ際は、短くて覚えやすいものを心がけましょう。会社名やサービス名を含めると、訪問者にとって分かりやすくなります。ハイフンは使いすぎず、.com、.jp、.co.jpなど信頼性の高い拡張子を選ぶことも重要です。
多くのレンタルサーバーでは、サーバー契約時に独自ドメインも一緒に取得できます。別々に契約するより設定が簡単なので、初心者の方にはセット契約がおすすめです。
手順3:SSLの設定
SSL(Secure Sockets Layer)とは、ホームページの通信を暗号化する仕組みです。設定すると、URLが「http://」から「https://」に変わり、安全性が高まります。現在では、SSLの設定は必須です。
SSLを設定することで、セキュリティが向上し訪問者が安心して利用できるようになります。また、Googleの検索順位が上がりやすくなり、ブラウザで「保護されていない通信」という警告が表示されなくなります。これらのメリットを考えると、SSLの設定は避けて通れません。
最近のレンタルサーバーでは、無料でSSLを設定できることがほとんどです。管理画面から簡単に設定できるので、必ず有効にしましょう。設定後は、WordPressの管理画面でサイトアドレスを「https://」に変更することを忘れずに行ってください。
手順4:WordPressのインストール
サーバーとドメインの準備ができたら、WordPressをインストールします。多くのレンタルサーバーには「WordPress簡単インストール」機能があり、数クリックで完了します。
インストール時には、サイト名(後から変更可能)、ユーザー名(ログイン時に使用、「admin」は避ける)、パスワード(複雑で推測されにくいものに)、メールアドレス(重要な通知が届くアドレス)を設定します。
インストールが完了すると、管理画面のURLとログイン情報が表示されます。これらは必ずメモしておきましょう。管理画面のURLは通常「https://あなたのドメイン/wp-admin/」となります。
手順5:WordPressテーマの選定とインストール
テーマとは、ホームページのデザインを決めるテンプレートのことです。WordPressには無料・有料含めて数千種類のテーマがあります。
2022年以降、WordPress 5.9からフルサイト編集(FSE)に対応したテーマが登場しています。FSEとは、ヘッダーやフッターを含むサイト全体をブロックエディターで編集できる機能で、コードを書かずに自由度の高いカスタマイズが可能です。従来型のテーマとFSE対応テーマ、どちらを選ぶかは制作スタイルによって決めましょう。
テーマを選ぶ際は、レスポンシブ対応、日本語対応、更新頻度の高さ、カスタマイズのしやすさ、表示速度などを基準に選びましょう。
おすすめのテーマ:
テーマ名 | 料金 | 特徴 | 適したサイト |
---|---|---|---|
Lightning | 無料 | 企業サイト向け、拡張性高い | 企業・店舗サイト |
Cocoon | 無料 | SEO対策充実、高機能 | ブログ・情報サイト |
Arkhe | 無料 | シンプル、カスタマイズ前提 | 開発者向け |
SWELL | 17,600円 | 直感的操作、美しいデザイン | あらゆるサイト |
Snow Monkey | 16,500円/年 | 高度なカスタマイズ可能 | 企業・サービスサイト |
テーマのインストールは、WordPress管理画面の「外観」→「テーマ」から行います。
手順6:必要なプラグインの導入
プラグインは、WordPressに機能を追加するためのツールです。必要に応じて導入することで、より使いやすいホームページになります。
初心者の方には、以下のプラグインをおすすめします:
必須プラグイン一覧:
- Contact Form 7:お問い合わせフォームを簡単に作成
- SEO SIMPLE PACK:シンプルで使いやすい日本製のSEOプラグイン(Yoast SEOやAll in One SEOの代替として)
- UpdraftPlus:自動バックアップ機能
- EWWW Image Optimizer:画像を自動で圧縮・最適化
- WP Multibyte Patch:日本語の文字化けを防ぐ
プラグインは便利ですが、入れすぎるとサイトが重くなったり、同じ機能を持つプラグインを複数有効化すると不具合の原因になったりします。必要最小限に留めることが大切です。
手順7:コンテンツの作成と公開
いよいよホームページの中身を作っていきます。WordPressでは、「固定ページ」と「投稿」の2種類でコンテンツを管理します。
固定ページは会社概要やサービス紹介など、更新頻度の低いページに使用し、投稿はお知らせやブログ記事など、定期的に更新するコンテンツに使用します。この使い分けを理解しておくことで、効率的なサイト運営が可能になります。
ページ作成は、管理画面から「固定ページ」→「固定ページを追加」または「投稿」→「投稿を追加」を選択し、タイトルと本文を入力します。ブロックエディターを使えば、文章や画像を直感的に配置できます。アイキャッチ画像を設定し、分かりやすいURLに変更したら、プレビューで確認して公開ボタンをクリックします。
最初は基本的なページから作成し、徐々にコンテンツを充実させていくのがおすすめです。
WordPressの初期設定:必ず行うべき重要な設定
WordPressをインストールしたら、すぐにコンテンツ作成を始めたくなりますが、その前に必ず行うべき初期設定があります。これらの設定を後回しにすると、後々面倒なことになるので、最初にしっかり設定しておきましょう。
基本設定の確認と変更
WordPress管理画面の「設定」メニューから、重要な初期設定を行います。
一般設定では、サイトのタイトル(SEOにも影響するので適切なものに)、キャッチフレーズ(サイトの説明を簡潔に)、WordPressアドレスとサイトアドレス(手順3でSSL設定した場合は「https://」になっていることを確認)、メールアドレス(重要な通知が届くアドレス)を設定します。
表示設定では、ホームページの表示を固定ページに設定(企業サイトの場合)、1ページに表示する最大投稿数を10件程度に設定、検索エンジンでの表示は制作中はチェックを入れ、公開時に外すようにします。
パーマリンク設定は、URLの構造を決める重要な設定です。後から変更すると、URLが変更となりSEOのチカラがリセットされ、他ページからのリンク切れなどの問題が発生するので、必ず最初に設定しておきます。投稿の場合は「投稿名」を選択し「/%postname%/」、またはカテゴリーを含めたい場合は、カスタム構造で「/%category%/%postname%/」と設定するのがおすすめです。
なお、日本語のURLは避けるようにしましょう。SNSでシェアする際に文字化けしたり、URLが長くなったりする原因になります。投稿時は英数字でスラッグ(URL末尾)を設定することを心がけてください。
セキュリティ対策の実施
WordPressは人気が高い分、悪意のある攻撃の対象になりやすいという側面があります。以下の対策を実施しましょう。
基本的なセキュリティ対策:
対策項目 | 具体的な方法 | 効果 |
---|---|---|
強固なパスワード設定 | 英数字・記号を組み合わせた12文字以上 | 不正ログイン防止 |
ログインURLの変更 | プラグイン「WPS Hide Login」を使用 | 攻撃を受けにくくなる |
定期的なアップデート | WordPress本体、テーマ、プラグインを最新に | 脆弱性の解消 |
不要なテーマ・プラグインの削除 | 使用していないものは削除 | セキュリティリスクの軽減 |
バックアップの設定 | 自動バックアッププラグインを導入 | 万が一の時の復旧が可能 |
メタ情報の削除
デフォルトでは、サイドバーに「メタ情報」というウィジェットが表示されています。これにはログインページへのリンクが含まれており、セキュリティ上好ましくありません。
削除するには、「外観」→「ウィジェット」を選択し、サイドバーの「メタ情報」を見つけて「削除」をクリックします。この簡単な作業で、セキュリティリスクを一つ減らすことができます。
コメント機能の管理
企業サイトではコメント機能は不要な場合が多いです。スパムコメントの温床にもなりやすいので、適切に管理しましょう。
コメントを無効にするには、「設定」→「ディスカッション」を選択し、「新しい投稿へのコメントを許可」のチェックを外します。既存の固定ページについては、個別に編集画面の「ディスカッション」セクションでコメントを無効化する必要があります。
ホームページのデザインとコンテンツ作成のコツ
技術的な設定が完了したら、いよいよホームページの見た目と中身を作り込んでいきます。訪問者にとって魅力的で使いやすいホームページにするためのポイントを解説します。
ユーザビリティを重視したデザイン設計
ユーザビリティ(使いやすさ)は、ホームページの成功を左右する重要な要素です。見た目の美しさだけでなく、訪問者が迷わず目的の情報にたどり着けるデザインを心がけましょう。
デザイン設計の基本原則として、まずナビゲーションはシンプルで分かりやすくすることが大切です。メニュー項目は7個以内に抑え、階層は3階層以内にし、パンくずリストを設置することで、訪問者が現在地を把握しやすくなります。
文字の読みやすさも重要です。本文のフォントサイズは14~16px以上、行間は1.5〜1.8倍に設定し、背景と文字のコントラストを十分に確保しましょう。これにより、長時間読んでも疲れにくいページになります。
現代ではスマートフォンからのアクセスが主流なので、モバイルファーストの設計も欠かせません。タップしやすいボタンサイズ(44px以上)を確保し、横スクロールが発生しないレイアウトにすることで、スマホユーザーにも快適な体験を提供できます。
配色についても統一感を持たせることが大切です。メインカラー、サブカラー、アクセントカラーの3色以内に抑え、企業のブランドカラーを活用しましょう。色の持つ意味(信頼感は青、情熱は赤など)も考慮すると、より効果的なデザインになります。
SEOを意識したコンテンツ作成
検索エンジンから訪問者を獲得するためには、SEO(検索エンジン最適化)を意識したコンテンツ作成が不可欠です。
SEOに効果的なコンテンツ作成のポイント:
要素 | 具体的な対策 | 期待できる効果 |
---|---|---|
タイトルタグ | キーワードを含め、32文字以内に | 検索結果でのクリック率向上 |
見出しタグ | h1〜h3を適切に使い分ける | コンテンツ構造の明確化 |
メタディスクリプション | 120文字程度で要約、キーワードを含める | 検索結果での表示改善 |
画像のalt属性 | 画像の内容を具体的に記述 | 画像検索からの流入増加 |
内部リンク | 関連ページへ適切にリンク | サイト内の回遊率向上 |
コンテンツの質 | オリジナルで有益な情報を提供 | 検索順位の向上 |
画像と動画の効果的な活用
視覚的な要素は、テキストだけでは伝えきれない情報を効果的に伝えることができます。
画像を使用する際は、ファイルサイズを200KB以下に圧縮し、適切なファイル名を付けることが大切です。例えば「IMG_1234.jpg」ではなく「company-office.jpg」のような分かりやすい名前にしましょう。著作権にも注意し、フリー素材を使用するか、オリジナル画像を用意します。また、レスポンシブ画像を使用して、各デバイスに最適な表示を実現しましょう。
動画を活用する場合は、YouTubeやVimeoにアップロードしてから埋め込むのがおすすめです。自動再生は避け、ユーザーが自分の意思で再生できるようにしましょう。動画の下にはテキストでも内容を説明し、動画を見られない環境の人にも情報が伝わるようにすることが大切です。
WordPressサイトの運用と管理
ホームページは作って終わりではありません。継続的な運用と管理が、成果を出すための鍵となります。ここでは、日々の運用で必要な作業と注意点を解説します。
定期的なメンテナンス作業
WordPressサイトを安全に運用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
月次で行うべきメンテナンス作業として、まずシステムの更新があります。WordPress本体、テーマ、プラグインの更新通知が来たら、バックアップを取ってから更新しましょう。セキュリティチェックも重要で、不正なログイン試行がないか、ファイルの改ざんがないか、不審なユーザーアカウントがないかを確認します。
パフォーマンスチェックでは、ページの表示速度を測定し(PageSpeed Insightsなどを使用)、画像の最適化状況を確認し、不要なプラグインを削除します。また、UpdraftPlusなどで設定した自動バックアップが正常に動作しているか確認することも大切です。
アクセス解析を活用した改善
GA4(グーグルアナリティクス4)などのアクセス解析ツールを導入し、サイトの状況を把握しましょう。
重要な指標と改善ポイント:
指標 | 意味 | 改善方法 |
---|---|---|
ページビュー数 | ページが表示された回数 | コンテンツの充実、更新頻度の向上 |
直帰率 | 1ページだけ見て離脱した割合 | ページの内容改善、内部リンクの充実 |
平均滞在時間 | サイトに滞在した時間 | コンテンツの質向上、読みやすさの改善 |
コンバージョン率 | 目標達成の割合 | CTAボタンの改善、フォームの簡素化 |
コンテンツの更新と情報管理
鮮度の高い情報を提供し続けることで、訪問者からの信頼を獲得できます。
効果的な更新方法として、お知らせは最低月1回は更新し、古い情報は定期的に見直して修正または削除しましょう。季節やトレンドに合わせたコンテンツを追加し、ユーザーからの質問をFAQに反映することで、より価値のあるサイトになります。定期的な更新は、検索エンジンからの評価も高め、SEO効果も期待できます。
WordPressでよくあるトラブルと解決方法
WordPressを使っていると、様々なトラブルに遭遇することがあります。ここでは、初心者がよく直面する問題とその解決方法を紹介します。
ログインできない時の対処法
「ログインできない」というトラブルは、最も多い問題の一つです。
パスワードを忘れた場合は、ログイン画面の「パスワードをお忘れですか?」をクリックし、登録メールアドレスを入力すれば、パスワードリセット用のメールが届きます。ユーザー名を忘れた場合は、レンタルサーバーの管理画面からデータベースを確認するか、メールアドレスでもログインできることを覚えておきましょう。
「間違っています」と表示される場合は、ブラウザのCookieとキャッシュをクリアしたり、別のブラウザで試したりしてみてください。それでも解決しない場合は、プラグインが原因の可能性があるので、FTPソフトでサーバーに接続し、プラグインフォルダの名前を一時的に変更して無効化してみましょう。
画面が真っ白になった時の対処法
「ホワイトスクリーン」と呼ばれる現象で、PHPエラーが原因であることが多いです。
復旧するには、まずFTPソフトでサーバーに接続し、直前に行った作業を元に戻します。プラグインを一時的に無効化し、テーマをデフォルトに戻してみましょう。それでも解決しない場合は、wp-config.phpファイルでデバッグモードを有効にして、エラー内容を確認します。エラーメッセージが表示されれば、原因を特定しやすくなります。
プラグインの競合による不具合
複数のプラグインが干渉し合って、不具合が発生することがあります。
トラブルシューティングは、まずすべてのプラグインを無効化し、一つずつ有効化して原因を特定します。競合しているプラグインを特定できたら、代替プラグインを検討するか、開発者に報告しましょう。プラグインは便利ですが、プラグイン同士やテーマとの相性問題もあることを理解しておくことが大切です。
表示速度が遅い時の改善方法
サイトの表示速度は、ユーザー体験とSEOの両方に大きく影響します。
2024年3月から、GoogleはCore Web Vitalsの指標として「INP(Interaction to Next Paint)」を導入しました。これは、ユーザーがクリックやタップをしてから、画面に反応が表示されるまでの時間を測定するもので、200ミリ秒未満が「良好」とされています。
速度改善のチェックリスト:
改善項目 | 具体的な対策 | 使用ツール・プラグイン |
---|---|---|
画像の最適化 | 圧縮、適切なサイズに変更、遅延読み込み | EWWW Image Optimizer |
キャッシュの活用 | ブラウザキャッシュ、ページキャッシュ | W3 Total Cache |
不要なプラグインの削除 | 使用していないプラグインを削除 | – |
データベースの最適化 | 不要なデータの削除 | WP-Optimize |
JavaScriptの最適化 | 遅延読み込み、非同期処理 | Autoptimize |
CDNの利用 | 静的ファイルの配信を高速化 | Cloudflare |
WordPressでのホームページ制作にかかる費用
WordPressでホームページを制作する際の費用は、自作するか制作会社に依頼するかで大きく異なります。それぞれのケースでかかる費用を詳しく見ていきましょう。
自分で作る場合の費用内訳
自分でWordPressサイトを作る場合、以下の費用が必要です。
必須費用:
項目 | 費用(年間) | 備考 |
---|---|---|
レンタルサーバー | 6,000〜15,000円 | 性能により価格差あり |
独自ドメイン | 1,000〜5,000円 | .comや.jpなど種類により異なる |
合計 | 7,000〜20,000円 | 年間の最低限必要な費用 |
オプション費用:
項目 | 費用 | 必要性 |
---|---|---|
有料テーマ | 10,000〜30,000円 | デザインにこだわる場合 |
有料プラグイン | 5,000〜20,000円/個 | 特殊な機能が必要な場合 |
画像素材 | 3,000〜10,000円/月 | プロ仕様の画像が必要な場合 |
外部ツール | 0〜5,000円/月 | メール配信、分析ツールなど |
制作会社に依頼する場合の相場
プロに依頼する場合、規模や要件により大きく費用が変わります。
制作費用の目安:
サイト規模 | ページ数 | 費用相場 | 制作期間 |
---|---|---|---|
小規模サイト | 5〜10ページ | 30〜50万円 | 1〜2ヶ月 |
中規模サイト | 20〜30ページ | 50〜100万円 | 2〜3ヶ月 |
大規模サイト | 50ページ以上 | 100万円〜 | 3ヶ月以上 |
ECサイト | – | 100〜300万円 | 3〜6ヶ月 |
追加でかかる可能性のある費用:
- 企画・ディレクション費:10〜30万円
- オリジナルデザイン費:20〜50万円
- コンテンツ作成費:1ページあたり1〜3万円
- 運用保守費:月額1〜5万円
自作と外注の判断基準
どちらを選ぶべきかは、以下の観点から判断しましょう。
自作が向いているのは、予算が限られている(初期費用20万円以下)場合や、時間的余裕がある場合です。パソコン操作に抵抗がなく、継続的に学習する意欲があり、シンプルなサイトで十分という方には自作をおすすめします。
一方、外注が向いているのは、予算に余裕がある(50万円以上)場合や、早急に公開する必要がある場合です。デザインや機能にこだわりたい、本業に集中したい、継続的なサポートが必要という方は、プロに依頼することを検討しましょう。
どちらを選んでも、それぞれにメリット・デメリットがあります。自社の状況を冷静に分析し、最適な選択をすることが大切です。
WordPressと他のホームページ作成方法の比較
WordPressが本当に最適な選択なのか、他の方法と比較して検討してみましょう。
主要なホームページ作成方法の比較
作成方法 | 初期費用 | 月額費用 | 難易度 | カスタマイズ性 | 適した用途 |
---|---|---|---|---|---|
WordPress | 低 | 低 | 中 | 高 | あらゆるサイト |
Wix | 無料〜 | 500〜2,500円 | 低 | 中 | 小規模サイト |
Jimdo | 無料〜 | 965〜2,460円 | 低 | 低 | 個人・小規模事業 |
ペライチ | 無料〜 | 0〜3,278円 | 低 | 低 | LP・1ページサイト |
HTML/CSS | 低 | 低 | 高 | 最高 | 特殊な要件のサイト |
独自CMS | 高 | 中〜高 | 高 | 高 | 大規模サイト |
WordPressのメリット・デメリット再確認
WordPressの強みとして、世界シェアNo.1で情報が豊富なこと、プラグインで機能拡張が自在にできること、SEOに強い構造であること、将来的な拡張性が高いこと、所有権が完全に自分にあることなどが挙げられます。
一方、WordPressの弱みとしては、初期設定にある程度の知識が必要なこと、セキュリティ対策が必須であること、定期的なメンテナンスが必要なこと、トラブル時は自己解決が基本となること、サーバー管理の責任があることなどがあります。
これらの特徴を理解した上で、自社に最適な選択をすることが重要です。
選択の決め手となるポイント
WordPressを選ぶべきかどうかは、以下の質問に答えることで判断できます。
将来的にサイトを拡張する予定がある場合は、WordPressが推奨されます。機能追加やページ増設が容易なためです。SEO対策を重視する場合も、WordPressは構造的に有利です。月1万円以上の運用費を避けたい場合は、WordPressなら低コストで運用できます。
技術的な学習に時間を割ける場合は、WordPressでの制作が可能です。完全な管理権限が必要な場合は、WordPress一択となります。これらの質問に対する答えを総合的に判断し、最適な選択をしましょう。
WordPressを成功させるための実践的アドバイス
最後に、WordPressでホームページ制作を成功させるための実践的なアドバイスをまとめます。これらは、多くの制作者が経験から学んだ貴重な知見です。
段階的に完成度を高める
完璧を求めすぎて公開できないよりも、最小限の機能でまず公開し、徐々に改善していく方が効果的です。
推奨する進め方は、第1段階として基本ページのみで公開(1週間)、第2段階でデザインの調整(2週間)、第3段階で機能の追加(1ヶ月後)、第4段階でコンテンツの充実(継続的に)という流れです。この段階的アプローチにより、早期に公開でき、ユーザーの反応を見ながら改善できます。
学習リソースの活用
WordPressの学習には、以下のリソースが役立ちます。
まず公式サイトのドキュメント(https://ja.wordpress.org/support/)は、最も信頼できる情報源です。YouTubeの解説動画も視覚的に学べて理解しやすいでしょう。より体系的に学びたい場合は、UdemyやSchooなどのオンライン学習サイトを活用するのもおすすめです。
WordPressコミュニティへの参加も有益です。他のユーザーと情報交換ができ、最新の情報を得られます。しかし何より大切なのは、実際に手を動かして試行錯誤することです。失敗を恐れずチャレンジすることで、確実にスキルが身につきます。
バックアップと復旧計画
「転ばぬ先の杖」として、必ずバックアップ体制を整えましょう。
バックアップのベストプラクティスとして、プラグイン(UpdraftPlusなど)で自動バックアップを毎日または週1回設定し、バックアップデータの保存先をサーバー内とクラウドに分散させます。年に1回程度は復旧テストを実施し、重要な変更前には必ず手動でバックアップを取るようにしましょう。この準備により、万が一のトラブルでも安心して対処できます。
継続的な改善サイクル
ホームページは「作ったら終わり」ではなく、継続的な改善が必要です。
PDCAサイクルを実践することで、サイトを着実に成長させることができます。まずPlan(計画)で改善点の洗い出しと優先順位付けを行い、Do(実行)で改善を実施します。Check(評価)でアクセス解析による効果測定を行い、Action(改善)で結果を踏まえた次の施策を立案します。このサイクルを回し続けることで、より良いホームページに育てていけます。
プロに相談すべきタイミング
セキュリティに関する重大な問題が発生した場合、大規模なリニューアルを検討している場合、ECサイトなど複雑な機能が必要な場合、法人として本格的な運用を始める場合、技術的な限界を感じた場合などは、専門家への相談を検討しましょう。プロの力を借りることで、より効率的に目標を達成できることもあります。
まとめ
WordPressを使ったホームページ制作は、初心者でも十分に可能です。大切なのは、完璧を求めすぎず、まず始めてみることです。基本的な知識を身につけ、段階的にスキルアップしていけば、プロフェッショナルなホームページを作ることができます。
本記事で解説した内容を参考に、ぜひあなたもWordPressでのホームページ制作にチャレンジしてみてください。最初は難しく感じるかもしれませんが、一つ一つ着実に進めていけば、必ず素晴らしいホームページが完成するはずです。

記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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