SEO対策

Googleがサクラレビュー禁止を明文化|口コミ表示の新ルール

「お客様の声を集めて、検索結果に星マークを出したい」。ホームページのリニューアルや商品ページの改善を進めるなかで、こうしたご相談をいただく機会が年々増えています。

しかし2026年7月24日、Googleはレビュー(クチコミ抜粋)の構造化データに関する公式ドキュメントへ、新しいガイドラインを1行追記しました。内容は「偽のレビューや、インセンティブを受けていることを開示していないレビューを、ページ上や構造化データのマークアップに含めないでください」というものです。

一見すると当たり前のことに思えますが、Googleがわざわざ明文化したという事実には意味があります。裏を返せば、こうした手法が実際に横行しているとGoogleが認識している、ということでもあるからです。

この記事では、追記されたガイドラインの正確な中身、日本のステマ規制との関係、そして中小企業が自社サイトで今すぐ点検すべきポイントを、実務目線で整理します。読み終えるころには、「うちのお客様の声のページは大丈夫か」を自分で判断できる状態になっているはずです。

記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司

目次

Googleが追記した新ガイドラインの中身

星評価を虫眼鏡で確認するノートパソコンのアイソメトリックイラスト

まずは、今回の変更点を正確に押さえておきましょう。報道や要約を経由すると細部がぼやけてしまうため、ここでは原文の趣旨に沿って丁寧に確認します。

追記されたのは「レビュースニペット」のガイドライン

変更が加えられたのは、Google検索セントラルのレビュースニペット(日本語版では「クチコミ抜粋」)に関する構造化データのドキュメントです。海外SEOメディアのSearch Engine LandおよびSearch Engine Roundtableは、いずれも2026年7月24日(金)付でこのページのガイドライン欄が更新されたと報じています。

レビュースニペットとは、レビューサイトや商品ページに投稿された評価を短く抜き出して検索結果に表示する仕組みのことです。多くの場合は複数の投稿者の評価スコアを平均した数値が使われ、検索結果のリッチリザルトやナレッジパネルに星マークとして表示されます

この星マークは、クリック率に少なからず影響を与える要素として知られています。だからこそ多くの企業が導入を検討し、同時に「数字を良く見せたい」という誘惑も生まれやすい領域でした。

新しい一文と、示された2つの具体例

今回追加された一文は、日本語に訳すと「偽のレビューや、インセンティブを受けていることが開示されていないレビューを、ページ上または構造化データのマークアップに含めないでください」となります。ポイントは、構造化データだけでなく「ページ上」にも言及している点です。

つまり、マークアップから該当のレビューを外せば済む、という話ではありません。ページに掲載していること自体が問題になり得るという書き方になっています。

Googleはさらに、「偽のレビュー」「開示されていないインセンティブ付きレビュー」の具体例として、次の2つを挙げています。

  • 商品やサービスの実際の体験にもとづいていないレビュー
  • 金銭・割引・クーポン・無料商品などの利益と引き換えに書かれたレビューのうち、インセンティブがあったことを明確かつ目立つ形で開示していないもの

この2つは、それぞれ性質が異なります。前者は「体験がそもそも存在しない」という捏造の問題であり、後者は「体験は本物だが、対価を受け取っていることを隠している」という透明性の問題です。

Googleが示した更新理由は「透明性の向上」

Googleは検索セントラルの更新履歴で、この変更を行った理由を「ユーザーレビューの透明性を向上させるため」と説明しています。取り締まりの強化というより、期待値の明示に近いニュアンスです。

また、Search Engine Roundtableは、この追記によって構造化データのガイドラインがGoogleビジネスプロフィールのクチコミポリシーとより整合的になったと指摘しています。ビジネスプロフィール側では以前から、報酬と引き換えのクチコミ依頼が禁止されてきました。

今回の追記は、その考え方を自社サイト側のレビュー表示にも同じ基準で適用する、という宣言に近いものだと私は受け止めています。地図と自社サイトで別のルールが適用される、という状態が解消されたわけです。

レビュースニペット以外の変更は確認されていない

今回の更新で変わったのは、ガイドラインへの1項目と2つの例の追加のみです。構造化データのプロパティ仕様や必須項目、対象となるコンテンツタイプなどに変更は報じられていません。

したがって、既存のマークアップを技術的に書き換える必要はありません。見直すべきは、あくまで「そこに入れているレビューデータの中身と集め方」です。

なぜ今、口コミの透明性が問われているのか

AIチップにデータが集まるアイソメトリックイラスト

ガイドラインの一文だけを見ると「当たり前では」と感じる方も多いでしょう。しかし、この明文化が2026年のこのタイミングで行われたことには、いくつかの背景があります。

AI検索が口コミを「そのまま引用する」時代になった

従来、検索結果の星マークはあくまで一覧画面の装飾でした。ユーザーはクリックして自分の目でレビューを読み、真偽をある程度判断していたわけです。

ところがAI Overviews(AIによる概要)やAIモードが一般化した現在、状況は変わりました。AIが構造化データや本文中の評価情報を読み取り、「この店の評判は良いようです」と要約して提示するケースが増えています。

この場合、ユーザーは元のレビューを一件も読まないまま結論だけを受け取ることになります。仮に偽のレビューが混ざっていても気づく手段がなく、誤情報がそのまま意思決定に使われてしまいます。

検索結果に表示する情報の信頼性を担保する責任は、AIが要約する分だけ重くなっているといえます。Googleがレビューデータの入口を締めたのは、この構造変化と無関係ではないでしょう。

レビュー生成そのものが自動化しやすくなった

もうひとつの背景は、生成AIによって「それらしい文章」を大量に作ることが容易になった点です。以前は不自然な日本語で見分けがついた捏造レビューも、今では読んだだけでは判別が難しくなっています。

実際、Googleは2026年に入ってから、AIを使った検索結果の操作をスパムポリシー違反として扱う方針を繰り返し示してきました。レビューも例外ではないという整理は、自然な流れです。

文章の巧拙で見抜けないのであれば、ルールとして禁止を明示し、違反が判明した時点で表示資格を失わせる。Googleが取り得る現実的な手段は、そこに収束していきます。

日本でも口コミ関連の規制と摘発が進んでいる

国内に目を向けると、2023年10月1日にいわゆるステマ規制が施行されています。景品表示法にもとづく告示により、事業者の表示であるにもかかわらず一般消費者がそれを判別できない表示が禁止されました。

この規制は、企業が依頼して書かせた口コミやレビューにも及びます。「PR」「提供」などの表記がなく、第三者の自発的な感想に見えてしまう投稿は、規制の対象になり得るという整理です。

ただし、両者の基準が完全に一致しているわけではありません。消費者庁のQ&Aでは、投稿内容を指示せず、割引やクーポンの提供を条件にレビュー投稿を依頼するだけであれば、通常は事業者の表示には当たらないという整理が示されています。

一方でGoogleビジネスプロフィールのポリシーは、対価と引き換えのクチコミ依頼そのものを認めていません。プラットフォームのルールが法令より厳しい場面がある、という前提で運用を設計する必要があります。

なお景品表示法の適用可否は個別の事情によって判断が分かれます。自社の施策が規制に触れるかどうかの最終判断は、弁護士など専門家にご相談ください。

「星の数」への依存が高まりすぎた反動

飲食店、クリニック、士業、工務店。業種を問わず、いまや購入や来店の前に評価点を確認する行動は当たり前になりました。評価点が0.2ポイント違うだけで問い合わせ数が変わる、という実感を持つ経営者の方も多いはずです。

影響力が大きいからこそ、数字を操作するインセンティブも大きくなります。市場に歪みが生じたとき、プラットフォーム側がルールを厳格化するのは自然な反応です。

私は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして日々ご相談を受けていますが、ここ数年で「口コミの集め方が不安だ」というご相談は明確に増えています。売上に直結する領域だからこそ、グレーな手法に手を出したくなる心理が働きやすいのだと感じます。

「インセンティブ付きレビュー」はどこまで許されるのか

ギフトボックスとコインと星のアイソメトリックイラスト

今回のガイドラインで最も判断に迷うのが、この論点です。特典を渡してレビューをお願いする行為が、全面的に禁止されたわけではありません。

禁止されているのは「開示していないこと」

Googleの文言をもう一度確認すると、禁止対象は「インセンティブがあったことを明確かつ目立つ形で開示していない」レビューです。開示さえ適切に行っていれば、直ちに違反となるわけではありません。

たとえば、モニター提供を受けた方のレビューであることをレビュー本文のすぐそばに明記しておく。読み手がレビューを読む前に、その事実に気づける配置になっているかが判断の軸になります。

一方で、利用規約のなかに小さく書いておく、メールのフッターに触れるだけ、別ページのポリシーに記載しておくといった対応では、「明確かつ目立つ」という基準を満たすとは考えにくいでしょう。開示は、レビューと同じ視界に入っていて初めて機能します。

Googleビジネスプロフィールでは扱いが異なる点に注意

ここで混同しやすいのが、自社サイトのレビューとGoogleビジネスプロフィール(Googleマップ)のクチコミの違いです。両者はルールが完全には一致していません。

ビジネスプロフィールのクチコミについては、割引や景品と引き換えにクチコミを依頼する行為自体が従来から禁止されています。「開示すればよい」という考え方は、地図上のクチコミには当てはまりません

店頭に「口コミ投稿でドリンク1杯サービス」といった掲示をしている店舗を見かけることがありますが、これはビジネスプロフィールのポリシーに抵触するおそれのある運用です。悪質と判断されればクチコミの削除やプロフィールの制限につながる可能性があります。

「体験にもとづかないレビュー」の落とし穴

もう一方の例である「実際の体験にもとづかないレビュー」は、明らかな捏造だけを指すわけではありません。実務では、意図せず該当してしまうケースがあります。

典型的なのが、社員や家族に依頼して投稿してもらったパターンです。本人が実際に使っていれば体験は存在しますが、利害関係の開示がなければ透明性の観点で問題が残ります。

また、アンケートで得た感想を制作会社が文章として整えて掲載する場合も注意が必要です。元の体験が本物でも、原型をとどめないほど加筆されていれば、それは投稿者のレビューとは言いにくくなります。

誤字の修正や個人名の伏せ字化といった編集は一般に問題ありません。線引きは、評価の内容そのものに手を加えているかどうかにあります。

他社サイトから転載したレビューの扱い

ポータルサイトや予約サイトに寄せられたレビューを、自社サイトへ転載しているケースもよく見かけます。この場合、そのレビューがどのような条件で集められたかを自社では把握しきれません。

転載元がインセンティブ施策を行っていた場合、結果的に自社サイトに開示なしのインセンティブ付きレビューを掲載していることになります。出典を明記したうえで、集め方の条件を確認できるものだけを扱うのが安全です。

そもそもレビュースニペットの構造化データは、自社が管理していないレビューを自社ページのマークアップとして扱うこと自体に注意が必要な領域です。判断に迷う場合は、マークアップの対象から外すという選択も検討に値します。

日本のステマ規制との関係を整理する

書類と拡声器を乗せた天秤のアイソメトリックイラスト

Googleのガイドラインと日本の法規制は、目的が近い一方で射程が異なります。両者の関係を誤解したまま運用すると、片方だけをクリアして安心してしまう事態になりかねません。

ステマ規制のおさらい

ステマ規制は、2023年3月28日に告示および運用基準が定められ、同年10月1日から施行されました。正式には景品表示法第5条第3号にもとづく指定であり、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が禁止対象です。

ポイントは、規制の名宛人が投稿者ではなく事業者である点です。インフルエンサーが表記を怠った場合でも、責任を問われるのは依頼した事業者側という建て付けになっています。

そのため、外部に依頼して口コミを増やす施策を行う際は、表記のルールを契約や報酬条件に組み込んでおく必要があります。「お願いしたつもりはなかった」という説明は通用しにくい領域です。

重なる部分と、重ならない部分

Googleの新ガイドラインとステマ規制は、「対価を受け取った投稿であることを隠さない」という考え方において方向性が一致します。開示を徹底しておけば、どちらの観点でもリスクを下げられます。

一方で、重ならない部分もあります。前述のとおり、星の数や特定のコメントを条件にせず単にレビュー投稿を依頼するだけであれば、告示違反にはならないと整理されている一方、Googleビジネスプロフィールのポリシーでは対価付きの依頼が禁止されています。

また、ステマ規制は日本国内の広告表示に関する法規制であり、検索結果への表示可否を直接左右するものではありません。

逆にGoogleのガイドラインは法令ではないため、違反しても行政処分を受けるわけではありません。代わりに、リッチリザルトの表示資格を失うという形で影響が出ます

つまり、法令リスクと集客リスクの両方が存在し、それぞれ別の経路でダメージが来るということです。どちらか一方への対応で済ませられる状況ではありません。

開示表記の実務的な書き方

では、具体的にどう書けばよいのでしょうか。消費者庁の運用基準では、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった表記が例示されています。

自社サイトのレビュー欄であれば、レビュー本文の直前または直後に、次のような一文を添える形が実務的です。文字サイズを本文より小さくしすぎない、背景と同系色にしないといった配慮も欠かせません。

  • 「※本レビューは、商品モニターとして無償提供を受けた方の投稿です」
  • 「※アンケート回答特典(500円分クーポン)の提供を受けた方の投稿です」
  • 「※弊社従業員による投稿です」

大切なのは、読み手が誤解しない状態を作ることです。表記の文言そのものよりも、「見えているか」「読む前に気づけるか」が評価の分かれ目になります。

医療・法律に関わる分野は特に慎重に

クリニックや歯科医院、法律事務所などの場合、口コミの扱いには別のルールも重なります。医療広告ガイドラインでは、治療等の内容や効果に関する患者の体験談を広告に掲載することが禁止されており、ウェブサイトであっても、いわゆる限定解除の対象外とされています。

ただし、待ち時間や接遇といった治療の内容・効果に関わらない感想までが一律に禁止されているわけではありません。線引きが細かいため、掲載前の確認が欠かせない領域です。

「口コミを集めて星マークを出す」という一般的なSEO施策が、そもそも実施できない業種があるということです。構造化データの導入を検討する前に、業種ごとの広告規制を確認する順序が安全です。

医療広告や弁護士業務広告の規制は解釈が難しく、事案ごとに判断が分かれます。該当分野の方は、必ず所轄の行政窓口や専門家にご相談ください。

自社サイトの口コミを点検する7つの手順

チェックリストと虫眼鏡と歯車のアイソメトリックイラスト

ここからは実務編です。今回のガイドライン追記を受けて、自社サイトで何を確認すべきかを手順として整理します。

手順1:レビュー構造化データの有無を確認する

まず、自社サイトにレビュー系の構造化データが入っているかを確認します。Search Consoleの「拡張」レポートに「レビュー スニペット」の項目が表示されていれば、Googleが認識している状態です。

個別ページで確認する場合は、Googleのリッチリザルトテストが使えます。検出された項目にreviewやaggregateRatingが含まれていれば、今回のガイドラインの対象です。

WordPressをお使いの場合、SEOプラグインやレビュープラグインが自動でマークアップを出力していることがあります。「入れた覚えがない」というケースも珍しくないため、実際の出力を必ず目視で確認してください。

手順2:掲載中のレビューの出所を棚卸しする

次に、いま掲載しているレビューが「いつ」「どこから」「どのような条件で」集まったものかを一覧化します。表計算ソフトで、投稿日・取得経路・特典の有無・開示表記の有無を列にすると整理しやすくなります。

数年前から掲載しているレビューほど、経緯が分からなくなっているものです。担当者が代わっている場合は、当時のアンケート用紙や依頼メールを掘り起こす作業が必要になることもあります。

経緯が確認できないレビューは、リスク管理の観点では「不明」として扱うのが妥当です。不明なものを構造化データの集計対象に含め続けるかは、経営判断になります。

手順3:特典付きレビューに開示表記を追加する

棚卸しの結果、特典と引き換えに集めたレビューが見つかった場合は、開示表記を追加します。既存の掲載分についても、遡って表記を入れることが望ましい対応です。

表記の追加が難しい場合や、当時の条件が特定できない場合は、掲載を取り下げるという選択肢もあります。件数を減らしてでも、説明できる状態にしておくほうが長期的には安全です。

手順4:自作・社内投稿のレビューを外す

制作段階のダミーテキストがそのまま残っている、社内で作成した架空のお客様の声が掲載されている。こうしたケースは、意外なほど頻繁に見つかります。

これらは「実際の体験にもとづかないレビュー」に明確に該当します。発見した時点で削除し、構造化データの評価件数も実態に合わせて修正してください。

10年以上のホームページ制作の現場で、延べ1,000件を超えるサイトを拝見してきましたが、公開後に誰も見返していないレビュー欄というのは想像以上に多いものです。まずは自社サイトを一度、来訪者の目線でひととおり読み直すことをおすすめします。

手順5:評価点と件数が実データと一致しているか照合する

aggregateRatingで出力している平均点とレビュー件数が、ページに表示されている実際のレビューと一致しているかを確認します。数字だけを手入力で設定しているサイトは要注意です。

ページ上に3件しか表示していないのに、マークアップでは「レビュー件数120件・平均4.9」と出力されている。こうした不整合は、Googleの構造化データ全般のガイドラインにも反します。

実データと一致させることは、今回の追記以前から求められていた基本です。この機会にあわせて点検しておきましょう。

手順6:Googleビジネスプロフィール側の運用を見直す

自社サイトの点検と並行して、Googleビジネスプロフィールのクチコミ依頼の運用も確認します。店頭掲示、レシート、DM、SNSでの呼びかけなど、依頼の接点は複数あるはずです。

特典を条件にした依頼が残っていないか、スタッフが独自に案内していないかを含めて洗い出してください。ルールを知らないまま善意で運用しているケースが大半です。

依頼そのものは禁止されていません。「クチコミをお願いします」と伝えること自体は問題なく、対価を条件にしないことが要点です。

手順7:社内ルールとして文書化する

最後に、点検して整えた基準を社内ルールとして文書に残します。担当者の交代や外部委託先の変更があっても、運用が崩れないようにするためです。

盛り込むべき項目は、レビューの収集方法、特典の可否、開示表記のテンプレート、掲載前の確認者、削除の基準の5点です。A4で1枚あれば十分に機能します。

ルールが文書になっていれば、万が一の指摘があった際にも「意図的ではない」と説明する材料になります。属人的な運用から脱することが、いちばんの再発防止策です。

違反するとどうなるのか、そして健全に口コミを集める方法

警告マークとブラウザ画面と盾のアイソメトリックイラスト

ルールを守る必要性は理解できても、「実際に何が起きるのか」が見えないと社内の合意は得にくいものです。想定されるリスクと、その裏返しとしての正攻法を整理します。

起こり得る3つの影響

まず考えられるのは、リッチリザルトの表示停止です。ガイドライン違反が検出されると、該当ページの星マークが検索結果に出なくなる可能性があります。

次に、Search Consoleを通じた手動による対策(マニュアルアクション)の通知です。構造化データに関する手動対策を受けると、該当ページの構造化データが無視され、リッチリザルトの対象外になります

この場合でも、ページそのものが検索結果から削除されるわけではありません。とはいえ、一覧画面での視覚的な差別化要素を失う影響は決して小さくないでしょう。

そして3つ目が、レピュテーションへの影響です。偽レビューの掲載が外部に指摘された場合、検索順位以上に企業の信用に直接響きます。

実際、指摘がSNSで拡散し、社名の検索候補にネガティブな語が並ぶようになるケースもあります。一度定着したサジェストを元に戻すのは、掲載を止めるよりはるかに手間のかかる作業です。

回復には時間がかかると考えておく

違反状態を解消しても、表示がすぐ戻るとは限りません。Googleが再クロールし、修正を認識するまでには一定の時間が必要です。

手動対策を受けた場合は、修正後に再審査リクエストを送る手順が必要になります。審査には数週間かかることもあり、その間は星マークのない状態が続きます

繁忙期に表示が消えれば、機会損失は決して小さくありません。事前の点検にかけるコストのほうが、はるかに安上がりです。

正攻法1:依頼のタイミングを設計する

ここからは、ルールを守りながら口コミを増やす方法です。最も効果が出やすいのは、依頼するタイミングの見直しです。

顧客の満足度が最も高まる瞬間、つまり施工完了直後、成果が出た報告をした直後、商品が届いて使い始めた頃合いに声をかけます。特典を用意しなくても、この設計だけで回収率は大きく変わります。

逆効果になりやすいのは、月末にまとめて一斉送信するようなやり方です。顧客ごとの体験のピークは異なるため、個別のタイミングに合わせるほうが自然な文章が集まります。

正攻法2:書く負担を下げる

口コミが集まらない理由の多くは、不満ではなく面倒さです。何を書けばいいか分からない状態が、投稿をためらわせています。

そこで、「導入前に困っていたこと」「決め手になった点」「使ってみた感想」といった3つの問いを添えると、書き出しのハードルが下がります。ただし例文をそのまま提示すると内容を誘導することになるため、問いの形にとどめるのが要点です。

QRコードで投稿先まで1タップで到達できるようにしておくことも効果的です。入口の摩擦を減らす工夫は、ルールに一切抵触しません。

正攻法3:低評価も残し、返信する

高評価だけを選んで掲載したくなる気持ちは分かりますが、極端に高い平均点は読み手に不信感を与えます。すべてが5点満点のレビュー欄は、かえって信頼されません。

低評価を残したうえで、丁寧に返信している企業のほうが、結果として問い合わせにつながる傾向があります。対応の姿勢そのものが、見込み客への説明材料になるからです。

また、掲載するレビューを恣意的に選別する行為は、それ自体が実態を歪める表示につながりかねません。公開基準を決めておき、その基準を明示しておくと運用が安定します。

正攻法4:口コミを検索資産として活かす

集まった口コミは、星マークのためだけに使うにはもったいない資産です。顧客が実際に使った言葉は、検索クエリとしても価値があります。

「保証期間はどれくらい」「対応エリアは」といった質問がレビューに繰り返し出てくるなら、その疑問はまだサイトで解消できていないということです。FAQや導入事例のページに反映すれば、AI検索での引用可能性も高まります。

口コミ対策とコンテンツ制作は、切り離せる作業ではありません。顧客の声を起点にサイトを育てていく発想が、遠回りに見えて最短の道になります。

よくある質問

青とオレンジの吹き出しが並ぶアイソメトリックイラスト

Q1. すでに掲載している古いレビューも対象になりますか

はい、現在ページに掲載されているレビューはすべて対象と考えるのが妥当です。ガイドラインは投稿時期ではなく、いま表示されている状態に対して適用されます。

過去の施策で集めたものであっても、開示が必要な内容であれば表記を追加するか、掲載を見直す必要があります。「昔のことだから」という理由での免除は想定されていません。

Q2. アンケート回答者に粗品を渡すのも違反になりますか

自社サイトに掲載する場合は、粗品の提供があった事実を明確かつ目立つ形で開示していれば、直ちに違反とはなりません。開示があるかどうかが判断の軸です。

ただし、Googleビジネスプロフィールのクチコミを対象とした依頼の場合は事情が異なります。対価と引き換えのクチコミ依頼はポリシーで禁止されているため、粗品を条件にした案内は避けてください。

Q3. 構造化データを外せば問題は解決しますか

今回のガイドラインは「ページ上または構造化データのマークアップに含めない」と書かれています。マークアップを外しても、掲載自体が残っていれば懸念は解消されません。

加えて、日本のステマ規制は構造化データの有無とは無関係に適用されます。表示している内容そのものを整えることが本筋です。

Q4. 星マークが消えたら違反していると考えるべきですか

必ずしもそうとは限りません。リッチリザルトの表示はGoogleの判断によるもので、ガイドラインを満たしていても表示されないことがあります。

まずはSearch Consoleの手動による対策のレポートを確認してください。通知が届いていなければ、違反以外の要因である可能性が高いといえます。

Q5. 従業員が自社サービスをレビューするのは禁止ですか

自社サイトに掲載する場合、従業員による投稿であることを開示していれば、掲載自体が直ちに否定されるわけではありません。ただし、第三者の声として見せることは避けるべきです。

評価の集計対象に含めると、平均点の意味が変わってしまいます。実務上は、お客様の声とは別の枠で扱うほうが分かりやすくなります。

Q6. AI検索でも口コミは引用されますか

AI Overviewsなどの生成AIによる回答では、ページ上の評価情報が参照されることがあります。構造化データが整っていることは、引用されやすさの一因になり得ます。

ただし、引用されるかどうかを保証する仕組みはありません。確実に上位表示される、確実に引用されるといった説明には注意が必要です。

Q7. 何から手をつければよいでしょうか

まずは、自社サイトにレビュー構造化データが入っているかの確認から始めてください。入っていなければ、今回の追記による直接の影響はありません。

入っている場合は、掲載中のレビューの出所を棚卸しする作業が最優先です。1日あれば、おおよその状況は把握できます。

まとめ

星と盾と虫眼鏡が並ぶノートパソコンのアイソメトリックイラスト

2026年7月24日、Googleはレビュースニペットの構造化データガイドラインに、偽レビューと開示のないインセンティブ付きレビューを含めないよう求める一文を追記しました。理由は「ユーザーレビューの透明性を向上させるため」と説明されています。

示された例は、実際の体験にもとづかないレビューと、対価と引き換えに書かれながらその事実を明確に開示していないレビューの2つです。禁止されているのは特典を渡すこと自体ではなく、それを隠すことだと整理できます。

ただしGoogleビジネスプロフィールのクチコミについては、対価と引き換えの依頼が従来から禁止されています。自社サイトと地図で基準が異なる点には、引き続き注意が必要です。

今日から取り組めることは、レビュー構造化データの有無を確認し、掲載中のレビューの出所を棚卸しし、必要な開示表記を追加する。この3つです。あわせて、社内ルールとして文書に残しておけば、担当者が代わっても運用は崩れません。

口コミは、集めた数よりも説明できる状態であることのほうが、長期的な資産価値を左右します。透明性を前提に運用していくことが、AI検索の時代における最も確実な備えになるはずです。

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