2025年のSEO業界は、Googleのアルゴリズム更新とAI技術の急速な進化によって大きな転換期を迎えています。このレポートでは、2025年4月時点での最新SEOトレンドを徹底解説し、Webサイト運営者やマーケティング担当者が今すぐ取り入れるべき実践的な対策を提案します。
記事執筆：認定SEOコンサルタント 三田健司
Googleコアアップデートによる検索結果の変動
3月14日に開始されたGoogleのコアアップデートは3月27日に正式にロールアウトが完了しましたが、その前後も含めて検索結果には不定期な変動が継続して発生しています。SEMRUSHとMOZという異なるSEO観測ツールのデータを分析すると、両者の検出した変動幅は驚くほど近似しています。これは、今回のアップデートが特定のニッチやキーワードジャンルに限定されず、検索の品質全体にわたる広範な変更であることを示唆しています。
検索結果の表示件数減少
コアアップデート以降の大きな変化として、検索結果1ページ目に表示されるオーガニック検索結果数の減少が挙げられます。現在の平均表示件数は7件となっており、従来の10件から大幅に減っています。
この変化はSEO戦略に大きな影響を与えています。従来の「トップ10入り」を目標とするアプローチから「トップ7入り」を目指す戦略への転換が必要となってきました。つまり、これまで以上に競争が激化し、上位表示の難易度が高まっているのです。
SERP機能の変化
MozCastの調査データによれば、様々なSERP機能の表示率も大きく変動しています：
| SERP機能 | 以前の表示率 | 現在の表示率 | 変化 |
|---|---|---|---|
| バーティカル検索 | 48% | 63% | +15% |
| ビデオ検索 | 22% | 44% | +22% |
| ナレッジグラフ | 80%台 | 89.8% | +約10% |
| 関連質問 | 80%台 | 89% | +約10% |
これらの数値は、Googleが単一の検索結果形式だけでなく、ユーザーの検索意図に応じた多様な情報提示方法を採用していることを示しています。特にビデオコンテンツの重要性が倍増しており、コンテンツ戦略を考える上で無視できない要素となっています。
AI Overviewの急速な拡大
コアアップデート後、最も顕著な変化の一つがAI Overview（GoogleのAIによる概要）機能の拡大です。エンタープライズSEOプラットフォームBrightEdgeが提供したデータによれば、3月13日から27日の間にAI Overviewsの表示率は業種によって大幅に増加しました：
- エンターテイメント関連クエリ：528%増加
- 例：「山田孝之の映画」、「渋谷で撮影された映画」
- レストラン関連クエリ：387%増加
- 例：「デート向けレストラン」、「近くの高級レストラン」
- 旅行関連クエリ：381%増加
- 例：「ハワイでやるべきこと」、「ラスベガスでやるべきこと」
この傾向は、Googleが特定の意図を持つクエリに対して、従来の「10個のブルーリンク」よりもAIによる直接的な回答を優先し始めていることを示しています。AI Overviewが表示されると、ユーザーがサイトに訪問する前に情報を得られるため、クリック率（CTR）が低下する可能性があります。
しかし、この変化はピンチでもありチャンスでもあります。AI Overviewで引用されるソースとなれば、ブランド認知度や権威性の向上につながる可能性があるのです。そのためには、「引用するに値する一次情報源」となることが重要な戦略となります。
検索エンジン市場の新たな動き：Bing Copilot検索
検索エンジン市場においても大きな変化が起きています。MicrosoftはBingにおいてAIを全面的に活用した「Copilot検索」という形で新しい検索体験を提供し始めました。
Bing Copilot検索の特徴
Copilot検索は、従来のリンク一覧を表示する方式ではなく、ユーザーのクエリに対してAIが直接回答を生成する形式を採用しています。回答には参照元リンクが明示されており、信頼性も確保されています。さらに、会話形式でのフォローアップ質問にも対応し、検索の体験がより自然で対話的になっています。
機能的にはGoogleの「AIモード」と類似していますが、Bingは無料かつ全ユーザー対象で提供している点が大きな差別化要因です。
Googleが評価するコンテンツの条件
AI生成コンテンツに対するGoogleの姿勢
GoogleはAIによるコンテンツ生成自体を一律に禁止しているわけではありません。問題となるのは「独自性・労力・付加価値のない大量生成コンテンツ」です。
新たに更新された品質評価ガイドラインでは、コピーや言い換え、AI生成中心のページについて、「最低評価」が適用される条件が明示されました。これはAIコンテンツに対する評価基準が厳格化されたことを示しています。
Googleのダニー・サリバン氏は「AIであってもユーザーに役立つ付加価値を提供する使い方は評価される」とコメントしています。例えば、ユーザーレビューの要約などは好例です。
重要なのは「AIかどうか」ではなく、そのコンテンツが誰のために、どんな目的で作られているかという点です。単なるトラフィック獲得目的ではなく、ユーザー視点で独自性ある内容を提供することが求められます。
インデックスから削除されるページの条件
Googleのマーティン・スプリット氏は、「ユーザーの役に立たないページは、インデックスから削除される可能性がある」と述べています。検索結果に表示されない主な理由は、他のページの方が有益だと判断されたためです。
表示されない主な要因として以下が挙げられます：
- ユーザーの検索意図に合っていない
- 直帰率が高く、滞在時間が短い
- 関連性が低く、クリックされない
特に注意すべき点として、品質が低いページの量産はドメイン全体の信頼性を下げる要因になります。最悪の場合、今後公開する高品質コンテンツでさえインデックスされない可能性もあります。
対策としては、「検索クエリに合致し価値ある情報を提供すること」が最も重要です。Googleは、「一度はチャンスを与えたが、役立たなかった」と判断したページを除外する傾向があります。
まとめ：2025年のSEO対策の方向性
2025年4月時点のSEO環境は、AIの急速な台頭とGoogleのコアアップデートにより大きく変貌しています。もはやSEOの成功は単純なキーワード対策や被リンク数では測れなくなりました。
今後のSEO対策においては、以下の3つの方向性が重要になります：
- ユーザー意図を深く理解したコンテンツ設計
- 検索キーワードの背後にある真のニーズを掘り下げ、それに応える包括的なコンテンツを提供する
- 見出し構造を通じて検索エンジンとユーザー双方に意図を明確に伝える
- 引用される価値のある情報源としての地位確立
- AI Overviewやチャットボットに引用されるための一次情報を創出する
- 専門性、権威性、信頼性（E-E-A-T）を徹底的に強化する
- マルチフォーマット戦略の強化
- ビデオコンテンツなど、成長しているSERP機能に対応したコンテンツ制作
- 従来の「テキスト中心」から「複合メディア」アプローチへの移行
検索エンジンもAIも、最終的には「ユーザーの問題を最も効果的に解決するコンテンツ」を評価します。技術的なSEO対策は依然として重要ですが、真に差別化されるのは「ユーザー価値の提供」という基本に立ち返った取り組みなのです。
AI技術の進化は決して脅威ではなく、質の高いコンテンツ制作者にとっては大きなチャンスです。この変革期を乗り越え、次世代のSEOでリードするためには、技術トレンドの把握と本質的な価値提供のバランスが鍵となるでしょう。
※このレポートは2025年4月時点の情報に基づいています。SEO状況は常に変化していますので、最新情報の確認をお勧めします。
記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
（社）全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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