Googleは2026年6月10日、ブラジルで開催されたイベント「Google for Brazil」において、生成AIアシスタント「Gemini」とGoogleビジネスプロフィール(GBP)を連携させる新機能を発表しました。営業時間の変更、クチコミへの返信、集客データの分析といった日々の運用作業を、Geminiとの会話だけで完結できるようになります。
この機能はすでに全世界への展開が始まっており(EEAと英国を除く)、対応言語には日本語も含まれています。店舗や事務所を構える中小企業にとって、MEO対策(Googleマップなど地図検索での上位表示対策)の運用負担を大きく減らせる可能性を秘めた、注目度の高いアップデートです。
本記事では、Google Business Profile in Geminiで何ができるのか、利用条件と接続手順、そして中小企業が集客に活かすための実践ポイントを、Googleの公式発表と公式ヘルプに基づいて詳しく解説します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
Google Business Profile in Geminiとは?

Google Business Profile in Geminiとは、Geminiに自社のGoogleビジネスプロフィールを接続し、チャット形式でプロフィールの管理・分析・顧客対応を行える新機能です。あわせて、自社の情報をひとまとめにできる「ビジネスノートブック」という機能も導入されました。
接続すると、Geminiはあなたのビジネスのクチコミ、顧客からの質問、検索パフォーマンスといった実際のデータを参照できるようになります。つまり一般的なAIチャットではなく、自社の状況を把握したうえで答えてくれる、専属のAIアシスタントとして機能するわけです。
そもそもGoogleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップ上に表示される「デジタルの店構え」ともいえる存在です。Googleも公式発表の中で、GBPは検索とマップで自社を目立たせ、クチコミを通じて信頼を築き、オンラインの検索を予約・注文・売上といった行動に変える役割を担うと説明しています。
その重要な資産を、AIアシスタントが直接扱えるようになった。これが今回のアップデートの本質です。
発表の背景とGoogleの狙い
Googleは発表の中で、中小企業の経営者が経営者・マーケティング担当・カスタマーサービスといった複数の役割を一人でこなし、時間に追われている現状に言及しています。AIが本当に役立つ存在になるには、ブランドの声や事業の文脈を覚えていて、ログインのたびに一から説明し直さなくて済むことが必要だ、という問題意識です。
今回のアップデートは、Geminiを「自社を深く理解した、ポケットの中のビジネスパートナー」に変えることを狙いとしています。2026年5月に発表された中小企業向けAI施策に続く位置づけであり、Googleが中小企業支援の領域を強化していることがうかがえます。
これまでのGBP管理との違い
従来、Googleビジネスプロフィールの管理は、Google検索やGoogleマップ上の管理メニューから、項目ごとに手作業で行う必要がありました。営業時間の変更、写真の追加、クチコミへの返信、インサイトの確認など、それぞれ別の画面を開いて操作しなければなりません。
今回の連携により、こうした操作を「祝日の営業時間を設定して」「最新のクチコミに返信文を作って」といった自然な日本語の指示で実行できるようになります。管理画面の操作方法を覚える必要がなく、パソコンが得意でない経営者でも扱いやすいことが、従来との大きな違いです。

GeminiとGBP連携でできること

Googleの公式ヘルプによると、GeminiとGoogleビジネスプロフィールを接続すると、大きく分けて「ビジネス情報の更新」「顧客とのコミュニケーション」「ビジネスインサイトの分析」という3つの領域の作業を任せられるようになります。
それぞれ、具体的にどのような操作が可能なのかを見ていきましょう。
ビジネス情報の更新
営業時間の変更はもちろん、祝日やイベントに合わせた特別営業時間の設定まで、チャットで指示するだけで反映できます。飲食店であれば、メニューの作成・更新・削除(セクション、料理名、説明、価格)にも対応しています。
このほか、写真のアップロード、「テラス席あり」「Wi-Fiあり」といったビジネス属性の変更、ウェブサイトURLやSNSリンクの修正、オンライン注文・予約・順番待ちなどのアクションリンクの管理まで、幅広い項目をカバーします。
プロフィールの情報が正確かつ最新に保たれているかどうかは、MEOの評価にも直結する重要なポイントです。更新のハードルが下がることは、地図検索からの集客にとって大きなプラスといえます。
クチコミ対応と投稿の作成
顧客からのクチコミを星評価つきで確認し、内容の要約や、返信文の下書き作成を依頼できます。顧客が書いた具体的な内容を踏まえて、自社のブランドの雰囲気に合った返信案を作成してくれるのが特長です。
複数のクチコミからフィードバックの傾向を分析・要約することもできるため、「最近どんな点が評価されているのか」「どこに不満が集まっているのか」を短時間で把握できます。
また、最新情報・特典(オファー)・イベントといったプロフィールへの投稿(いわゆるGoogleポスト)の作成、予約公開、削除にも対応しています。これまで続かなかった投稿運用を、習慣化しやすくなります。

パフォーマンス分析と検索キーワードの確認
「先月の実績はどうだった?」と尋ねるだけで、プロフィールの表示回数、ウェブサイトへのクリック数、ルート(経路)検索の回数、予約数といった指標を分析し、言葉で説明してくれます。
さらに、顧客がどのような検索キーワードで自社を見つけたのかも確認できます。数字の羅列を眺めるのが苦手な方でも、AIとの対話を通じて改善のヒントをつかみやすくなるはずです。
公式ヘルプでは、次のようなプロンプト(指示文)の例が紹介されています。日々の運用でそのまま使えるので、参考にしてください。
- 「過去1か月のパフォーマンス指標を見せて」
- 「私のビジネスへの流入につながっている検索キーワードの上位は?」
- 「最近のクチコミを要約して」
- 「最新のクチコミへの返信文を作るのを手伝って」
- 「新しい投稿のアイデア出しと作成を手伝って」
ビジネスノートブックの機能

今回の発表では、GBP連携とあわせて「ビジネスノートブック(Business notebooks)」という新機能も導入されました。チャット履歴や資料、Googleビジネスプロフィールのデータ、自社ウェブサイトの情報を1か所にまとめ、Geminiが常に参照できるようにする、いわば「自社専用の作業スペース」です。
ノートブックの名前は、Googleビジネスプロフィールに登録したビジネス名と同じものが自動的に設定され、Geminiのサイドバーからいつでも開けます。
開くだけで課題を知らせてくれるプロアクティブ機能
ビジネスノートブックの最大の特長は、こちらから質問しなくても、開いた瞬間に重要な対応事項を提示してくれる点です。たとえば「未回答の顧客からの質問がある」「祝日の営業時間がまだ設定されていない」「外観写真が登録されていない」といった、見落としがちな課題をアラートとして表示します。
さらに、地域の市場動向を踏まえた価格設定やポジショニングの提案など、日々の運営を最適化するためのヒントも提示されます。「気づいていない課題をAIの側から教えてくれる」のは、従来の管理画面にはなかった発想です。
自社の文脈に基づくコンテンツ生成と分析
ノートブックに蓄積された自社の文脈を踏まえて、販促キャンペーンのアイデア出しや、ブランドイメージに合ったクリエイティブの方向性の検討を依頼できます。クチコミの内容をもとに次の一手をブレインストーミングする、といった使い方も公式に紹介されています。
会話の続きから再開できるため、「先週相談したキャンペーン案の続きを詰めたい」といった使い方も可能です。「データを見る」で終わらず「データをもとに動く」ところまで後押ししてくれるのが、このノートブックの価値といえるでしょう。
利用条件と接続方法・導入時の注意点

利用するための条件
Googleの公式ヘルプでは、Google Business Profile in Geminiを利用するための条件として、次の項目が示されています。
- オーナー確認(ビジネスの確認)が完了したGoogleビジネスプロフィールの、オーナーまたは管理者であること
- 管理している確認済みプロフィールが1件のみであること(複数店舗を管理しているアカウントは現時点では対象外)
- 18歳以上であること
- 個人のGoogleアカウントでGeminiウェブアプリにログインしていること(仕事用・学校用アカウントは現時点で非対応)
- Geminiアプリのアクティビティ保存設定(Keep Activity)がオンになっていること
提供地域は、EEA(欧州経済領域)と英国を除く、Geminiウェブアプリが利用できる地域です。対応言語は日本語を含む12言語で、現時点ではgemini.google.comのウェブアプリでのみ利用できます。
なお、機能は段階的に提供されているため、条件を満たしていてもまだ表示されないアカウントがあります。表示されない場合は、少し時間をおいて試してみてください。

接続の手順
接続はとてもシンプルで、特別な設定作業はほとんど必要ありません。公式ヘルプで案内されている手順は次のとおりです。
- gemini.google.comにアクセスし、Googleビジネスプロフィールで使用しているGoogleアカウントでログインする
- Geminiに自社のビジネスプロフィールについて質問する(例:「私のビジネスプロフィールの情報を見せて」)
- 未接続の場合は接続を促す案内が表示されるので、画面の指示に従って接続する
- Geminiが反応しない場合は、プロンプトに「@Google Business Profile」を追加して指定する
接続と解除は、Geminiの「接続アプリ」設定からいつでも行えます。ビジネスノートブックは、GBP接続後に作成のオプションが表示され、自社ウェブサイトのURLを確認するだけで作成できます。
導入時の注意点
便利な一方で、AIが作成した返信文や投稿をそのまま公開するのは避けるべきです。事実と異なる内容や不自然な表現が含まれていないか、必ず人の目で確認してから公開することをおすすめします。
クチコミへの返信は顧客だけでなく、これから来店を検討する見込み客も読むものだからです。
また、この連携ではクチコミやパフォーマンスデータといった業務データをGeminiが参照します。データの取り扱いについてはGoogleの公式情報(Geminiアプリのプライバシーハブ)を確認したうえで、誰がどの範囲で使うか、社内のルールを決めて運用すると安心です。
もう1つ意識したいのは、AIによる分析やアドバイスも「参考情報」として受け止める姿勢です。生成AIは事実と異なる内容を出力することがあるため、経営判断に関わる数値は、必要に応じてGoogleビジネスプロフィールの管理画面でも裏づけを取るようにしましょう。
中小企業が今すぐ取り組みたい実践活用アイデア

筆者はWeb制作とSEO・MEO支援に10年以上携わり、延べ1,000件以上のプロジェクトを通じて、多くの中小企業のGoogleビジネスプロフィール運用を見てきました。その経験から言うと、GBP運用の課題の多くは「やり方が分からない」ではなく「やるべきと分かっているのに、手が回らない」ことにあります。
今回の新機能は、まさにこの「手が回らない」を解消するためのものです。ここでは、中小企業がすぐに実践できる活用アイデアを3つ紹介します。
クチコミ返信を週次の習慣に変える
クチコミへの返信は、MEOでも顧客との信頼構築でも重要な要素ですが、実際には「時間がなくて放置している」という企業が少なくありません。Geminiに下書きを任せられるようになれば、返信のハードルは大きく下がります。
おすすめは、週に1回「今週のクチコミを要約して、それぞれの返信案を作って」と指示する運用をルール化することです。返信率の高いプロフィールは顧客からの信頼を得やすく、来店や問い合わせの後押しにもつながります。
下書きを確認・修正して公開するだけなら、1回あたり10分程度で済むはずです。

月次の振り返りをGeminiとの対話で済ませる
「先月の表示回数とルート検索の推移を教えて」「どんなキーワードで見つけられている?」と尋ねるだけで、月次の振り返りが完了します。これまでインサイト画面をほとんど開いていなかった方こそ、恩恵の大きい使い方です。
数値の変化に気づけば、写真の追加や投稿の強化、営業時間の見直しなど、次の打ち手を考えるきっかけになります。「毎月1日はGeminiで先月の振り返り」と決めてしまうのが、継続のコツです。
MEOとAI検索対策を両輪で進める
AIによる検索体験が広がるなかで、Googleビジネスプロフィールの情報は、GoogleマップだけでなくAIの回答にも参照される重要なデータソースになりつつあります。営業時間・写真・属性・クチコミといったプロフィール情報の充実は、MEOとAI検索対策の両方に効く土台づくりです。
今回のGemini連携を「プロフィールを常に最新・充実に保つための仕組み」として位置づけて活用することが、AI時代の地域集客の第一歩になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 日本でも使えますか?
はい。EEA(欧州経済領域)と英国を除く、Geminiウェブアプリが利用できる地域で提供されており、日本も対象です。
対応言語にも日本語が含まれています。
ただし段階的なリリースのため、アカウントによっては表示されるまで時間がかかる場合があります。
Q. 複数の店舗を管理していますが利用できますか?
現時点では、確認済みプロフィールを1件のみ管理しているオーナー・管理者に限定されています。複数のプロフィールにアクセスできるアカウントは対象外です。
多店舗展開している企業への拡大については、今後の公式発表を待つ必要があります。
Q. スマートフォンのGeminiアプリでも使えますか?
公式ヘルプでは、現時点ではgemini.google.com(ウェブアプリ)でのみ利用できると案内されています。スマートフォンでも、ブラウザからウェブアプリにアクセスすれば利用可能です。
Q. AIが勝手にプロフィールを書き換えてしまうリスクはありませんか?
更新などの操作は、利用者の指示に基づいて行われる仕組みです。ただし、指示の解釈違いによる意図しない更新を防ぐため、更新を依頼した後はプロフィールの内容を必ず確認しましょう。
なお、連携はGeminiの「接続アプリ」設定からいつでも解除できます。
Q. まだオーナー確認をしていない場合はどうすればよいですか?
この機能を使うには、Googleビジネスプロフィールのオーナー確認(ビジネスの確認)が完了している必要があります。未確認の場合は、まずGoogleビジネスプロフィールでオーナー確認の手続きを済ませましょう。
オーナー確認は、ハガキ・電話・メール・動画撮影など、ビジネスの種類に応じた方法で行えます。
Q. 最初に何から試すのがおすすめですか?
まずは「最近のクチコミを要約して」と依頼してみるのがおすすめです。自社データを参照して答えてくれる感覚がつかめるうえ、更新系の操作と違ってプロフィールの内容を変更しないため、安心して試せます。
慣れてきたら、返信文の下書きや投稿の作成、パフォーマンス分析へと活用範囲を広げていきましょう。
まとめ:AIで「手が回らない」をなくし、集客の土台を固める

Google Business Profile in Geminiは、営業時間の更新、クチコミ返信、投稿作成、パフォーマンス分析といったGBP運用の主要業務を、AIとの会話で完結させる新機能です。2026年6月から世界展開が始まっており、日本語でも利用できます。
MEO対策は、特別なテクニックよりも「正確な情報を保ち、クチコミに向き合い、発信を続ける」という基本を継続できるかどうかが成果を分けます。AIの力で運用のハードルが下がった今は、プロフィールの充実と運用の仕組み化に取り組む絶好のタイミングです。
一方で、AIの提案をそのまま使うだけでは、競合との差別化は生まれません。自社の強みをどう言語化するか、どんなキーワードで見つけてもらうか、クチコミにどんな姿勢で向き合うかといった戦略の設計は、これからも人の仕事です。
また、こうしたAI関連の新機能は、リリース後も仕様や提供条件が頻繁に更新されます。本記事の内容は2026年7月時点の公式情報に基づいていますので、導入の際は最新の公式ヘルプもあわせてご確認ください。

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記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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