記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
「検索結果の上位に表示されているはずなのに、なぜかクリックされない」。ホームページ運用のご相談を受けていると、こうした悩みを口にする中小企業の担当者の方は少なくありません。
実は2026年に入り、その理由を裏付けるアイトラッキング(視線計測)調査の結果が、海外のSEO専門機関から公表されました。検索結果ページ上で「見られている」ことと「クリックされている」ことは、まったく別の現象であることが、数値をもって明らかになったのです。
これは弊社が延べ1,000件以上のホームページ制作・SEOコンサルティングの現場で感じてきた実感とも一致する内容でした。この記事では、その調査結果の要点をわかりやすく整理したうえで、中小企業のWeb担当者や経営者の皆様が明日から実践できる具体的なSEO対策を解説します。
特に近年はAI Overviewsをはじめとする新しい検索結果の要素が次々と登場し、「とにかく色々な場所に表示させること」が目的化しがちです。しかし今回の調査結果は、その前提そのものを見直す必要があることを教えてくれます。
「表示されているのにクリックされない」その正体

これまでSEOの世界では、検索結果の上位に表示されること、あるいは画像やAI Overviews(AIによる概要)に自社の情報が掲載されることそのものが「成果」だと考えられがちでした。
しかし、掲載されて 露出(インプレッション)を稼いだ だけでは、問い合わせや購入といった実際の成果には直結しません。ユーザーの視線がどこに向いているかと、実際にどこをクリックしているかの間には、想像以上に大きなずれが存在するからです。
たとえば、自社サイトの画像がGoogle画像検索の結果にたくさん表示されるようになったとします。担当者としては「対策の効果が出た」と感じるかもしれませんが、後述する調査結果を見る限り、その表示が実際のアクセス増加に結びつく可能性は極めて低いのです。
特にリソースの限られる中小企業にとっては、「どこに労力を割くべきか」の優先順位づけが成果を左右します。表示回数を増やす施策と、クリックにつながる施策を分けて考える視点が、今まさに求められています。
この「見られているのに動かない」という感覚のズレを、実際のデータで裏付けたのが、スペインのマーケティング機関Laika(ライカ)社が2026年に公表したアイトラッキング調査です。
アイトラッキング調査でわかった「注目と行動のギャップ」

この調査は、検索結果ページ上の各要素について「見た人の割合(エンゲージメント率)」と「実際にクリックした人の割合(CTR)」を同時に計測し、両者の差を「Attention-Action Gap(注目と行動のギャップ)」という指標で示したものです。
ギャップが小さいほど、その要素は見られた分だけ確実にクリックへつながっていることを意味し、逆にギャップが大きいほど、目には留まっているのにクリックされない「素通りされる要素」であることを意味します。
調査の概要と信頼性
調査はTobii Pro社製のデスクトップ設置型アイトラッカーを用いて、2025年12月から2026年2月にかけてスペインで実施されました。参加者はデスクトップ版のGoogle.comを使い、すべてスペイン語で検索を行っています。
22人の参加者が4種類の検索意図に基づいて9件の検索を行い、合計1,556件のデータポイントを収集。検索結果ページ上の15カテゴリーの要素について、視線データとクリックデータの両方を分析しています。
調査を実施したLaika社自身も、画像(サンプル6人)や関連検索(サンプル10人)など一部の要素はサンプル数が少ないと明記しており、観察研究であるため因果関係を証明するものではない点には留意が必要です。それでも、SEOの実務判断に活かせる示唆として参考にする価値は十分にあると言えるでしょう。
なお、著者のディエゴ・クリアド氏とMJ・カチョン氏はいずれもSEO・データ分析分野での実務経験が豊富な専門家であり、調査手法やデータの限界についても論文内で誠実に開示しています。この透明性の高さも、調査結果を参考にする際の安心材料の一つです。
指標「Attention-Action Gap」の考え方
この指標の計算式は、エンゲージメント率(見た割合)からCTR(クリックした割合)を引いた値 というシンプルなものです。たとえば「見た人の100%がクリックした」要素はギャップ0で理想的、「見た人の100%が誰もクリックしなかった」要素はギャップ100で、注目を集めるだけの「空振り」ということになります。
調査ではこのギャップの大きさによって、検索結果の要素を「転換(ギャップ30未満)」「中間ゾーン(30〜60)」「幻影(60以上)」の3つに分類しています。この分類軸を知っておくだけでも、自社サイトのどこにコンテンツ制作の力を注ぐべきかの判断材料になります。
クリックされる場所とされない場所|調査結果の全体像

それでは、具体的にどの要素がクリックされ、どの要素がクリックされていないのでしょうか。調査結果の主要な数値を要素ごとに整理して紹介します。
オーガニック検索とAI Overviewsのメイン回答は「クリックの王様」
従来型のオーガニック検索結果(いわゆる青いリンク)は、見た人の100%%に対してクリック率が95.5%%という結果でした。ギャップはわずか4.5ポイントで、調査対象の中で最も注目がクリックへ転換されやすい要素であることが示されています。
興味深いのは、AI Overviewsのメイン回答ブロックも86.4%という高いクリック率を記録し、ギャップ13.6ポイントとオーガニック検索に迫る成績を残した点です。AI検索時代でも、しっかり読まれるコンテンツは変わらず選ばれる ことがうかがえます。
調査チームはこの理由について、これらの要素は平均注視時間が600〜900ミリ秒台と長く、ユーザーが内容を「読んでいる」状態にあるためだと分析しています。特にAI Overviewsメイン回答の平均注視時間は919ミリ秒に達しており、オーガニック検索の627ミリ秒よりもさらにじっくり読まれていることがわかります。
画像・商品リスト・動画・関連検索は「見られても素通り」
一方で、画像ブロックと商品リスティングは、見た人の100%%が実際に閲覧していたにもかかわらず、クリック率は0%%という結果でした。ギャップは調査中最大の100ポイントに達しています。
AI Overviews内の「さらに詳しく調べる」ボタンも、見た人の83.3%%が視線を向けたものの、クリックした人は1人もいませんでした。動画(見た人の95%%に対しクリック20%%)や、ページ下部の関連検索PAS(見た人の90%%に対しクリック10%%)も同様に、視線は集めてもクリックには結びつきにくい傾向が確認されています。
さらに、AI Overviews内に引用されたリンク(AIOリンク)も、81.8%%が視線を向けた一方でクリック率は13.6%%にとどまりました。AI Overviewsに引用されること自体は名誉なことですが、そこからのアクセス流入はあまり期待できないという実態が見えてきます。
これらの要素に共通する平均注視時間は256〜561ミリ秒と短く、じっくり読むというより「さっと目に入っただけ」の状態にとどまっていることも、クリックにつながらない理由の一つです。

「他の人はこちらも質問」やAIモードは中間的な位置づけ
すべての要素が「転換」か「幻影」のどちらかに分かれるわけではありません。「他の人はこちらも質問(PAA)」は見た人の100%%に対してクリック率50%%、広告(スポンサー枠)は見た人の100%%に対してクリック率45%%と、いずれもギャップ50前後の「中間ゾーン」に位置づけられています。
また、テキスト対話型のAIモードもクリック率59.1%%・ギャップ40.9ポイントと中間的な成績でした。調査チームは、これらの要素を「ユーザーが最終的な行き先を決める前の、情報収集・回遊のための場」として利用している可能性が高いと分析しています。
このほか、企業名や人物名などを検索した際に表示されるナレッジパネル(Knowledge Graph)は、そもそも見た人の割合自体が44.4%%と他の要素より低く、クリック率も5.6%%にとどまりました。関連検索の「タグ(Related chips)」もクリック率18.2%%と、中間ゾーンの中ではやや成績の低い部類に入ります。
これらは検索結果の一部を占める要素ではあるものの、集客のメインルートとして期待しすぎない方がよいことがわかります。
反射的クリックにも要注意|CTRだけで判断しない
調査ではもう一つ興味深い現象が見つかりました。AI Overviewsの「もっと見る」ボタンは、クリック率(86%%)がエンゲージメント率(77%%)を上回るという逆転現象が起きていたのです。
これは視線を向ける前に習慣的・反射的にクリックしてしまう「無意識のクリック」が一定数存在することを示しています。CTRという数字だけを鵜呑みにすると、ユーザーの本当の関心を見誤る可能性がある、という調査チームからの注意喚起です。
自社サイトのアクセス解析データを読み解く際にも、同じ視点を持っておくと解釈の精度が上がります。
中小企業がこの調査から学ぶべき5つのSEO対策

ここまでの調査結果を踏まえ、限られた予算と人員でWeb集客に取り組む中小企業が、明日から実践できる具体策を5つに整理しました。
1. オーガニック検索の順位とスニペットの最適化を最優先にする
調査結果が示す通り、依然としてオーガニック検索結果は最もクリックへの転換率が高い「王道」です。タイトルタグとmeta description(メタディスクリプション)を検索意図に合わせて磨き込み、ユーザーが読みたくなるスニペット表示を目指すことが、最も費用対効果の高い施策と言えます。
特に歯科医院や製造業など専門性の高い業種では、専門用語をそのまま使うのではなく、来院・問い合わせを検討している方が実際に検索しそうな言葉に言い換えてタイトルを設計することで、クリック率が大きく改善するケースを弊社でも数多く確認しています。

2. AI Overviewsでは「引用されるだけ」でなく「メイン回答」を狙う
AI Overviewsに自社サイトが引用されても、リンクとしての表示ではクリック率は13.6%%にとどまります。狙うべきは、AIが生成するメイン回答の根拠として選ばれる、権威性と一次情報性の高いコンテンツを作ることです。
具体的には、自社の実績データや独自調査、現場担当者ならではの経験談など、他サイトの内容の要約では出せない一次情報を盛り込むことが有効です。同じテーマを扱う記事でも、社内に蓄積されたノウハウや事例を盛り込むほど、AIに「引用元」ではなく「回答そのものの根拠」として扱われやすくなります。

3. 画像・動画は「集客」ではなく「ブランディング」の手段と割り切る
画像や動画はクリック率がほぼ0%%という結果でしたが、これは「無意味」という意味ではありません。ユーザーの目に触れる機会が多いという点では、企業やブランドの認知向上には貢献します。
画像検索や動画経由での直接的な流入増加を過度に期待するのではなく、ブランドの第一印象を作る接点 と位置づけて運用するのが現実的です。写真や動画のクオリティを上げる投資は、直接のアクセス数ではなく、指名検索の増加や成約率の向上といった形で効果を測定するとよいでしょう。
4. タイトルとディスクリプションで「読ませる」設計にする
オーガニック検索とAI Overviewsメイン回答に共通していたのは、平均注視時間が長く「じっくり読まれている」という点でした。これは、単に検索結果に表示されるだけでなく、続きを読みたくなるような具体性のあるタイトルや説明文を用意することの重要性を示しています。
数字を入れる、読者の疑問形に寄せる、記事で得られるメリットを明示するといった工夫は、地味に見えて効果の大きい改善策です。「〇〇とは」で終わるタイトルよりも、「〇〇の3つのポイント」「〇〇にかかる費用相場」のように、読んだ先に得られる情報を具体的に示すタイトルの方が、クリック率が高くなる傾向があります。

5. Search Consoleでインプレッションとクリックの差を定点観測する
最後に欠かせないのが、自社サイトでの実態把握です。Googleサーチコンソールでは、ページごと・クエリごとにインプレッション数とクリック数、CTRを確認できます。
インプレッションは多いのにCTRが低いページがあれば、それは今回の調査でいう「ギャップが大きい」状態にある可能性が高く、タイトルやディスクリプションの見直しが必要なサインです。月に一度など頻度を決めて、この差をチェックする習慣を持つことをおすすめします。
特に、順位が3位以内にあるにもかかわらずCTRが平均より明らかに低いページは、改善による効果が出やすい「伸びしろ」の大きいページです。優先順位をつけて着手することで、限られた工数でも成果を出しやすくなります。

まとめ|「露出」より「クリックされる設計」を

今回紹介したアイトラッキング調査は、22人という限られたサンプルでの観察研究であり、結果を絶対的な基準として一般化することはできません。それでも、「見られること」と「選ばれること」は別物であるという示唆は、日々の情報発信のあり方を見直すきっかけになるはずです。
検索結果に表示される場所を増やすことに加えて、表示された先で実際に読まれ、クリックされる設計になっているか という視点を持つこと。これが、限られたリソースで成果を出したい中小企業にとって、これからのSEO対策の要になります。
まずは自社サイトのサーチコンソールを開き、インプレッションが多いのにクリック率が低いページを1つ見つけて、タイトルとディスクリプションを見直すことから始めてみてください。小さな改善の積み重ねが、AI検索時代のアクセス数を左右します。
よくある質問(FAQ)

Q1. アイトラッキング調査の結果は日本のGoogle検索にも当てはまりますか?
今回の調査はスペインでスペイン語の検索を対象に実施されたものであり、日本語検索や日本のユーザー行動と完全に一致するとは限りません。ただし、検索結果の構造やAI Overviewsの仕組みはグローバルで共通する部分が多いため、傾向として参考にする価値は十分にあります。
自社サイトでの実態は、必ずサーチコンソールのデータで確認することをおすすめします。
Q2. AI Overviewsに掲載されること自体は無意味なのでしょうか?
無意味ではありません。今回の調査でもAI Overviewsのメイン回答として引用された場合は高いクリック率を記録しています。
重要なのは「掲載されるかどうか」だけでなく「メイン回答として選ばれる情報の質と一次情報性」を高めることです。
Q3. 中小企業がまず着手すべき施策は何ですか?
最も費用対効果が高いのは、自社サイトの既存ページのタイトルとメタディスクリプションの見直しです。特にサーチコンソールでインプレッションが多いのにクリック率が低いページから優先的に着手すると、比較的短期間で改善効果を実感しやすくなります。
Q4. 画像や動画のSEO対策はもうやらなくてよいのでしょうか?
やめる必要はありません。直接的なクリック獲得の効果は限定的ですが、ブランド認知や信頼性の向上には引き続き寄与します。
優先順位としては、オーガニック検索とAI Overviews対策を先に固めたうえで、画像・動画は中長期的なブランディング施策として並行して取り組むのがバランスの良い進め方です。
Q5. この調査結果はいつまで有効ですか?
Googleの検索結果画面は頻繁にアップデートされており、AI Overviewsの表示位置やボタンの挙動も変化し続けています。実際に今回の調査データ収集後、「もっと見る」ボタンの遷移先がAIモードに変更されるといった仕様変更もありました。
今回の数値を絶対視するのではなく、半年から1年に一度は自社のサーチコンソールデータで最新の傾向を確認することをおすすめします。
SEO対策・AI検索対策のご相談はアクセス・リンクへ
株式会社アクセス・リンクでは、代表の三田健司が全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、Web制作10年以上・延べ1,000件以上の実績をもとに、中小企業のSEOコンサルティングとホームページ制作をご支援しています。
検索順位のチェックだけでなく、サーチコンソールのデータを踏まえたクリック率の改善提案まで一気通貫でサポートできる点が、弊社のSEOコンサルティングの強みです。自社だけで判断が難しい場合は、専門家の視点を取り入れることで改善のスピードを上げられます。
「検索結果には出ているのに問い合わせが増えない」「AI検索時代に何から手をつければよいかわからない」といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の状況に合わせた具体的な改善策をご提案いたします。

記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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