2026年7月16日、GoogleはAIモードに「接続アプリ(Connected Apps)」の新しい連携を追加すると発表しました。YouTube Music・Canva・Instacartといった外部アプリと検索が直接つながり、調べた内容をそのままアプリでの行動に移せるようになります。
「検索結果からサイトを開いてもらう」ことを前提にしてきた企業のWeb集客にとって、これは見過ごせない変化です。検索の中で行動が完結する流れが、また一歩進んだからです。
本記事では、AIモードの接続アプリで何ができるのか、Googleの狙いはどこにあるのか、そして中小企業のWeb担当者・経営者が今から何を準備すべきかを、最新の一次情報に基づいて分かりやすく解説します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
GoogleのAIモード「接続アプリ」とは

前提:AIモードとは何か
AIモードとは、Google検索に搭載された対話型のAI検索機能です。従来のように青いリンクの一覧を返すのではなく、質問に対してAIがWeb上の情報をもとに直接回答を生成し、追加の質問を重ねながら深掘りできます。
米国では2025年に一般提供が始まり、日本でも2025年9月から利用できるようになりました。今回の接続アプリは、このAIモードをさらに「実行環境」へ進化させる機能拡張です。
2026年7月16日発表の新機能の概要
接続アプリとは、Google検索のAIモードに外部のアプリやサービスを安全に連携させ、AIの回答からそのままアプリの操作へ進める機能です。Googleは2026年7月16日(現地時間)、公式ブログでこの拡張を発表しました。
今回新たに加わったのは、YouTube Music・Canva・Instacartの3つです。検索で調べる段階と、別のアプリで実行する段階のあいだにあった手間を減らすことが目的だとGoogleは説明しています。
提供は米国のユーザーから段階的に始まっており、日本ではまだ利用できません。ただし、Googleは今後さらに多くのパートナーと連携を広げると明言しており、対象国・対象アプリの拡大は時間の問題と見てよいでしょう。
これまでのGmail・Googleフォト連携との違い
実はAIモードとアプリの連携自体は、今回が初めてではありません。2026年1月には「パーソナルインテリジェンス」の一環として、GmailやGoogleフォトと連携し、回答を個人の文脈に合わせて調整する機能が導入されています。
その後もGoogleドライブやGoogleカレンダーへの対応が進み、予定に合わせた計画の提案や、AIモードからの予定追加が可能になっていました。
今回の拡張が大きく異なるのは、Google製アプリだけでなく、InstacartやCanvaといった外部企業のサービスに検索から直接「働きかける」ようになった点です。情報を読み取って回答を良くする段階から、外部サービスを操作する段階へ進んだと言えます。

設定方法と利用の流れ
接続アプリの設定は、Googleアカウントの「検索サービスのアプリ設定」画面から行います。ユーザーが自分の意思で各アプリとの連携を許可する仕組みで、許可していないアプリが勝手につながることはありません。
連携後は、AIモードで質問をすると回答の生成中に「Asking YouTube Music」のようなステータスが表示され、結果がカード形式で回答内に埋め込まれます。ユーザーは検索画面を離れずに、そのままアプリの機能を呼び出せるわけです。
連携はいつでも解除でき、どのアプリに何を許可しているかを設定画面で確認できます。利便性とプライバシーのバランスをユーザー自身がコントロールできる設計です。
YouTube Music・Canva・Instacartで何ができるのか

YouTube Music:会話からプレイリストを自動作成
YouTube Musicとの連携では、AIモードに「作業がはかどる落ち着いたジャズを集めて」のように頼むだけで、プレイリストが作成されます。回答内には曲の一覧がカードとして表示され、「ライブラリに追加」ボタンで保存、「再生」ボタンでYouTube Musicアプリが開きます。
従来なら「検索でおすすめの曲を調べる→アプリを開く→1曲ずつ探して追加する」という流れが必要でした。それが検索の会話の中で完結してしまうのです。
些細な変化に見えるかもしれませんが、「アプリを切り替える手間」が消えることの意味は小さくありません。ユーザーの行動の起点が、個別のアプリから検索へと引き寄せられていくからです。
Canva:目的に合ったデザインテンプレートを提案
Canvaとの連携では、チラシやフライヤーなどのデザイン作業をAIモードから始められます。「イベントの告知チラシを作りたい」と相談すると、Canvaのテンプレート候補が回答内に提示され、選んだものをCanvaで開いて編集できます。
Googleの説明では、カレンダーに登録された予定の情報を踏まえてデザインを提案する例も紹介されています。複数の接続アプリが組み合わさって働く点が特徴的です。
中小企業の現場でも、販促物の作成をCanvaで内製しているケースは多いはずです。こうした日常業務が検索を起点に始まる体験は、意外と早く身近になるかもしれません。
Instacart:買い物リストをそのままカートへ
Instacartは米国で広く使われている食料品の宅配サービスです。連携すると、たとえばバーベキューの計画をAIモードで相談しながら、必要な食材をそのままInstacartのカートに追加できます。
あとはInstacartのアプリまたはサイトで数タップ決済すれば買い物が完了します。「調べる→比較する→買う」という一連の流れが、検索を起点にほぼワンストップでつながったことになります。

Googleが検索とアプリをつなぐ狙い

検索は「調べる場所」から「実行する場所」へ
今回の発表を単発の便利機能と捉えると、本質を見誤ります。Googleはここ1年ほど、検索を「情報を調べる場所」から「やりたいことを実行する場所」へ変えようとする施策を立て続けに打ってきました。
AIモードでの予約代行などを担う情報エージェントの展開、買い物を代行するエージェント型コマースの整備、そして今回の接続アプリ。いずれも方向性は一貫しています。
ユーザーが検索の外に出なくても目的を達成できるようにすればするほど、Googleは利用時間とデータを獲得できます。検索体験の主導権を握り続けるための布石と考えるのが自然でしょう。

Geminiアプリとの機能統合が進んでいる
もう1つの文脈は、Geminiアプリとの機能統合です。Geminiアプリには以前からアプリ連携の仕組みがあり、今回の接続アプリはその発想を検索のAIモードに持ち込んだものと位置づけられます。
検索・Gemini・各種アプリの境界は今後ますます曖昧になっていくはずです。ユーザーから見れば「Googleに頼めば何でも進む」体験に近づいていきます。
広告・収益面から見た位置づけ
収益面の文脈も無視できません。GoogleはすでにAIモードへの広告導入を進めており、2026年7月に公表された調査では、米国の広告表示対象となる商業系キーワードのうち約3割のAIモード回答で広告が表示されたと報告されています。
検索内で買い物や予約が完結するようになれば、その導線上に広告や提携アプリを配置する価値は一段と高まります。接続アプリは、ユーザー体験の向上と収益基盤の強化を同時に狙った施策と読み解けます。

中小企業のWeb集客に及ぼす影響

サイトを訪問せずに行動が完結する流れが加速する
接続アプリが広がると、ユーザーは目的を果たすために企業サイトを訪れる必要がさらに減ります。すでに検索結果のクリックを伴わない「ゼロクリック検索」の増加が指摘されてきましたが、その流れを一段と後押しする変化です。
たとえば「近所で評判の花屋を調べて母の日のギフトを注文する」という行動が、将来的に検索と連携アプリの中だけで済むようになるかもしれません。自社サイトへのアクセス数だけを集客の指標にしていると、実態を見誤る時代が本格的に近づいています。

「連携される側」と「情報源になる側」という2つの立場
今回連携したのは、Instacart・Canva・YouTube Musicという大手プラットフォームです。中小企業が自社サービスを直接AIモードに接続できる仕組みは、現時点では公開されていません。
しかし、悲観する必要はありません。中小企業には「連携アプリの中で選ばれる側」と「AIの回答の情報源になる側」という2つの関わり方が残されています。
前者はたとえば、Instacartのようなプラットフォームに商品を出している事業者なら、その中での商品情報の充実が生きる、という形です。後者は、AIモードが回答を作る際に引用するWebページとして、自社サイトの存在感を高めるアプローチです。
日本での展開はいつ頃になりそうか
接続アプリは現時点で米国のみの提供で、日本での開始時期は発表されていません。ただ、AIモード自体は日本でも2025年9月から提供が始まっており、Googleの新機能は米国から数か月〜1年程度遅れて日本に届くケースが目立ちます。
連携先も米国向けサービスが中心のため、日本展開時には国内の宅配・予約・決済サービスとの提携が焦点になるでしょう。今のうちに変化の方向性を理解し、準備を始めておくことが重要です。
業種別に見た影響のイメージ
影響の現れ方は業種によって異なります。飲食店や小売店であれば、宅配・予約系プラットフォームとAI検索の連携が進むほど、プラットフォーム上の店舗情報や口コミの質が集客を左右するようになるでしょう。
一方、BtoBの製造業や士業・コンサルティング業では、検討の初期段階でAIモードに相談するユーザーが増えることが本質的な変化です。AIの回答に自社の専門コンテンツが引用されるかどうかが、商談の入口を左右します。
いずれの業種でも共通するのは、「検索結果の順位」だけでなく「AIの回答や連携アプリの中でどう扱われるか」までを視野に入れる必要がある、という点です。自社の業種でどんな連携が起こり得るかを想像しておくと、打ち手の優先順位がつけやすくなります。
中小企業が今から取り組むべき5つの対策

対策1:SEOの基礎とE-E-A-Tを固める
Googleは一貫して「AI検索への対応に特別な要件はなく、従来のSEOの基礎が土台になる」と説明しています。接続アプリの時代でも、AIモードが回答の材料にするのは検索インデックス上のWebページです。
誰が書いたのか分かる運営者情報、実体験に基づく具体的な記述、正確で新しい情報。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を積み上げたサイトは、AIの引用元としても選ばれやすくなります。

対策2:構造化データで情報を機械可読にする
営業時間・所在地・料金・商品情報などは、構造化データ(schema.org)でマークアップしておきましょう。AIやエージェントがサイトの内容を正確に理解できるほど、回答や行動提案の中で自社が正しく扱われる可能性が高まります。
特に店舗ビジネスなら、LocalBusinessやProduct、FAQPageなどの基本的なスキーマから整備するのが近道です。Googleビジネスプロフィールの情報を最新に保つことも同じ文脈で効果があります。
対策3:指名検索とブランド想起を増やす
検索内で行動が完結する時代には、「そもそも名前を知られていること」の価値が跳ね上がります。ユーザーが「〇〇(社名・店名)で注文したい」と指名すれば、AIがどんな導線を挟んでも自社が選ばれるからです。
ブログやSNSでの継続的な発信、地域での評判づくり、口コミへの丁寧な対応など、指名検索を増やす取り組みは遠回りに見えて最も確実な対策です。
Googleが導入した「優先ソース」のように、ユーザーが特定の発信元を優先表示する仕組みも広がっています。日頃から役立つ情報を発信し続けることが、AI時代の指名につながります。
対策4:予約・購入までの行動導線を整える
せっかくAI検索経由で関心を持ってもらえても、サイト側の導線が分かりにくければ成果につながりません。問い合わせフォームの入力項目を減らす、電話番号をタップで発信できるようにする、予約システムを導入するといった基本の整備が、少ない流入を確実に成果へ変えます。
また、外部の予約・EC・宅配プラットフォームに出店している場合は、そちらの情報の質もAI時代の「自社の顔」になります。写真・説明文・レビュー対応まで含めて見直しておきましょう。
対策5:AI経由の流入と成果を計測する
Search ConsoleにはAI Overviews・AIモード経由のパフォーマンスを確認できるレポートが導入され、AI機能での表示を制御するための解説も公開されています。まずは自社サイトがAI検索でどれだけ表示・クリックされているかを把握しましょう。
GA4でもAIアシスタント経由の流入を分けて見る設定が可能です。数字で現状を掴んでおけば、日本で接続アプリが始まったときにも変化へ素早く気づけます。
よくある質問(FAQ)

Q1. 接続アプリは日本でも使えますか?
2026年7月時点では米国のユーザーから段階的に提供が始まった状況で、日本ではまだ利用できません。日本での開始時期も公式には発表されていません。
ただしAIモード本体は日本でも利用が広がっており、接続アプリも将来的に展開される可能性は十分あります。動向を継続的にチェックしておきましょう。
Q2. 中小企業のサイトに今すぐ影響はありますか?
今回の連携先は米国向けサービスが中心のため、国内サイトへの直接的な影響はまだ限定的です。ただし、検索内で行動が完結する方向への変化は日本でも着実に進んでいます。
アクセス数の推移だけでなく、AI検索経由の表示状況や問い合わせ・来店といった実際の成果を合わせて観察することをおすすめします。
Q3. 自社サービスを接続アプリに載せることはできますか?
現時点で一般企業向けの申請窓口や技術仕様は公開されていません。Googleは「今後さらに多くのパートナーと連携する」と述べるにとどまっています。
当面は、AIの回答に引用される情報源としての存在感を高めることと、既存プラットフォーム上の自社情報を充実させることが現実的な打ち手になります。
Q4. 何から始めればよいですか?
まずはSearch ConsoleでAI検索経由の表示状況を確認し、自社サイトの現在地を把握することから始めましょう。そのうえで、運営者情報の明示や構造化データの整備など、基礎的なSEOとE-E-A-Tの強化を進めるのが着実です。
優先順位のつけ方が分からない場合は、専門家に現状診断を依頼するのも一つの方法です。
まとめ:検索内で完結する時代への備えを今から

GoogleのAIモードに加わった接続アプリは、YouTube Music・Canva・Instacartと検索を直結させ、「調べる」から「実行する」までを検索内でつなぐ新機能です。米国からの提供開始ですが、検索の役割そのものが変わりつつあることを示す象徴的な一歩と言えます。
中小企業が取るべき方向は明確です。SEOの基礎とE-E-A-Tを固め、構造化データで情報を機械可読にし、指名されるブランドを育て、行動導線と計測環境を整える。この5つを積み重ねた企業が、AI検索時代にも選ばれ続けます。
AI検索時代の集客対策はアクセス・リンクへ
株式会社アクセス・リンクでは、全日本SEO協会認定SEOコンサルタントの三田健司が、Web制作10年以上・延べ1,000件以上の実績をもとに、AI検索時代のSEO対策・ホームページ改善を支援しています。
「AI検索で自社がどう見えているのか知りたい」「何から手をつけるべきか相談したい」という方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。現状の分析から具体的な改善策まで、貴社の状況に合わせてご提案します。

記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
コメント