「AI検索に自社サイトが表示されなくなった」——2026年後半、そんな相談が急増する可能性があります。その背景にあるのが、世界のWebサイトの2割以上が利用するCloudflare(クラウドフレア)が2026年7月1日に発表した、AIクローラー(自動巡回プログラム)の新しい管理方針です。
これまで「AIボットを一括ブロックするか、しないか」の二択だった設定が、「Search(検索)」「Agent(エージェント)」「Training(学習)」という3つの目的別に分けて管理できるようになりました。さらに2026年9月15日からは、一部のサイトで既定設定が自動的に変わります。
この変更は、中小企業のWebサイトにとって「コンテンツを守る」チャンスであると同時に、設定を誤ると「AI検索から見つけられなくなる」リスクもはらんでいます。本記事では、全日本SEO協会認定SEOコンサルタントの視点から、変更の中身と中小企業が取るべき対応を、公式情報にもとづいてわかりやすく解説します。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
CloudflareがAIクローラーを「3つの目的」で管理する新方針とは

Cloudflareは、Webサイトを高速化・保護するためのサービスを世界中の企業に提供している大手企業です。同社のネットワークは全世界のWebドメインの20%以上が利用しているとされ、そこで採用された方針は業界全体に大きな影響を与えます。
2026年7月1日、Cloudflareは公式ブログ「Your site, your rules」で、AIトラフィックの新しい管理方法を発表しました。ポイントは、AIボットを「AIかどうか」で判断するのではなく、「サイト上で何をしているか」という行動で分類する点にあります。
これまでの「AIボット一括ブロック」からの転換
1年前の2025年7月、Cloudflareは「Content Independence Day(コンテンツ独立記念日)」を掲げ、ワンクリックでAIボットをまとめてブロックする機能を導入しました。当時は「対価なくコンテンツを学習に使われる」という問題意識が中心でした。
しかしこの1年で、状況はより複雑になりました。「すべてのAIを一律でブロックする」やり方では、AI検索経由の見込み客まで逃してしまうという声が高まったのです。
特に小規模サイトにとって深刻なのは、「学習に使われる」こと以前に「そもそも見つけてもらえない」という問題です。Cloudflareはこれを、検索に載るためにAI学習も受け入れるか、発見されるのを諦めるかという「厳しい二者択一」と表現しています。
そこで打ち出されたのが、目的別のよりきめ細かい管理という考え方です。ブロックするかしないかの単純な二択から、用途に応じて許可・拒否を選べる仕組みへと進化しました。
Search・Agent・Trainingという3つの分類
新しい仕組みでは、AIに関わるボットの行動を次の3つに分けて、それぞれ個別に管理できます。無料プランを含むすべての利用者が対象です。
1つ目の「Search(検索)」は、あとで質問に答えるためにコンテンツを収集・インデックス化する行動です。従来の検索エンジンのクロールに近く、サイト運営者は見返りとして参照トラフィック(訪問者の流入)や対価を期待できるとされています。
2つ目の「Agent(エージェント)」は、人の代わりにリアルタイムで何かを実行する自動処理です。ChatGPTの取得ボットや、GeminiやClaudeがブラウザを操作するような、その場で答えを取りに来る動きが該当します。
3つ目の「Training(学習)」は、モデルを訓練・微調整するためにコンテンツを取り込む行動です。ここでは、あなたのデータがAIの内部に永続的に取り込まれ、その能力向上に使われる点が特徴です。
Cloudflareは、この3つに加えて、決済(Transact)、データ収集、セキュリティ検査、SEO、広告検証、フィード取得などの行動も分類しています。ただし、まずはこの3分類をすべての利用者が管理できるようにすることを重視しています。
重要なのは、1つのボットが複数の目的を兼ねる場合、そのすべての目的で追跡される点です。たとえば検索と学習の両方を行うクローラーは、両方の行動にもとづいて許可・拒否が判断されることになります。

2026年9月15日から変わる「既定設定」の中身

今回の発表で特に注意したいのが、2026年9月15日から適用される新しい既定設定(デフォルト)です。何もしなければ自動的に適用される設定なので、内容を正しく理解しておく必要があります。
広告表示ページでTrainingとAgentが既定ブロックに
2026年9月15日以降、Cloudflareに新しく登録されるドメインでは、広告を表示するページにおいて、TrainingとAgentのボットが既定でブロックされます。一方でSearchのボットは既定で許可されたままです。
この考え方の背景には、「広告は、運営者が人に見てもらうことを意図した合図」という発想があります。広告があるページでは人間の注目こそが目的なので、その注目を妨げかねない学習・エージェントのボットを遠ざける、という整理です。
逆にSearchは、訪問者を最も自然に呼び戻してくれる行動と位置づけられています。多くのサイト運営者にとって許可するメリットが大きいため、既定でも許可のままとされました。
もう1つの変更点として、検索と学習を兼ねる複合クローラーは、9月15日以降、そのすべての行動にもとづいて判断されます。学習をブロックする設定を選んだ利用者のもとでは、GooglebotやApplebot、BingBotのような複合クローラーもブロック対象になり得るとされています。
誰に適用される?無料プラン・新規ドメインが対象
この新しい既定設定は、すべての人に一律で適用されるわけではありません。対象となるのは、新しくCloudflareに登録するドメイン、既存利用者が新たに追加するサイト、そしてすべての無料プラン利用者です。
また、有料プランで自らクローラー設定をカスタマイズ済みの運営者には、新しい既定が自動適用されにくいとも報じられています。いずれにせよ、自社がどの条件に当てはまるかによって影響の受け方が変わるため、事前の確認が欠かせません。
Cloudflareは、9月15日までであればいつでも既定設定から除外(オプトアウト)できると案内しています。セキュリティ設定の画面から、検索も兼ねる学習クローラーについて「変更しない」と明示すれば、従来どおりの状態を維持できます。
変更が近づくにつれて、対象となる利用者には通知も行われる予定です。とはいえ通知を見落とす可能性もあるため、自社サイトがどの条件に当てはまるかを早めに確認しておくことをおすすめします。
なぜ中小企業のWeb担当者が今これを知るべきか

「うちは大企業ではないから関係ない」と感じるかもしれません。しかし、この変更はむしろ中小企業のサイトほど影響を受けやすい構造になっています。理由を順に見ていきましょう。
「AI検索に載らない」リスクと「コンテンツを守る」ニーズの両立
いまや検索の主役は、AIが答えを直接生成する「AI検索」へと移りつつあります。Google検索も、結果ページ上で質問に直接答える「アンサーエンジン」へと姿を変え、この流れは他社にも広がっています。
この環境では、AIに自社の情報を引用・参照してもらえるかどうかが集客を大きく左右します。AIクローラーを闇雲にブロックすると、AI検索の回答に自社が登場しなくなる恐れがあるのです。
一方で、時間と手間をかけて作った独自コンテンツを、対価なく学習に使われることへの抵抗感も当然あります。ブランドを守りたい、無断で丸ごと再利用されたくないという気持ちも正当なものです。
今回の3分類は、この「守りたい」と「見つけてほしい」という一見相反する願いを、両立させるための道具立てだといえます。Searchは許可して発見性を保ちつつ、Trainingは制限してコンテンツを守る、といった細やかな判断ができるようになりました。
だからこそ、仕組みを理解しないまま「とりあえず全部ブロック」を選ぶのは危険です。自社にとって何を許可し、何を制限すべきかを、目的に沿って考える姿勢が求められます。

複合クローラー(Googlebot等)のブロックに要注意
最も気をつけたいのが、検索と学習を兼ねる「複合クローラー」の扱いです。GooglebotやBingBotのような主要な検索ボットは、検索インデックスの構築と、AI関連の用途を同じボットで行っている場合があります。
9月15日以降は、最も厳しいルールが優先して適用されます。そのため「学習をブロックしたい」という設定が、結果的に通常のGoogle検索向けクロールまで止めてしまう可能性があるのです。
もしGooglebotのクロールを誤ってブロックすれば、検索順位の低下や、最悪の場合はインデックスからの脱落につながりかねません。せっかく積み上げてきたSEOの成果を、設定ミスで失ってしまうのは避けたいところです。
Cloudflareはこうした事態を避けられるよう、既定から除外する選択肢を用意しています。学習を制限したい場合でも、検索を兼ねるクローラーへの影響をきちんと確認したうえで設定することが大切です。
専門的な判断に不安がある場合は、自己流で設定を変える前に、SEOやWeb運用に詳しい専門家に相談することをおすすめします。一度の設定ミスが検索流入全体に響くため、慎重さが報われる領域です。
中小企業サイトが取るべき具体的な設定手順

では、実際に何を確認し、どう設定すればよいのでしょうか。ここでは中小企業のWeb担当者が押さえるべき手順を、順を追って整理します。
まず自社サイトがCloudflareを使っているか確認する
最初のステップは、そもそも自社サイトがCloudflareを経由しているかの確認です。制作会社やサーバー会社にお任せの場合、知らないうちにCloudflareが使われていることも少なくありません。
確認方法はいくつかありますが、制作・保守を担当している会社に「当サイトはCloudflareを利用していますか」と尋ねるのが最も確実です。あわせて、AIクローラー関連の設定を誰が管理しているかも聞いておきましょう。
Cloudflareを使っていない場合、今回の既定変更の直接の対象にはなりません。ただしAIクローラーへの向き合い方という論点自体は共通なので、考え方は押さえておく価値があります。
Search・Agent・Trainingを個別に設定する
Cloudflareを利用している場合、管理画面のセキュリティ設定から3つの目的を個別に設定できます。それぞれについて「すべてのページでブロック」「広告表示ページのみブロック」「ブロックしない」を選べる仕組みです。
一般的な中小企業のサイトであれば、まずはSearchを許可し、発見性を確保するのが基本方針になります。AI検索やこれからの検索エンジンに自社を露出させたいなら、検索目的のクロールは受け入れておくのが無難です。
そのうえで、独自コンテンツを学習に使われたくない場合はTrainingを制限する、という判断が考えられます。ここで注意したいのが、検索を兼ねる複合クローラーへの巻き込みを避けることです。
Agentについては、自社サイトでの利用実態を踏まえて判断します。予約や問い合わせをAIエージェント経由で受けたいのか、それとも人による閲覧を重視するのかによって、望ましい設定は変わってきます。
設定を変更したら、その後の検索流入やクロール状況をしばらく観察しましょう。Google Search Consoleなどでクロールや表示の異常が出ていないかをチェックすれば、設定ミスに早く気づけます。
robots.txtとContent Signalsも活用する
Cloudflareの管理画面での設定に加えて、robots.txtというファイルを通じた意思表示も併用できます。robots.txtは、クローラーに対して「どこを巡回してよいか」を伝えるための古くからある仕組みです。
Cloudflareは「Content Signals」という取り組みを進めており、robots.txtの中で検索は許可、AI学習は不可といった希望を記述できます。今回はさらに、コンテンツの使われ方を示す「use」という項目が追加されました。
useには、何も保存しない「immediate」、索引化と引用・リンクを認める「reference」、要約や複製まで認める「full」の3段階があります。既定では、参照や引用を認める「reference」が使われます。
ただし、これらはあくまでサイト運営者の「希望」を伝えるものであり、ブロックそのものを保証する仕組みではない点に注意が必要です。確実に止めたい場合は、管理画面での設定とあわせて多層的に対策するのが現実的です。

AI検索時代に「見つけられる状態」を守る考え方

今回のCloudflareの変更は、個別のテクニックである以上に、これからのWeb運用の考え方を示しています。「見つけられる状態」をどう守るかという視点で整理してみましょう。
守るべきコンテンツと開くべきコンテンツを分ける
すべてを守るか、すべてを開くかという発想から離れることが第一歩です。サイトの中には、広く知ってもらいたい情報と、慎重に扱いたい独自資産の両方が混在しているはずです。
たとえば、サービス紹介や会社の基本情報、よくある質問などは、AI検索経由で広く見つけてもらったほうが集客につながります。こうしたページはSearchを許可し、むしろ積極的に露出させたい領域です。
一方で、長年かけて蓄積した独自ノウハウや、有料級の詳細コンテンツは、扱いを慎重にしたい場合があります。コンテンツの性質ごとに「開く・守る」を仕分けする発想が、これからの標準になっていくでしょう。
Cloudflareの3分類やuseの仕組みは、まさにこの仕分けを実現するための道具です。ボット単位で細かく管理するのではなく、目的や用途というまとまりで判断できる点が実務では扱いやすくなっています。
自社の状況に応じた判断のポイント
最終的な設定は、業種やビジネスモデルによって最適解が変わります。集客の入り口をWeb検索に大きく依存している企業ほど、発見性を損なわない設定が重要になります。
反対に、独自データや制作物そのものが競争力の源泉となっている企業では、学習利用への制限を強めに検討する価値があります。自社にとって何が資産で、何が集客の入り口かを見極めることが判断の軸になります。
いずれの場合も、設定して終わりではなく、検索流入やAI経由の露出の変化を継続的に観察する姿勢が欠かせません。環境は今後も変わり続けるため、定期的な見直しを前提に運用するのが現実的です。
当社は、Web制作10年以上・延べ1,000件以上の実績のなかで、こうした技術動向とSEOの実務をつなぐ支援を行ってきました。専門的な設定判断に迷う場合は、第三者の視点を取り入れることで、リスクを抑えた意思決定がしやすくなります。


よくある質問(FAQ)

Q. Cloudflareを使っていなければ何もしなくてよいですか?
今回の既定変更の直接の対象にはなりませんが、AIクローラーとどう向き合うかという課題自体は共通です。使っているサーバーやCDNが同様の機能を提供している場合もあるため、自社サイトの巡回制御がどうなっているかは一度確認しておくと安心です。
Q. AIボットをすべてブロックすれば安全ではないですか?
一律ブロックは、コンテンツ保護の面では強力ですが、AI検索やこれからの検索エンジンで見つけてもらえなくなるリスクを伴います。特にSearch目的のクロールまで止めてしまうと集客に影響が出やすいため、目的別に判断することをおすすめします。
Q. 設定を変えると本当にGoogle検索に影響しますか?
検索と学習を兼ねる複合クローラーをブロックする設定にすると、通常のGoogle検索向けクロールまで巻き込む可能性があります。学習を制限したい場合でも、検索を兼ねるクローラーへの影響を確認し、必要に応じて既定から除外する設定を行うことが大切です。
Q. いつまでに対応すればよいですか?
新しい既定設定の適用は2026年9月15日からです。対象となる場合は、それまでに自社の方針を決め、必要なら既定から除外する設定を済ませておくと、意図しない変更を避けられます。早めの確認が安心につながります。
まとめ

Cloudflareは2026年7月1日、AIクローラーを「Search」「Agent」「Training」の3つの目的別に管理できる機能を、無料プランを含む全利用者に開放しました。ブロックするかしないかの二択から、目的に応じた細やかな管理へと大きく前進した形です。
さらに2026年9月15日からは、新規ドメインや無料プランなどを対象に、広告表示ページでTrainingとAgentを既定ブロックする新しいデフォルトが適用されます。検索と学習を兼ねる複合クローラーの扱いには特に注意が必要です。
中小企業のWeb担当者にとっての要点は、コンテンツを守りつつAI検索での発見性も保つという両立です。まずは自社がCloudflareを使っているかを確認し、Searchは許可、Trainingは慎重に、という基本方針から検討を始めるとよいでしょう。
検索の主役がAIへと移るなか、こうした技術的な設定は集客の成否に直結します。仕組みを正しく理解し、自社の状況に合った判断を積み重ねていくことが、これからのWeb運用では欠かせません。
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Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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