記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
「AI検索の時代になって、SEOはもう古いのではないか」。最近、中小企業のWeb担当者や経営者の方から、こうしたご相談を本当に多くいただくようになりました。AI OverviewsやAIモードが当たり前になり、次々と登場する「AEO」「GEO」といった新しい言葉に、何から手をつければよいのか戸惑う方も少なくありません。
そんな中、2026年6月にGoogleが公式の答えを示しました。生成AI検索に向けた最適化の「公式ガイド」を公開し、巷で語られる多くのテクニックについて「やる必要はない」と明言したのです。本記事では、このGoogle公式ガイドの中身を、中小企業が実際に取るべき行動という観点から、できるだけ平易に解説します。
読み終えるころには、限られた人手とコストの中で「何に集中し、何を捨てるべきか」がはっきりするはずです。情報に振り回されず、地に足のついたSEO・AI検索対策を進めるための土台として、ぜひ最後までお役立てください。
2026年6月公開、Google公式「生成AI検索の最適化ガイド」とは

いつ、どこで公開された文書なのか
今回取り上げるのは、Googleが検索開発者向けに公開している「Optimizing your website for generative AI features on Google Search(生成AI機能に向けたウェブサイトの最適化)」というドキュメントです。Google Search Central(developers.google.com)の公式ガイドとして掲載されています。
このページは2026年5月に公開され、6月15日付で内容が更新されています。AI OverviewsやAIモードといった生成AI機能で、自社サイトのコンテンツが取り上げられやすくするための「公式のベストプラクティス」をまとめたものです。第三者の推測ではなく、検索エンジンを運営するGoogle自身が出した一次情報である点に大きな意味があります。
従来からあった「AI機能の仕組み」を説明するページを発展させ、今回は「具体的に何をすべきか」「逆に何をしなくてよいか」という実践面に踏み込んでいます。SEO業界でも、各地のカンファレンスやポッドキャストで語られてきたGoogle社員の見解が、ようやく公式文書として一つにまとまった形です。
なぜ今、このガイドが重要なのか
AI検索が広がるにつれ、「AIに引用されるための特別な対策が必要だ」という言説が急増しました。中には有料のサービスとして提供されているものもあり、限られた予算を持つ中小企業ほど、こうした情報の取捨選択に頭を悩ませています。
このガイドの価値は、そうした「やった方がよさそうに見える施策」の多くについて、Googleが「自社の検索では不要」とはっきり線を引いた点にあります。何をやめてよいかが分かれば、本当に効果のある取り組みにリソースを集中できます。迷ったときに立ち返れる公式の判断基準ができたこと自体が、現場にとって大きな前進といえるでしょう。
当社の代表・三田は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、また延べ1,000件以上のWeb制作・SEO支援に携わってきた立場から、日々こうした最新動向を一次情報で確認しています。本記事もGoogle公式ドキュメントを直接読み込んだ上で、現場で役立つ形に翻訳してお届けします。

AEO・GEOも「結局はSEO」──Googleの結論と生成AI検索の仕組み
AEO・GEOとは何か
AEOは「Answer Engine Optimization(アンサーエンジン最適化)」、GEOは「Generative Engine Optimization(生成エンジン最適化)」の略です。どちらもAI検索の回答に取り上げられることを狙った最適化を指す言葉として、近年さかんに使われるようになりました。
こうした新語が増えると、「SEOとは別の専門スキルが必要なのでは」と身構えてしまいがちです。しかしGoogleはこのガイドで、明快な見解を示しました。
すなわち「Googleの観点では、生成AI検索の最適化とは検索体験の最適化であり、つまりは依然としてSEOである」というものです。AEOやGEOはSEOと別物ではなく、SEOの一部だとGoogleは整理しています。新しい看板に惑わされず、本質的なSEOに取り組むことが、そのままAI検索対策になるということです。
この見解は、これまでGoogleの担当者がカンファレンスで述べてきた内容とも一致します。今回それが公式ドキュメントに明文化されたことで、社内外で施策を説明する際に「引用できる根拠」ができた意義は小さくありません。
生成AI検索が動く2つの仕組み
なぜ「結局はSEO」なのか。その理由は、生成AI機能がGoogle本体の検索ランキングと品質システムに根ざして動いているからです。ガイドでは、その中核となる2つの技術が紹介されています。
1つ目は「RAG(検索拡張生成)」です。これはグラウンディングとも呼ばれ、AIが回答を作る際に、Googleの検索インデックスから関連性が高く新鮮なページを取得し、その情報をもとに信頼できる回答を生成する仕組みです。回答には、根拠となったページへのクリック可能なリンクが表示されます。
2つ目は「クエリファンアウト」です。これは、ユーザーの質問に対してAIが関連する複数の検索を同時に生成し、追加の検索結果を集めて回答に反映する仕組みを指します。たとえば「雑草だらけの芝生を直す方法」という質問に対し、「芝生用の除草剤」「薬剤を使わない雑草対策」などの派生クエリが内部的に走るイメージです。
いずれも、土台にあるのはGoogleの検索ランキングそのものです。通常の検索で評価されるページが、AIの回答でも取り上げられやすいという構造になっています。だからこそ、奇をてらった裏技より、検索で評価される良質なサイトづくりが王道なのです。

やらなくていいこと──誤解されやすい5つの施策
このガイドで最も注目すべきは、「Mythbusting(誤解の払拭)」と題したセクションです。AI検索対策として広く語られているものの、Googleの検索では効果がない、あるいは不要とされる施策が具体的に名指しされています。限られたリソースを無駄にしないために、まずは「やらなくていいこと」から押さえましょう。
1. llms.txtなど特別なファイルは不要
AI向けにサイトの情報をまとめる「llms.txt」というファイルが話題になりました。しかしGoogleは、こうした機械可読ファイルやAI専用のテキスト、特別なマークアップを作る必要はないと明言しています。Google検索(生成AI機能を含む)はそれらを利用していないためです。
他のサービスのためにllms.txtを用意すること自体は問題ありませんが、Google検索においては順位にもAI掲載にも影響しないとされています。ファイル作成に時間を割く前に、本体のコンテンツ改善に注力するのが賢明です。

2. コンテンツの「チャンク化」は不要
「AIが理解しやすいように、コンテンツを細かい断片(チャンク)に分割すべき」という主張もよく見かけます。しかしガイドは、AIのために内容を細切れにする必要はないとしています。
Googleのシステムは、1ページに複数のトピックがあってもその文脈を理解し、ユーザーに関連する部分を提示できると説明されています。理想的なページの長さというものは存在せず、短くても長くても、読者にとって適切であればよいという考え方です。AIのためではなく、あくまで読者のためにページを作ることが大切だと示されています。
3. AI向けのリライトは不要
「AIに読まれるために、特定の書き方やキーワードへ書き換えるべき」という発想も不要だとされています。AIシステムは類義語や全体的な意味を理解できるため、まったく同じ言葉を使っていなくても、関連するコンテンツとユーザーを結びつけられるからです。
つまり、考えうるすべての言い回しやロングテールキーワードを網羅しようと無理をする必要はありません。人間が自然に読める文章であれば、AIも十分に理解できるというのがGoogleの立場です。検索意図ごとに似たようなページを量産する行為は、むしろスパムポリシー違反のリスクすらあります。
4. 不自然な「言及(メンション)集め」は逆効果
AIはブログや動画、フォーラムなど、ウェブ上で語られている評判も拾います。だからといって、不自然に「自社への言及」を増やそうとする行為は、見た目ほど有効ではないとガイドは指摘します。
Googleの中核ランキングは高品質なコンテンツを重視し、別のシステムがスパムをブロックしています。生成AI機能はその両方に依存しているため、作為的な評判づくりは通用しにくい構造です。地道に実力で評価を積み上げる方が、結果的に近道になります。
5. 構造化データは必須ではない(ただし継続推奨)
構造化データ(schema.orgのマークアップ)についても、生成AI検索のために必須ではなく、AI専用の特別なスキーマを追加する必要もないとされています。ここは誤解されやすいので注意が必要です。
ただし「不要」とは言っていません。リッチリザルト(検索結果の拡張表示)の対象となるために、全体的なSEO施策の一環として構造化データを使い続けることは引き続き推奨されています。つまり、AIのためだけに無理に増やす必要はないが、従来どおり適切に使うのは有益、という整理です。

やるべきこと──AIに選ばれるコンテンツと技術基盤
では、限られた時間をどこに使うべきなのか。ガイドが示す「やるべきこと」は、突き詰めれば従来のSEOの王道です。ここでは中小企業が優先したいポイントを、コンテンツ・技術・ローカルの3つの観点で整理します。
コモディティでない「独自の価値」を持つコンテンツ
Googleが最も重視しているのが、コモディティ(ありふれた汎用情報)ではないコンテンツです。ガイドでは、どこにでもある一般論を「コモディティ」、独自の専門知識や実体験に基づく内容を「ノンコモディティ」と区別しています。
たとえば「初めての住宅購入者のための7つのコツ」のような記事は、誰でも書ける common knowledge(共通知識)にすぎません。一方で「あえて建物検査を省いて費用を節約した理由:排水管を実際に調べてみた話」のように、当事者ならではの視点や一次体験が入った内容は、AIにとっても価値ある情報源になります。
ここはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の考え方とも直結します。他サイトの要約ではなく、自社の現場知見を一次情報として書くことが、長期的に最も効くというわけです。読者に向けて、見出しと段落で読みやすく整理し、関連する高品質な画像や動画を添えることも推奨されています。
判断に迷ったら、「これは訪問者が満足できる内容か」と自問するとよい、とガイドは助言しています。読者ファーストという原則さえ外さなければ、大きく間違えることはありません。
クロール・インデックスという技術的な土台
どれほど良いコンテンツでも、Googleに見つけてもらえなければ始まりません。生成AI機能に表示される前提として、そのページがインデックスされ、スニペット付きで検索に表示できる状態であることが必要だと明記されています。
具体的には、検索の技術要件を満たすこと、コンテンツがクロール可能であること、JavaScriptを使う場合は適切なJavaScript SEOに従うことが挙げられています。セマンティックHTMLは完璧である必要はなく、人間が読みやすい構造を意識すれば十分だとされています。
注意したいのは、技術要件や best practice、ポリシーをすべて満たしたからといって、クロールやインデックス、表示が保証されるわけではない点です。Googleも「インデックスと表示は保証されない」と明記しています。だからこそ、小手先の対応で満足せず、サイト全体の品質を底上げし続ける姿勢が求められます。
あわせて、ページエクスペリエンス(表示速度や端末対応、本文の見やすさ)を整えること、重複コンテンツを減らすことも有効です。これらはすべて従来のSEOで重要とされてきた基本そのものであり、AI時代になっても変わりません。Search Consoleでサイトを登録し、問題を早期に発見できる体制づくりも推奨されています。
ローカル・ECと「AIエージェント時代」への備え
店舗ビジネスやEC事業者にとっては、ローカル情報や商品情報の整備も重要です。生成AIの回答には、商品リストや店舗情報が含まれることがあります。Googleビジネスプロフィールやマーチャントセンターを活用することで、AI回答にも通常の検索結果にも表示されやすくなると説明されています。
さらにガイドは、AIエージェント(自律的にタスクを実行するシステム)にも触れています。予約やスペック比較などを代行するブラウザエージェントが、スクリーンショットやDOM構造、アクセシビリティ情報を読み取ってサイトにアクセスする時代が来つつあるためです。
こうしたエージェント対応は、Google自身も「自社のビジネスに関係があり、余力があれば検討する」程度の位置づけとしており、現時点で急ぐ必要はありません。ただ、検索エージェント向けの新しいプロトコル(UCPなど)も登場しており、中長期の動向として頭の片隅に置いておくとよいでしょう。まずは目の前の読者に役立つサイトを整えることが先決です。

なお、自社や経営者の発信者情報を整えておくことも、AI検索時代の信頼性確保に役立ちます。関連する取り組みは以下の記事でも解説しています。

よくある質問(FAQ)
Q. これまでのSEO対策は無駄になってしまうのですか?
無駄にはなりません。Googleは生成AI検索の最適化も「依然としてSEOである」と明言しています。これまで積み上げてきた良質なコンテンツや技術的な改善は、AI検索でもそのまま評価の土台になります。むしろ基本に忠実なサイトほど有利です。
Q. AEOやGEOの専門サービスに依頼すべきでしょうか?
Googleは、第三者のAEO/GEOサービスを検討する際は、その助言が信頼できるか慎重に評価するよう促しています。少なくともGoogle検索に関しては、llms.txtやチャンク化といった「裏技」は不要とされています。依頼を検討する場合は、本記事で紹介した「やるべきこと」を着実に実行できる相手かどうかを基準にするとよいでしょう。
Q. ChatGPTやPerplexityなど他のAIにも同じ対策が効きますか?
今回のガイドはあくまでGoogle検索の生成AI機能に関するものです。ChatGPTやPerplexityなど他のプラットフォームは、評価する信号が異なる可能性があります。ただし「独自の価値あるコンテンツを、読みやすく、技術的に問題のないサイトで公開する」という基本は、どのAIに対しても通用しやすい王道だといえます。
Q. 中小企業はまず何から始めればよいですか?
まずは自社の強みや現場の経験を活かした「他では読めない記事」を1本ずつ増やすことをおすすめします。並行して、ページが正しくインデックスされているか、表示速度や重複に問題がないかをSearch Consoleで確認しましょう。特別なAI対策よりも、この2つの積み重ねが結果につながります。
Q. 記事の長さや本数は多いほど有利ですか?
必ずしもそうではありません。Googleは「ページ数が多いことがサイトの品質や関連性を高めるわけではない」と述べています。検索意図ごとに似た記事を量産する行為は、スパムと見なされるリスクもあります。本数よりも、一本一本が読者にとって本当に役立つ内容かどうかを優先してください。
まとめ:生成AI時代もSEOの本質は変わらない
2026年6月に更新されたGoogle公式ガイドが伝えるメッセージは、とてもシンプルです。生成AI検索の最適化は特別な別物ではなく、依然としてSEOそのものである、ということです。AEOやGEOという新しい言葉に身構える必要はありません。
やらなくていいことは、llms.txtの作成、コンテンツのチャンク化、AI向けのリライト、不自然な言及集め、そしてAIのためだけの構造化データ追加です。逆にやるべきことは、独自の価値を持つコンテンツづくり、クロール・インデックスなど技術基盤の整備、ローカル・EC情報の充実という、王道のSEOでした。
情報が増えるほど、本質に立ち返ることが強みになります。読者の役に立つサイトを地道に育てることが、結果的にAI検索でも選ばれる最短ルートだといえるでしょう。まずはできるところから、一歩ずつ進めていきましょう。
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記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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