アプリ開発

予約アプリの開発費用|自社専用と予約サービスの比較

記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司

「予約をアプリで受けたいのですが、作るといくらかかりますか。月額の予約サービスとどちらが得ですか」。美容室や整体院、教室を運営している方から、最近こうしたご相談をいただくことが増えました。

電話予約の取りこぼしや、ダブルブッキングの手直しに追われていると、自社専用のアプリがほしくなるものです。一方で、月額数千円から使える予約サービスも充実しており、どちらを選ぶべきか迷うのは自然なことです。

この記事では、予約アプリの作り方を3つに分け、予約サービスの公式料金と自社専用アプリの開発費用を同じものさしで比べます。そのうえで、どちらが向いているかを見分ける目安と、費用を抑える進め方を解説します。

筆者は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、Web制作とSEOに10年以上携わり、延べ1,000件以上のご相談に対応してきました。現在はアプリ開発のご依頼も受けており、作る側と使う側の両方の目線でお伝えします。

目次

予約アプリの作り方は大きく3通り

三つに分かれた道の先に、予約画面のスマホと工房と歯車が置かれたイラスト

「予約アプリ」と一口に言っても、作り方によって費用も手間も大きく変わります。まずは選択肢の全体像をそろえておきましょう。

作り方1:予約サービスを契約して使う

1つ目は、すでに出来上がっている予約サービスに申し込み、自社の予約ページを作る方法です。店舗名やメニュー、営業時間を設定すれば、その日のうちに予約を受け付けられるものもあります。

お客様は専用アプリを入れる必要がなく、スマホのブラウザから予約できます。多くのサービスに、確認メールやリマインドの自動送信、空き枠の管理といった基本機能がそろっています。

作り方2:自社専用の予約アプリを開発する

2つ目は、開発会社に依頼して、自社の業務に合わせた予約アプリを一から作る方法です。画面のデザインや予約のルール、会員証やポイントとの連携まで、自由に決められます。

自由度が高い分、初期費用と期間がかかり、公開後の保守も必要になります。お客様にアプリを入れてもらう手間が増えることも、忘れずに考えておきたい点です。

作り方3:予約サービスと自社の仕組みを組み合わせる

3つ目は中間の方法です。予約の受付は予約サービスに任せ、会員情報や来店履歴の管理など、足りない部分だけを自社の仕組みで補います。

予約サービスの中には、ほかのシステムとつなぐための仕組み(APIと呼ばれる接続口)を上位プランで用意しているものがあります。すべてを自前で作らず、「予約の受付」と「自社ならではの部分」を分けて考えると、費用を大きく抑えられることがあります。

予約サービスの料金|公式サイトの料金で比べる

料金表のボードとカレンダー付きのスマホを並べて比べるイラスト

ここからは、代表的な予約サービスの料金を、各社の公式サイトで2026年10月12日に確認した内容で紹介します。料金やプランは変わることがあるため、契約前には必ず最新の公式情報を確かめてください。

なお、ここで取り上げるのは比べ方を説明するための例です。特定のサービスをおすすめしたり、優劣をつけたりする意図はありません。

STORES 予約は無料から月額66,000円まで5段階

STORES 予約の公式料金ページによると、プランはフリー、スモール、チーム、ビジネス、エンタープライズの5つです。年間契約の場合、月額(税込)はフリーが0円、スモールが9,790円、チームが19,690円、ビジネスが28,600円、エンタープライズが66,000円となっています。

月に受け付けられる予約件数にも上限があり、フリーは50件、スモールは200件、ビジネスは2,000件です。有料プランは最短3か月からの契約で、上限を超えた場合は50件ごとに1,078円(税込)で枠を追加できると案内されています。

RESERVAは月額3,850円からの段階制

RESERVAの公式料金ページでは、フリー、ブルー、シルバー、ゴールド、エンタープライズ、スイートの6プランが案内されています。年払いの月額(税込)は、ブルーが3,850円、シルバーが6,600円、ゴールドが13,200円です。

フリープランは月50件までの予約と、250件までの顧客登録に対応しています。外部システムとつなぐAPI連携は最上位のスイート(年払いで月額46,200円)からとされており、作り方3を考える場合はこの点が目安になります。

LINE公式アカウントは「連絡の費用」として別に見る

予約の確認やお知らせをLINEで送りたい、という要望もよく伺います。LINE公式アカウントは予約サービスそのものではありませんが、組み合わせて使う会社が多いため、費用の考え方を押さえておきましょう。

LINEヤフーの公式案内では、月額(税別)はコミュニケーションプランが0円で200通、ライトプランが5,000円で5,000通、スタンダードプランが15,000円で30,000通まで送れます。2026年10月1日からは、スタンダードプランの追加メッセージが月20万通まで1通3円(税別)に改定されました。

Googleの「予約」ボタンとのつながりも確認する

Googleビジネスプロフィールのヘルプによると、検索結果やマップに表示される予約ボタンは、Googleに対応した予約サービス(プロバイダ)を通じて設定します。独自の予約ページへのリンクを追加することもできます。

地域のお店にとって、マップから直接予約できるかどうかは集客に関わります。予約サービスを選ぶときは、料金だけでなく「Googleの予約ボタンに対応しているか」も確認しておくと安心です。

自社専用の予約アプリの開発費用|相場と内訳

開発者がスマホと管理画面のパソコンを組み立てている作業場のイラスト

次に、自社専用の予約アプリを開発する場合の費用です。こちらは公開された料金表がないため、発注先の比較サービスが公開している相場を参考にします。

相場は50万円から500万円前後と幅が広い

発注先比較サービスのPRONIアイミツは、2026年6月更新の記事で、予約システムの開発費用を基本機能を備えたもので50万〜500万円前後としています。シンプルな構成なら50万〜100万円前後、標準的な機能なら150万〜300万円前後が目安だそうです。

同じ記事では、クリニックの予約管理で38万5,000円、複数店舗の飲食業向けで275万円といった見積もり事例も紹介されています。同じ「予約」でも、機能と店舗数によって金額が大きく変わることが分かります。

金額を左右するのは「予約のルール」の複雑さ

開発費用に最も影響するのは、画面の数よりも予約のルールです。スタッフの指名、メニューごとの所要時間、設備の空き状況、キャンセル待ちといった条件が増えるほど、作り込みと確認の手間が増えます。

筆者がご相談を受ける中でも、「スタッフの休憩時間をまたぐ予約はどうするか」「当日キャンセルの扱いはどうするか」といった細かな決めごとで見積もりが大きく変わる場面をよく見ます。見積もりを取る前に、自社の予約ルールを紙に書き出しておくと、金額の差の理由が分かりやすくなります。

iPhone・Android・管理画面の3つを作る

予約アプリは、お客様が使うiPhone版とAndroid版に加えて、お店側が予約を確認する管理画面が必要です。両方のスマホに対応する作り方を選べば費用は抑えやすくなりますが、それでも管理画面の分は別にかかります。

ストアで公開するには、Appleの開発者プログラムの年会費(公式サイトで99米ドルと案内)や、Google Playの登録料もかかります。開発費とは別の費用として見積もりに含まれているか確認しましょう。

見積もりで確認したい「開発費以外」の費用

見積書には開発作業の費用だけが書かれ、運用に必要な費用が別になっていることがあります。サーバーの利用料、予約確認メールやSMSの送信費用、決済サービスの手数料などがその代表です。

比べるときは「開発費」ではなく「公開して1年使うまでに払う総額」で並べると、見積もりどうしの差が正しく見えてきます。不明な項目は、契約前に質問しておきましょう。

当社での料金の目安は、機能を選んで概算できるシミュレーターとあわせてアプリ開発のページで公開しています。

費用の比べ方|5年間の合計で考える

五段に積み上がるコインの棒グラフとてんびんで長期の費用を比べるイラスト

予約サービスは月額、自社開発は初期費用が中心と、お金のかかり方が違います。そのため、1か月や初年度だけで比べると判断を誤りやすくなります。

月額の予約サービスを5年使った場合

仮に、STORES 予約のスモールプランを年間契約で5年間使うと、9,790円×60か月で58万7,400円です。RESERVAのシルバープランを年払いで5年間使う場合は、6,600円×60か月で39万6,000円になります。

ここに、LINEでのお知らせ費用などが加わることがあります。それでも、5年間で数十万円台に収まるケースが多いと考えられます。

自社開発のアプリを5年使った場合

自社開発の場合、初期費用を標準的な150万〜300万円とし、保守費を仮に月3万円とすると、5年間の保守費だけで180万円になります。合計すると330万〜480万円ほどが一つの目安です。

自社開発は「作って終わり」ではなく、OSの更新やストアの要件変更への対応が毎年発生します。保守費の考え方は、別の記事で詳しく解説しています。

金額の差で「得られるもの」を考える

単純に比べると、予約サービスのほうが安く済むケースが大半です。それでも自社開発を選ぶ会社があるのは、予約サービスでは実現できない価値があるからです。

例えば、来店履歴にもとづいたおすすめ、ポイントや回数券との一体化、自社の基幹システムとの連携などです。この差額で何を得たいのかを言葉にできるかどうかが、判断の分かれ目になります。

予約サービスで足りる会社・自社開発が向く会社

チェックリストを持った店主が二つの扉の前で考えているイラスト

ここまでの費用の違いを踏まえて、どちらが向いているかを見分ける目安を整理します。迷ったときは、次の質問に順番に答えてみてください。

予約サービスで十分な会社の特徴

店舗が1〜数か所で、メニューやスタッフの数が限られている会社は、予約サービスで十分なことが多いです。予約の受付、リマインド、空き枠の管理といった基本機能は、多くのサービスに最初からそろっています。

まずは無料プランで実際の予約を受けてみて、足りない点が出てきたら上位プランを検討するという順番がおすすめです。初期費用をかけずに始められ、合わなければやめられるのは大きな利点です。

自社開発を検討したほうがよい会社の特徴

予約のルールが独特で、どの予約サービスの設定でも再現できない会社は、自社開発を検討する価値があります。会員証、ポイント、物販、予約をひとつのアプリにまとめたい場合も同様です。

月の予約件数が多く、上位プランの月額が積み重なっている会社も、5年間の合計で比べ直してみましょう。件数によっては、自社開発のほうが割安になる分岐点が見えてくることがあります。

判断に迷ったときの3つの質問

1つ目は「今の予約サービスで、具体的に何ができずに困っているか」です。2つ目は「その困りごとは、上位プランや別のサービスで解決できないか」です。

3つ目は「お客様は、そのためにアプリを入れてくれるか」です。来店が年に数回のお店では、アプリを入れてもらうこと自体が高いハードルになります。

業種によって向き不向きの傾向がある

美容室や整体院のように、スタッフの指名と所要時間の組み合わせが中心の業種は、予約サービスの設定で対応できることが多いです。一方で、設備の貸し出しやスクールの振替授業のように、独自の条件が重なる業種は自社開発を検討する場面が増えます。

ただし、業種だけで決めつけず、自社の予約ルールを実際のサービスの設定画面で試してみることが一番の近道です。無料プランや試用期間を活用して確かめてみてください。

予約アプリならではの注意点

クレジットカードと盾と鍵がスマホを囲む、決済と個人情報の注意点のイラスト

自社開発を選ぶ場合、予約アプリには特有の注意点があります。見積もりの前に知っておくと、後から追加費用が発生する事態を防ぎやすくなります。

事前決済はアプリ内課金ではなく外部の決済を使う

予約時に代金を先に支払ってもらう仕組みを入れる場合、決済の方法に決まりがあります。AppleのApp Store審査ガイドライン3.1.3(e)では、アプリの外で使う商品やサービスの購入には、アプリ内課金ではなくApple Payやクレジットカードなど別の決済方法を使うよう定められています。

施術やレッスンの予約はアプリの外で受けるサービスなので、通常はクレジットカード決済サービスなどを組み込むことになります。決済の仕組みは、開発費とは別に決済手数料がかかる点も含めて見積もりで確認しましょう。

「Webで予約できるだけ」のアプリは審査で不利になりうる

App Store審査ガイドライン4.2では、Webサイトを単に包み直しただけのアプリは認められない旨が示されています。予約ページをそのまま表示するだけのアプリでは、ストアで公開できない可能性があります。

アプリにするなら、通知や会員証など、アプリならではの機能を用意する必要があります。その分の開発費がかかることも、予約サービスとの比較に入れておきましょう。

お客様の個人情報の扱いを決めておく

予約アプリでは、氏名や電話番号、来店履歴などの個人情報を預かります。自社開発の場合、その保管や管理の責任は自社が負うことになります。

プライバシーポリシーの整備や、退会時のデータ削除の手順も必要です。個人情報の取り扱いについて判断に迷う場合は、弁護士など専門家にご相談ください。

キャンセルと無断キャンセルのルールを先に決める

予約で最も手間がかかるのは、キャンセルと無断キャンセルへの対応です。キャンセル料を取るのか、何日前まで無料にするのかによって、必要な機能が変わります。

キャンセル規定を設ける場合は、予約前に利用者へ分かりやすく示すことが大切です。規定の内容に不安がある場合も、専門家に確認しておくと安心です。

費用を抑えて始める進め方

小さな箱から順に階段を上り、完成したアプリにたどり着くイラスト

予約サービスか自社開発かを、最初から二択で決める必要はありません。段階を踏んで進めると、無駄な出費を防ぎやすくなります。

段階1:予約サービスの無料プランで始める

まずは無料プランで予約ページを作り、ホームページやGoogleビジネスプロフィールからリンクします。実際の予約がどのくらい入るか、お客様がどこでつまずくかが見えてきます。

電話予約がどの程度ネット予約に移るかも、この段階で分かります。数字が見えてから次を考えれば、判断の精度が上がります。

段階2:足りない点を書き出す

運用してみて「この機能があれば」と感じた点を、スタッフと一緒に書き出していきます。上位プランや別のサービスで解決できるものと、できないものに分けて整理しましょう。

この一覧がそのまま、開発会社に見積もりを依頼するときの要件のたたき台になります。手元に資料があると、見積もりの比較もしやすくなります。

段階3:解決できない部分だけを開発する

書き出した中で、どうしても解決できない部分が残った場合に、初めて開発を検討します。予約の受付はサービスに任せたまま、会員証や来店履歴の部分だけを作るといった、作り方3の形も選べます。

全部を作り直すより費用と期間を抑えやすく、うまくいかなかったときの損失も小さく済みます。

補助金を使う場合は順番に注意する

開発に補助金を使いたい場合は、交付決定より前に契約や発注をすると対象外になる制度が多くあります。使えそうな制度がある場合は、見積もりと並行して公募要領を確認しておきましょう。

制度ごとに対象となる経費は異なり、採択されるとは限りません。詳しくは別の記事で、対象になる制度とならない制度を整理しています。

よくある質問(FAQ)

相談カウンターで担当者が来訪者の質問に答えている、よくある質問のイラスト

予約サービスのデータを、あとから自社アプリに移せますか?

サービスによって、顧客情報や予約履歴を書き出せる範囲が異なります。将来の移行を考えているなら、契約前にCSVなどで出力できる項目を確認しておきましょう。

RESERVAの公式料金ページでは、予約情報の全項目の書き出しは上位プランの機能とされています。プランによる違いにも注意が必要です。

小さなお店でも、自社専用の予約アプリは作れますか?

作ることはできますが、費用に見合うかどうかは別の問題です。来店頻度が高く、会員証やポイントもまとめたいお店であれば、検討する価値があります。

来店が年に数回のお店では、予約サービスとLINEの組み合わせで十分なことが多いです。

予約アプリの開発にはどのくらいの期間がかかりますか?

機能や体制によって異なりますが、設計から公開まで数か月はかかると考えておきましょう。ストアの審査期間も別にかかり、公開日を事前に確約することはできません。

繁忙期の前に使い始めたい場合は、逆算して早めに相談するのがおすすめです。

ホームページの予約フォームではだめですか?

予約の件数が少なく、空き枠の自動管理が不要なら、予約フォームでも十分なことがあります。ただし、空き状況を見ながら予約できないため、日時の調整のやり取りが発生します。

ダブルブッキングや確認の手間が増えてきたら、予約サービスへの切り替えを検討するとよいでしょう。

予約サービスを使いながら、アプリも持つことはできますか?

できます。予約は予約サービスで受け、アプリでは会員証やお知らせを担うといった組み合わせ方があります。

予約サービスによっては、API連携で自社アプリから予約情報を扱えるものもあります。どこまで連携できるかは、契約するプランの仕様を確認してください。

まとめ|まずは予約サービスで始め、足りない部分だけ作る

予約画面のスマホを前に握手する店主と担当者の、まとめのイラスト

予約アプリの作り方は、予約サービスを使う、自社専用に開発する、その2つを組み合わせる、の3通りです。費用は月額と初期費用でかかり方が違うため、5年間の合計で比べることが大切です。

公式料金で計算すると、予約サービスは5年間で数十万円台、自社開発は保守を含めて数百万円台になることが多いと考えられます。その差額で何を実現したいのかが、判断の分かれ目になります。

迷ったときは、予約サービスの無料プランで始め、足りない点を書き出し、解決できない部分だけを開発する順番がおすすめです。まずは今の予約のルールを紙に書き出すところから始めてみましょう。

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