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Merchant CenterにAI分析新機能|中小ECのAI検索対策

Googleで商品を探すとき、単語を並べるのではなく「会話」で調べる人が増えています。AIモードやAI Overviews(AIによる概要)の普及により、ECサイトの商品がAIの回答の中でどう表示されるかが、売上を左右する時代になりました。

そうした中、Google Merchant Centerに新しいレポート「AIパフォーマンス分析(AI performance insights)」が登場しました。2026年7月14日(米国時間)にGoogleのヘルプドキュメントが確認され、米国の一部アカウントを対象にパイロット提供が始まっています。

「AI Overviewsに商品が出ているのか、確認する方法がない」「AI経由の売上への影響が見えない」という悩みは、多くのEC事業者に共通するものでした。今回の新レポートは、まさにその悩みに対するGoogleからの回答といえます。

本記事では、AIパフォーマンス分析で何が分かるのか、各指標の見方、そして日本の中小EC事業者が今から進めておくべき準備を、Google公式情報をもとに詳しく解説します。

記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司

Merchant Center「AIパフォーマンス分析」とは

AIパフォーマンス分析とは(分析ダッシュボードを虫眼鏡で調べるAIロボットのイラスト)

AIモード・AI Overviewsでの商品露出を可視化するレポート

AIパフォーマンス分析は、Google Merchant Centerの分析機能に追加された新しいレポートです。自社のブランドや商品が、Googleの生成AI検索面であるAIモードとAI Overviewsの中でどのように表示されているかを、Google公式のデータで確認できるのが最大の特徴です。

これまでAI検索での商品の「見え方」は、外部ツールで断片的に推測するしかありませんでした。Googleが商品データと結び付いた形でAI面の表示状況を開示するのは、今回が初めての取り組みといえます。

なお、レポートの対象になるのは、ショッピング意図やブランドに関連する会話型の検索クエリのみです。それ以外の一般的な検索は集計に含まれない点は押さえておきましょう。

背景にあるショッピング行動の変化

Googleはヘルプドキュメントの中で、この機能を「キーワード検索から、複雑で会話的なショッピング行動への移行を読み解く手がかり」と位置づけています。たとえば「初心者向けで、雨の日でも滑りにくいランニングシューズはどれ?」のような長い質問が、AIモードでは当たり前になりつつあります。

こうした会話型の質問では、AIが商品データや商品ページの情報を読み取り、条件に合う商品を選んで提示します。つまり「AIに正しく理解される商品情報」を用意できているかどうかが、露出の分かれ目になるのです。

Google Marketing Live 2026で発表された機能がついに実装

AIパフォーマンス分析は、2026年5月に開催されたGoogle Marketing Live 2026で、会話型ショッピングに対応する新機能のひとつとして発表されていました。同時に、商品フィードに会話的な情報を追加できる「Conversational Attributes(会話型属性)」も発表されています。

発表から約2か月を経て、今回ヘルプドキュメントの公開とともにパイロット提供の開始が確認されました。Search Engine RoundtableやPPC News Feedなど海外の専門メディアも、7月14日に相次いで報じています。

提供状況とレポートの開き方

提供状況とレポートの開き方(地球儀とマップピン、ステップのイラスト)

現在は米国の一部アカウント限定のパイロット提供

Googleのヘルプドキュメントによると、AIパフォーマンス分析は現在、米国の限られたMerchant Centerアカウントを対象にしたパイロット段階です。今後数か月のうちに、オーストラリア・カナダ・インド・ニュージーランドへ拡大される予定と説明されています。

残念ながら、日本は現時点で対象国に含まれていません。ただし、Search ConsoleのAIパフォーマンスレポートも段階的に対象が広がってきた経緯があり、こうした計測機能は順次拡大されるのが通例です。

日本での提供開始を待つ間に、指標の意味と活用方法を理解しておけば、利用できるようになった時点ですぐに動けます。本記事はそのための「予習」としてご活用ください。

レポートを開く手順

対象アカウントでは、次の手順でレポートにアクセスできます。手順自体はとてもシンプルです。

  1. Google Merchant Centerにログインする
  2. 左側のナビゲーションから「分析(Analytics)」タブを開く
  3. 「商品(Products)」を選択する
  4. ページ上部の「AIパフォーマンス(AI performance)」タブを選択する

「AIパフォーマンス」タブが表示されない場合は、まだパイロットの対象になっていないアカウントです。表示の有無が、対象かどうかを見分ける目印になります。

レポートで確認できる指標とフィルタ

レポートの指標とフィルタ(メーターと円グラフ、フィルターのイラスト)

シェアオブボイス(Share of Voice)

レポートの中心となる指標が「シェアオブボイス」です。これは、関連クエリで表示された自社と競合のAIインプレッション(表示回数)の合計のうち、自社のAIインプレッションが占める割合を示します。

あわせて「競合の平均シェア」も表示されるため、自社のAI検索での存在感が市場水準より上か下かを客観的に判断できます。比較対象となる競合は、Merchant Centerにすでに用意されている競合データに基づいて自動的に決まり、自分で変更することはできません。

クエリ頻度とクエリタイプ

「クエリ頻度」は、特定のクエリタイプや商品用語、ショッピングジャーニーの段階、商品属性がどれだけ人気かを表す指標です。消費者の需要がどこに集まっているかが分かるため、何を優先して最適化すべきかの判断材料になります。

「クエリタイプ」は、顧客がどのような種類の質問をしたかを示します。カテゴリから探す検索、スペック(仕様)の調査、レビューを探す質問など、質問の性質ごとに分類されるのが特徴です。

フィルタ設定と現時点の制限

ダッシュボード上部のフィルタでは、商品カテゴリ・期間・国・トラフィックの4つで絞り込みができます。ただし商品カテゴリは単一カテゴリのみで、全カテゴリを横断する一括レポートは用意されていません。

また、現時点のデータは無料リスティングなどオーガニック(自然検索)のAIトラフィックに限定されており、ショッピング広告の成果は含まれません。さらにヘルプドキュメントにはクリック数への言及がなく、当面は表示ベースの分析が中心になる点にも注意が必要です。

Search ConsoleのAIレポートとの違い

「AI検索の計測なら、Search Consoleにも生成AIのパフォーマンスレポートがあるのでは?」と思われた方もいるでしょう。両者は役割が異なります。

Search ConsoleのレポートはWebサイト(ページ)がAI検索面でどう表示・クリックされたかを測るのに対し、Merchant CenterのAIパフォーマンス分析は商品・ブランド単位の露出を競合と比較しながら測ります。とくに競合とのシェア比較や、購買ジャーニー段階別の分析は、Merchant Center側にしかない視点です。

ECサイトを運営しているなら、将来的には両方を併用し、ページの露出はSearch Consoleで、商品の露出はMerchant Centerで確認する、という役割分担になっていくと考えられます。

ショッピングジャーニー3フェーズでAIでの見え方を診断

ショッピングジャーニー3フェーズ(段階状のプラットフォームとカートのイラスト)

発見・評価・購入の3段階スコアカード

このレポートのユニークな点は、会話型クエリを購買行動の段階ごとに分類して見せてくれることです。具体的には「発見(Discovery)」「評価(Evaluation)」「購入(Purchase)」の3つのフェーズに分けられます。

発見は商品の選択肢を広く探る初期段階、評価は候補を比較したり仕様を確かめたりする中間段階、購入は取引に近い最終段階を指します。フェーズごとにシェアオブボイスが表示されるため、自社がどの段階でAIの会話に登場し、どの段階で姿を消しているかを突き止められます。

従来の検索分析では「どのキーワードで表示されたか」しか分かりませんでしたが、この3フェーズ分析では「買い物客がどの心理段階にいるときに自社が候補に挙がっているか」まで踏み込めます。ファネル(購買までの流れ)のどこに穴があるかを、AI検索のデータで直接確かめられるのは大きな進歩です。

たとえば発見フェーズで「商品の特徴から探す」タイプの質問が人気なのに、自社のシェアオブボイスが低ければ、そこが最優先の改善ポイントです。人気のクエリタイプと自社の露出のギャップを見つける、という使い方がGoogleの想定する活用イメージです。

なお、1つの質問に価格と比較の両方が含まれるような複雑なケースでは、同じクエリが複数のカテゴリに重複して計上されることもあります。数値を読む際は、この仕様も頭に入れておきましょう。

改善のヒントを示す2つのスコアカード

ジャーニー分析に加えて、具体的な改善アクションにつながる2種類のスコアカードが用意されています。1つ目は「よく使われるAIショッピング用語」です。

これは、買い物客が会話型検索で重視している機能や利点の言い回し(例:「最大限のクッション性」「アーチサポート」など)を示すもので、その用語に合致する自社商品の数、用語の人気度、シェアオブボイスまで確認できます。見つけた用語を商品タイトルや説明文に自然に反映させることで、AIとのマッチング精度を高められます。

2つ目は「人気の商品属性」です。サイズ・色・素材といった、買い物客が求めているのに自社の商品データに欠けている構造化属性を教えてくれます。

現時点で対象になるのは構造化された属性のみですが、フィード改善の優先順位づけには十分役立ちます。AI経由の需要データから逆算してフィードを整備する、新しい運用サイクルが生まれそうです。

日本の中小EC事業者が今から進めたい3つの準備

中小EC事業者が進めたい準備(商品ボックスとチェックリストのイラスト)

1. 商品タイトルと説明文を「会話」に合わせて見直す

AIパフォーマンス分析が示す方向性は明確で、AIは「会話の言葉」で商品を探しているということです。型番や商品名の羅列だけでは、会話型の質問に引っかかりにくくなります。

たとえば「ステンレスボトル 500ml」という商品なら、「結露しにくく、通勤バッグに入れても書類が濡れない」「炭酸OK」「食洗機対応」といった、買い物客が実際に口にする条件を説明文で言語化しておくイメージです。会話型の質問は条件の組み合わせで成り立つため、条件に答える言葉が多いほど選ばれる可能性が高まります。

「誰の、どんな悩みを、どう解決する商品なのか」を、利用シーンの言葉で商品タイトルや説明文に盛り込みましょう。筆者(全日本SEO協会認定SEOコンサルタント・三田健司)はWeb制作とSEO支援に10年以上、延べ1,000件以上携わってきましたが、用途や悩みの言葉を補った商品ページは、従来の検索でもAI検索でも露出が安定しやすいと感じています。

2. 商品フィードの属性情報を充実させる

レポートの「人気の商品属性」が構造化属性を対象にしていることからも分かるとおり、色・サイズ・素材・GTINといった属性データの充実は、AIショッピング時代の土台です。属性が欠けた商品は、条件を指定した会話型の質問にそもそもマッチできません。

あわせて発表されたConversational Attributes(会話型属性)は、日本を含むグローバルで展開が始まっています。Merchant Center内で商品の会話的な情報や説明文を強化できるため、日本のEC事業者が今すぐ取り組める数少ない「先行準備」のひとつです。

3. AI経由の流入を今のうちから計測しておく

AIパフォーマンス分析が日本に来る前でも、AI検索の影響を測る手段はあります。Search Consoleでは生成AI関連のパフォーマンスレポートの提供対象が拡大しており、GA4ではAIアシスタント経由の流入をチャネルとして把握できるようになっています。

今のうちからAI経由の流入を記録しておけば、新レポートが使えるようになったときに、変化を比較する基準(ベンチマーク)ができます。計測環境の整備は、後回しにするほど損をする領域です。

具体的には、月に一度で構わないので、AI経由の流入数・流入先ページ・そこからの問い合わせや購入の件数を記録しておくことをおすすめします。数字の推移が見えるだけで、AI検索対策の投資判断は格段にしやすくなります。

よくある質問(FAQ)

よくある質問(吹き出しと電球を持つAIロボットのイラスト)

Q1. 日本ではいつから使えますか?

日本での提供時期は、現時点で発表されていません。公表されているのは、米国でのパイロット提供と、今後数か月でのオーストラリア・カナダ・インド・ニュージーランドへの拡大予定までです。

日本のアカウントでは、まずSearch ConsoleのAI関連レポートやGA4での計測を整えつつ、商品フィードの改善を進めておくのが現実的な対応です。

Q2. ショッピング広告の成果も確認できますか?

現時点では確認できません。レポートの対象は無料リスティングなどオーガニックのAIトラフィックに限定されており、広告経由のデータは含まれないとGoogleは明記しています。

広告の成果は、これまでどおりGoogle広告の管理画面で確認する形になります。AI面への広告配信の分析機能は、今後の拡充に期待しましょう。

Q3. 利用に追加費用はかかりますか?

Merchant Center自体は無料で利用でき、AIパフォーマンス分析についても、パイロット段階で追加費用の案内はありません。対象アカウントであれば、分析タブから自動的に利用できる形です。

Q4. シェアオブボイスが0%や100%と表示されるのはなぜですか?

インプレッションが十分にない場合、シェアオブボイスは0と表示される仕様です。また、アカウントに競合データが定義されていない場合は100%と表示され、これは「比較できる競合がいない」ことを意味します。

いずれも異常値ではなく仕様上の表示なので、数字だけを見て一喜一憂しないようにしましょう。競合セットはMerchant Center側で自動定義され、ユーザーが変更することはできません。

Q5. これまでのSEOやAI検索対策と何が変わりますか?

取り組みの本質は変わりません。正確で充実した商品情報、構造化データ、ユーザーの言葉に寄り添ったコンテンツというSEOの基本が、AI検索でもそのまま評価の土台になります。

変わるのは「成果の測り方」です。順位やクリックだけでなく、AIの回答内での存在感(シェアオブボイス)という新しいものさしが加わった、と捉えるのが適切です。

まとめ

まとめ(旗の立った山とチェックマークのイラスト)

Google Merchant Centerの「AIパフォーマンス分析」は、AIモードとAI Overviewsでの商品露出をGoogle公式データで可視化する、EC事業者にとって待望のレポートです。シェアオブボイスによる競合比較、クエリ頻度・クエリタイプによる需要分析、発見・評価・購入の3フェーズ診断が主な機能です。

現在は米国の一部アカウント限定のパイロットで、日本での提供は未定です。しかし、レポートが示す方向性、つまり「会話の言葉に合わせた商品情報の整備」と「属性データの充実」は、日本のEC事業者が今日から取り組める施策にほかなりません。

AI検索の計測環境は、Search Console、GA4、そしてMerchant Centerへと着実に広がっています。ツールが揃うのを待つのではなく、今できる準備を積み重ねることが、AI検索時代の競争力につながります。

とくに中小規模のECでは、大手より早く商品情報の質を高められる身軽さが武器になります。会話型検索への対応は、規模ではなく丁寧さで差がつく領域だからこそ、早めの一歩が価値を持ちます。

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