Googleやその他の検索エンジンで企業名や個人名を検索した際に表示されるネガティブなサジェストは、ブランドイメージに大きな影響を与えることがあります。サジェスト汚染と呼ばれるこの問題は、多くの企業や個人にとって深刻な課題となっています。
そこで本記事では、サジェスト削除の基礎知識から具体的な削除方法、再表示を防ぐための対策まで、Google・Yahoo・Bingなど主要検索エンジンのサジェスト対策について詳しく解説します。企業担当者や個人の方でも実践できる手順を画像付きで紹介し、ネガティブなサジェストに悩む方々の問題解決をサポートします。
記事執筆:認定SEOコンサルタント 三田健司
サジェスト削除の基本知識
サジェスト削除について理解するためには、まずサジェストの仕組みや、なぜネガティブなワードが表示されるのかという基本を押さえておく必要があります。検索エンジンの機能としてのサジェストの役割と、削除が必要になるケースについて見ていきましょう。
サジェストとは何か
サジェスト(オートコンプリート機能)とは、検索エンジンの検索窓にキーワードを入力し始めると、自動的に表示される検索候補のことです。Googleでは「Googleサジェスト」、Yahoo!では「Yahoo!サジェスト」と呼ばれています。

この機能は、ユーザーが検索しようとしているキーワードを予測し、入力の手間を省くために開発されました。例えば、「東京 観」と入力すると「東京 観光」「東京 観光おすすめ」などの候補が表示されます。ユーザーはこれらの候補をクリックするだけで、検索を完了できるため、利便性が高い機能です。
サジェストの仕組みと役割
検索エンジンのサジェストは、以下の要素に基づいて表示されます:
- 検索ボリューム – 多くのユーザーが検索しているキーワードが優先的に表示されます
- トレンド性 – 最近急上昇している検索キーワードが反映されます
- 地域情報 – ユーザーの位置情報に基づいた候補が表示されることがあります
- 過去の検索履歴 – ユーザー自身の検索履歴も候補に影響します
- アルゴリズム – 検索エンジン独自の表示アルゴリズムにより調整されます
サジェスト機能は単なる利便性だけでなく、ユーザーにとって重要な情報源となっています。潜在的なニーズの発見や、検索キーワードのヒントを得る役割も果たしており、SEO対策においても重要な要素として注目されています。
サジェスト汚染とは
サジェスト汚染とは、企業名や個人名で検索した際に、「詐欺」「倒産」「悪評」などのネガティブなキーワードがサジェストに表示される現象です。これらのネガティブキーワードは、必ずしも事実を反映しているわけではなく、誹謗中傷や風評被害に基づくものも少なくありません。
サジェスト汚染が発生する主な原因は:
- 多くのユーザーが実際にそのキーワードで検索している場合
- 特定の悪意を持った第三者による意図的な操作
- SNSや掲示板などでの話題の拡散
- ニュース記事などの影響による一時的な検索の増加
こうしたサジェスト汚染は、企業の信頼性や個人の評判を大きく損なう可能性があるため、適切な対応が必要です。
サジェスト削除の手法
サジェストの削除方法は、検索エンジンによって異なります。ここでは主要な検索エンジンごとの削除方法について解説します。いずれの方法も、まずは削除したいサジェストが表示される検索キーワードを確認し、適切な申請手続きを行うことが基本となります。
Googleサジェスト削除の方法
Googleのサジェスト削除には、主に以下の2つの方法があります:
1. Googleヘルプからの削除申請フォーム
より正式な申請として、Googleのヘルプページから削除申請を行う方法があります:
- GoogleのLeaglヘルプの「法的削除に関連する問題を報告する」ページにアクセス
- フォームに必要事項を入力
- 申立人の情報(居住国、姓名、メールアドレス)
- コンテンツを見つけるのに使用した検索キーワード
- 削除を希望するサジェストキーワード
- 削除を希望する理由(法的根拠など)
- 証拠となる資料(スクリーンショット)
この方法は、法的な観点から削除理由を明確に説明できる場合に効果的です。
2. 法的削除依頼
より確実にサジェスト削除を行うためには、法的手続きを踏んだ削除依頼が効果的です:
- 弁護士に相談し、法的見解を得る
- 名誉毀損や権利侵害などの法的根拠を明確にする
- 弁護士名義での削除依頼を行う
法的根拠に基づいた削除依頼は、Googleが対応する可能性が高まります。特に人権侵害や名誉毀損が明確な場合は、削除される可能性が高いでしょう。
Yahoo!サジェスト削除の申請手順
Yahoo!のサジェスト削除は、以下の手順で行います:
- Yahoo! JAPANにログイン(アカウントがない場合は新規作成)
- Yahoo!検索の「報告フォーム」にアクセス
- フォームに必要事項を入力
- 検索結果のURL
- 削除希望のサジェストキーワード
- 関連検索ワードの掲出が不適切な理由(該当する理由にチェックを入れる)
- 「個人情報を入力していないことをご確認ください」にチェックを入れる
- 「次へ」ボタンをクリック
- 内容を確認して、「送信」ボタンをクリック
Yahoo!の場合も、法的根拠がある場合は削除される可能性が高くなります。例えば、事実と異なる内容や名誉毀損など、権利侵害が明確な場合は対応してもらいやすいでしょう。
その他の検索エンジンのサジェスト削除方法
Bing(Microsoft)のサジェスト削除も同様のプロセスで行うことができます:
- 「Bing に関する問題を報告」にアクセス
- 問題点について教えてください→「その他」にチェック
- 問題点について教えてください→「Bingが提供する関連検索または検索候補」にチェック
- 名前、メールアドレス、検索候補、その他の情報を入力
- 記入が完了したらCAPTCHAを入力する
- 送信する
このように、主要な検索エンジンはいずれも削除申請の仕組みを用意していますが、申請が通るためには適切な理由と証拠の提示が重要です。
削除申請を行う場合の注意点
サジェスト削除申請を行う際には、いくつかの重要なポイントがあります。申請が通るかどうかは、これらのポイントを押さえているかどうかに大きく左右されます。
削除希望の理由を明確にする
検索エンジン各社は、すべてのサジェスト削除依頼に応じるわけではありません。削除が認められるのは、主に以下のような理由がある場合です:
- 名誉毀損や誹謗中傷にあたる内容
- プライバシー侵害
- 個人情報の漏洩
- 著作権侵害
- 違法な活動に関連する内容
- ポルノや性的コンテンツに関連する未成年者に関する内容
申請時には、これらの理由のうちどれに該当するのかを明確に説明し、なぜ削除が必要なのかを具体的に記載することが重要です。曖昧な理由では削除されない可能性が高くなります。
必要な証拠を収集する
削除申請をする際は、該当するサジェストが表示される状況を示す証拠を準備することが効果的です:
- サジェストが表示される検索画面のスクリーンショット
- サジェストに関連する誤った情報が掲載されているウェブページのURL
- サジェストが事実と異なることを示す客観的な証拠(公的文書など)
- 法的根拠となる関連法令の条文や判例
これらの証拠を整理して申請することで、検索エンジン側の判断材料となり、削除される可能性が高まります。
申請後の対応と再申請について
サジェスト削除の申請後、すぐに結果が出るとは限りません。検索エンジン側の審査には時間がかかる場合があります。また、最初の申請で削除されないケースも少なくありません。
申請が却下された場合の対応:
- 却下理由を確認し、申請内容を見直す
- より具体的な証拠や法的根拠を追加して再申請する
- 弁護士などの専門家に相談し、より効果的な申請方法を検討する
粘り強く対応することで、最終的に削除される可能性が高まります。
削除申請が通らない場合の対策
サジェスト削除申請が通らない場合でも、いくつかの対策方法があります。これらの方法を組み合わせることで、ネガティブなサジェストの影響を最小限に抑えることができます。
再申請のタイミングを考える
初回の申請が却下された場合、いつ再申請するかも重要なポイントです:
- 却下から1週間程度経過した後に再申請する
- 新たな証拠や根拠を追加する
- 申請内容を修正・改善して再提出する
同じ内容で何度も申請すると、スパム行為と見なされる可能性があるため注意が必要です。
弁護士によるサポートの活用
法的な観点からの対応が必要な場合は、弁護士のサポートを受けることが効果的です:
- インターネット関連の法律に詳しい弁護士に相談する
- 法的根拠に基づいた削除依頼文書を作成してもらう
- 弁護士名義で申請を行う
弁護士が介入することで、検索エンジン側も法的リスクを考慮して対応する可能性が高まります。
専門業者への依頼
サジェスト削除を専門に行っている業者に依頼するという選択肢もあります:
- 実績と評判のある業者を選定する
- 具体的な成功事例を確認する
- 料金体系と保証内容を確認する
専門業者は独自のノウハウを持っており、個人では難しい対応も可能な場合があります。ただし、業者選びには慎重さが必要で、過剰な成功率や不自然に安い価格を謳う業者には注意が必要です。
個人で行うサジェスト非表示設定
検索エンジンへの削除申請とは別に、個人のデバイスでサジェストを非表示にする設定方法もあります。これらの方法は、自分自身の環境でサジェストを見なくて済むようにするためのものです。
ブラウザ設定で非表示にする方法
Google Chromeでのサジェスト非表示設定:
- Chromeを開き、右上の三点メニューをクリック
- 「設定」を選択
- 「プライバシーとセキュリティ」→「Cookie と他のサイトデータ」を選択
- 「アドレスバーでの予測サービスの使用」をオフにする
Firefoxでのサジェスト非表示設定:
- Firefoxを開き、右上のメニューボタンをクリック
- 「設定」を選択
- 「プライバシーとセキュリティ」を選択
- 「アドレスバーでの提案」の設定を変更
これらの設定により、自分のブラウザではサジェストが表示されなくなりますが、他のユーザーの環境では引き続き表示される点に注意が必要です。
スマホでの非表示設定手順
iPhoneでのサジェスト非表示設定:
- 「設定」アプリを開く
- 「Safari」を選択
- 「検索エンジンのサジェスト」をオフにする
Androidでのサジェスト非表示設定(Chromeの場合):
- Chromeアプリを開く
- 右上の三点メニューをタップ
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」を選択
- 「検索と URL の入力候補」をオフにする
これらの設定は個人的な対応であり、根本的な問題解決にはならない点に留意しましょう。
企業が取るべきサジェスト対策
企業にとってのサジェスト対策は、単なる削除申請だけでなく、総合的なブランド保護戦略の一環として考える必要があります。以下に効果的な対策をまとめました。
ブランド保護のために行うべき施策
企業が取るべきサジェスト対策として、以下の施策が効果的です:
- 定期的なサジェストモニタリング
- 自社名や商品名のサジェストを定期的にチェック
- 新たなネガティブワードの出現を早期に発見
- 積極的な情報発信
- 公式サイトやブログでの定期的な情報発信
- プレスリリースなどによる正確な情報の提供
- SNSでの積極的なコミュニケーション
- SEO対策の実施
- 自社に関するポジティブな内容のページを上位表示させる
- 自社名に関連するキーワードでの検索結果最適化
- ネガティブ情報への適切な対応
- クレームや批判には誠実かつ迅速に対応
- 事実と異なる情報には公式な訂正情報を発信
これらの施策を組み合わせることで、サジェスト汚染のリスクを低減することができます。
サジェストの健全化プロジェクトの実施
企業規模によっては、サジェスト健全化のための専門プロジェクトを立ち上げることも効果的です:
- 専門チームの編成
- マーケティング、広報、法務など各部門の連携
- 外部専門家の活用
- 定期的なモニタリングと分析
- サジェストの変化を追跡
- 競合他社との比較分析
- 危機管理計画の策定
- ネガティブサジェスト発生時の対応フロー
- 対外コミュニケーション方針の事前準備
- ブランドイメージ向上施策の実施
- CSR活動の強化
- ユーザーエンゲージメントの向上
こうした体系的なアプローチにより、長期的なブランド保護が可能になります。
サジェスト管理の利用メリット
サジェストを適切に管理することには、様々なメリットがあります。ネガティブサジェストの削除だけでなく、積極的な活用も考慮すべきポイントです。
SEO効果の向上
サジェスト管理はSEO効果の向上にも寄与します:
- キーワード戦略への活用
- サジェストから潜在的なキーワードを発見
- ユーザーの関心やニーズの把握
- コンテンツ戦略の最適化
- サジェストから得たキーワードに基づくコンテンツ作成
- ユーザーの検索意図に合わせたコンテンツの提供
- 競合分析への活用
- 競合他社名のサジェストから市場動向を把握
- 業界トレンドの発見
これらの活用により、より効果的なSEO戦略の立案が可能になります。
ユーザー信頼の再構築
ネガティブなサジェストを適切に管理することで、ユーザーからの信頼を回復・強化できます:
- ブランドイメージの向上
- ネガティブサジェストの削除によるイメージ改善
- ポジティブな情報発信によるブランド価値向上
- コンバージョン率の改善
- 最初の印象が良くなることによる購買意欲の向上
- 信頼性向上による顧客獲得の増加
- 長期的な顧客関係の構築
- 透明性のある情報提供による信頼関係の強化
- ロイヤルカスタマーの育成
サジェスト管理は、企業と顧客の関係構築において重要な役割を果たします。
成功事例と今後の展望
サジェスト削除に成功した事例を分析し、今後のサジェスト機能の進化について考察します。
削除成功事例の分析
実際にサジェスト削除に成功した事例から学ぶべきポイント:
業種 | 問題となったサジェスト | 対応方法 | 結果 |
---|---|---|---|
飲食チェーン | 「[企業名] 食中毒」 | 法的根拠(事実と異なる情報)を示し、弁護士経由で申請 | 2週間で削除成功 |
IT企業 | 「[企業名] 倒産」 | 直近の決算情報など事実を証明する資料を添えて申請 | 1ヶ月で削除成功 |
医療機関 | 「[病院名] 事故」 | 第三者機関の調査結果を添えて申請 | 3週間で削除成功 |
成功事例に共通するのは、明確な事実関係と法的根拠の提示、専門家の介入などが効果的だったという点です。
今後のサジェスト機能の進化
検索エンジンのサジェスト機能は日々進化しており、今後は以下のような変化が予想されます:
- AIによる精度向上
- より洗練されたアルゴリズムによる適切なサジェスト提示
- 不適切なサジェストの自動フィルタリング強化
- パーソナライゼーションの進化
- ユーザー個人の検索履歴や嗜好に合わせた候補表示
- 地域や時間帯に応じた最適化
- マルチモーダル検索への対応
- 音声検索やビジュアル検索におけるサジェスト機能の拡充
- 様々なデバイスでの一貫した体験提供
- プライバシー保護の強化
- よりセンシティブな情報に対する配慮
- ユーザーによるカスタマイズ機能の拡充
こうした進化に伴い、サジェスト管理の手法も変化していくことが予想されます。
よくある質問
サジェスト削除に関するよくある質問とその回答をまとめました。
サジェスト削除の申請にかかる時間は?
サジェスト削除申請から実際に削除されるまでの時間は、ケースによって大きく異なります:
- 一般的な申請:1週間〜1ヶ月程度
- 法的根拠が明確な場合:数日〜2週間程度
- 複雑なケース:1ヶ月以上かかる場合も
検索エンジンの更新タイミングにも影響されるため、即時の対応は期待できません。申請後も定期的にモニタリングを行い、状況を確認することが重要です。
サジェスト削除後の再表示を防ぐ方法は?
サジェスト削除に成功しても、時間が経過すると再び表示されるケースがあります。再表示を防ぐための方法としては:
- 根本原因への対処
- 関連するネガティブコンテンツの削除依頼
- 正確な情報の積極的な発信
- 継続的なモニタリング
- 定期的なサジェストのチェック
- 再発時の迅速な対応
- ポジティブ情報の強化
- 自社関連のポジティブキーワードでの検索促進
- SNSなどでの積極的な情報発信
- 専門業者による継続的なサポート
- 長期的な契約による監視と対応
- 予防的な対策の実施
これらの施策を組み合わせることで、再表示のリスクを低減することができます。
まとめ
サジェスト削除は、企業や個人のオンラインでの評判管理において重要な対策の一つです。本記事で解説したポイントをまとめると:
- サジェストの仕組みと役割を理解する
- サジェスト汚染の影響と原因を把握する
- 各検索エンジンの削除申請方法を知る
- 削除申請時の注意点を押さえる
- 申請が通らない場合の代替策を準備する
- 個人レベルでの非表示設定を活用する
- 企業としての総合的なサジェスト対策を講じる
- サジェスト管理のメリットを最大化する
サジェスト削除は一時的な対応ではなく、継続的な対策が重要です。専門家のサポートを受けながら、自社や自分自身の評判を守るための戦略的なアプローチを心がけましょう。
ネガティブなサジェストで悩んでいる方は、本記事を参考に適切な対策を講じることで、オンライン上のイメージ改善につなげていただければ幸いです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、具体的な法的アドバイスではありません。個別のケースについては、専門家への相談をお勧めします。
弊社では、サジェスト削除の施策をご提供しております。完全報酬型で安心してご依頼いただけますので、ネガティブなサジェストでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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