Googleの検索エンジンは常に進化を続けており、ユーザーに価値ある情報を提供するために様々な評価基準を設けています。その中でも特に重要な指標として知られているのが「E-E-A-T」です。E-E-A-Tは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取った言葉で、Googleがウェブサイトやコンテンツの質を判断する際の重要な評価基準となっています。
そこで本記事では、SEOに携わる方やウェブサイト運営者の方に向けて、E-E-A-Tの概念から具体的な対策方法まで詳しく解説します。E-E-A-Tを理解し実践することで、Googleからの評価を高め、検索結果での順位向上につなげることができるでしょう。
記事執筆:認定SEOコンサルタント 三田健司
E-E-A-Tとは?その定義と重要性
E-E-A-Tとは、GoogleのSEO評価基準として重要視されている4つの要素を表す言葉です。かつては「E-A-T」と呼ばれていましたが、2022年12月のGoogleの品質評価ガイドラインのアップデートにより、「経験(Experience)」という要素が追加され、「E-E-A-T」となりました。
Googleが公式に発表している「検索品質評価ガイドライン」では、E-E-A-Tについて言及されており、特に「YMYL(Your Money or Your Life)」と呼ばれる、ユーザーの生活や財産に影響を与える可能性のあるトピックにおいて重要視されています。これは、不正確または誤解を招く情報がユーザーの健康や財政に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
参照:品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加
E-E-A-Tの基本概念
E-E-A-Tの各要素は以下の通りです:
- Experience(経験) – 実際の体験や経験に基づく情報提供
- Expertise(専門性) – 特定分野における専門知識や技術
- Authoritativeness(権威性) – 業界内での認知度や影響力
- Trustworthiness(信頼性) – 情報の正確さや安全性、誠実さ
Googleはこれらの要素を総合的に評価し、ユーザーにとって価値のある高品質なコンテンツを提供しているサイトを検索結果で上位表示する傾向があります。
E-E-A-TがSEOに与える影響
E-E-A-TはGoogleのコアアルゴリズムの一部ではありませんが、Googleの品質評価者(Quality Raters)がウェブサイトを評価する際の重要な指標となっています。品質評価者の評価結果は直接ランキングには影響しませんが、アルゴリズムの改善やアップデートの効果測定に使用されるため、間接的にSEOに大きな影響を与えます。
Googleの検索エンジン担当者であるDanny Sullivan氏は、「E-E-A-Tは検索評価システムの指標の一つであり、検索結果の質を向上させるためのガイドラインとして活用されている」と述べています。つまり、E-E-A-Tは直接的なランキング要因ではなく、高品質なコンテンツを評価するための概念的なフレームワークだと考えられます。
特に「YMYL(Your Money or Your Life)」と呼ばれる、ユーザーの健康や金融、安全に関わる重要なトピックを扱うサイトでは、E-E-A-Tの重要性が一層高まります。医療情報、法律アドバイス、金融商品の紹介などを提供するサイトは、特に高いE-E-A-T評価が求められるのです。
サイトの種類 | E-E-A-Tの影響度 | 重要性 |
---|---|---|
医療・健康サイト | 非常に高い | ユーザーの健康や生命に直結するため |
金融・投資サイト | 非常に高い | ユーザーの資産に直結するため |
法律・相談サイト | 高い | 重要な決断や権利に関わるため |
ニュース・時事サイト | 高い | 社会的影響力が大きいため |
一般的な情報サイト | 中程度 | 基本的な信頼性は必要だが、影響度は低め |
趣味・エンターテイメントサイト | 低~中程度 | ユーザーへの影響が限定的なため |
創作・フィクションサイト | 低い | 事実性よりも創造性が重視されるため |
E-A-TからE-E-A-Tへの進化
E-E-A-Tは、ユーザーにとって実際の経験に基づく情報がより価値があるという認識の高まりを反映しています。たとえば、製品レビューでは、実際にその製品を使用した人の経験談の方が、単に製品仕様を列挙しただけの情報よりも価値があるとGoogleは考えています。
Googleによると、この「経験(Experience)」の追加は、特に実生活での体験が重要な分野(旅行、製品レビュー、健康関連の体験談など)において、より適切なコンテンツを評価するための改善です。
E-E-A-Tの構成要素を詳しく解説
E-E-A-Tの各要素について、さらに詳しく見ていきましょう。それぞれの要素が何を意味し、なぜ重要なのかを理解することで、効果的な対策を講じることができます。
経験(Experience)の重要性
「経験」は、コンテンツ作成者の実際の体験や経験に基づく情報の質を評価するものです。具体的には以下のような点が重視されます:
- 実体験に基づく情報提供
- 第一人称での記述や体験談
- 実際に製品やサービスを使用した上での評価やレビュー
- 現場での実務経験に基づく専門的なアドバイス
- 「やってみた」系の実践レポート
Googleの品質評価ガイドラインでは、「一部のトピックについては、最も信頼できる情報源は、実際にトピックを体験した人々の経験である」と明記されています。これは特に以下のようなケースで顕著です:
- 製品・サービスのレビュー:実際に使用した経験がなければ、正確で有用なレビューを書くことは難しい
- 旅行ガイド:実際にその場所を訪れた人のアドバイスは、単なる観光情報よりも価値がある
- 健康・疾患関連:特定の病気や治療法を経験した患者の体験談は、同じ状況の人々にとって参考になる
- DIYやハウツー記事:実際に手順を試した人のアドバイスは、理論だけの解説よりも信頼性が高い
「経験」要素が高く評価されるコンテンツの例としては、以下のようなものが挙げられます:
- 「私が実際に試した10種類のタンパク質パウダーの比較レビュー」
- 「慢性腰痛と共に生きる:私の10年間の経験と対処法」
- 「未経験からWebデザイナーになるまでの道のり:現役デザイナーの体験談」
- 「40代からのマラソン挑戦:ゼロからフルマラソン完走までの1年間」
専門性(Expertise)とは何か
「専門性」は、特定の分野における知識や技術の深さを示す要素です。専門性が高いコンテンツは、ユーザーに対して価値ある情報を提供できます。専門性を示す主な指標には以下があります:
- 関連する学歴や資格の保有
- 業界での実務経験の年数
- 特定分野に特化したコンテンツの提供
- 最新の研究やトレンドへの言及と適切な解説
- 複雑な概念を分かりやすく説明する能力
- 専門用語の適切な使用と初心者向けの補足説明
Googleの品質評価ガイドラインでは、専門性について「トピックに関する知識や技術を持っていること」と定義されており、トピックの性質によって必要とされる専門性のレベルは異なるとしています。
例えば、医療情報の場合、医学の学位や関連資格を持つ専門家による作成または監修が理想的です。一方、趣味や日常生活のアドバイスについては、実践経験や熱心な研究によって「日常的な専門性(everyday expertise)」を持つ人による情報も価値があるとされています。
専門性を示すためのアプローチは、サイトのジャンルによって異なります:
サイトのジャンル | 専門性を示すための効果的なアプローチ |
---|---|
医療・健康系 | 医療資格の表示、専門医による監修、学術論文の引用 |
金融・投資系 | 資格(FP、証券アナリストなど)の表示、業界経験年数の明示 |
技術・IT系 | 開発実績、技術資格、具体的な開発手法の説明 |
料理・レシピ系 | 調理師資格、レストラン経験、料理教室運営経験 |
旅行・観光系 | 訪問回数、現地在住経験、旅行業界での経験 |
DIY・ハウツー系 | 実際の製作例、専門職経験、ステップバイステップのプロセス説明 |
専門性は単なる資格や肩書きだけでなく、コンテンツの質や深さにも表れます。表面的な情報の寄せ集めではなく、深い洞察やニッチな知識を含むコンテンツは、専門性の高さを示すことができます。
権威性(Authoritativeness)の役割
「権威性」は、そのサイトや著者が業界内でどれだけ認知され、信頼されているかを示す要素です。権威性の高いサイトや著者は、業界のスタンダードを設定したり、他者から参照されたりする存在です。権威性を示す主な指標には以下があります:
- 外部サイトからの質の高い被リンク
- 業界メディアでの引用や言及
- SNSなどでの高いフォロワー数や影響力
- 業界団体からの認定や受賞歴
- 学術論文や書籍の出版実績
- 業界カンファレンスでの講演機会
- 有力メディアへの寄稿
Googleの品質評価ガイドラインでは、権威性について「ページ、コンテンツ作成者、Webサイト自体が権威として広く認識されている」かどうかを評価するとしています。
権威性はトピックごとに異なり、ある分野でのトップ専門家が別の分野では権威を持たないことも多いため、コンテンツのトピックと著者・サイトの専門分野の一致が重要です。例えば、心臓専門医が心臓病について書いた記事は高い権威性を持ちますが、同じ医師が投資戦略について書いた記事は必ずしも権威性が高いとは言えません。
権威性の構築は長期的な取り組みが必要で、以下のような段階的なアプローチが効果的です:
- 初期段階:業界コミュニティへの参加、専門知識の共有
- 発展段階:独自の視点や分析の発信、業界イベントでの発表
- 確立段階:業界メディアでの引用、インタビュー対応、専門書の出版
- リーダー段階:業界標準の策定への関与、メンターとしての活動
権威性は絶対的なものではなく、時間とともに変化することにも注意が必要です。常に最新の知識をアップデートし、業界の変化に対応し続けることが、長期的な権威性の維持には不可欠です。
信頼性(Trustworthiness)の確保
「信頼性」は、サイトやコンテンツが正確で安全、誠実であるかを示す要素です。信頼性の高いサイトは、ユーザーに嘘や誤解を与えることなく、透明性を持って情報を提供します。信頼性を示す主な指標には以下があります:
- 正確で最新の情報提供
- 情報源の明示や適切な引用
- 透明性のある運営者情報の開示
- セキュリティ対策(SSL証明書の導入など)
- プライバシーポリシーやお問い合わせ情報の明示
- 定期的なコンテンツの更新や修正
- 広告コンテンツと編集コンテンツの明確な区別
- 利益相反の可能性がある場合の開示
- クレジットカード情報などの個人情報の適切な保護
Googleの品質評価ガイドラインでは、信頼性について「ページ、コンテンツ作成者、Webサイト自体の信頼性」を評価するとしており、特に「情報の正確性」「透明性」「詐欺的でないこと」を重視しています。
信頼性の評価は、コンテンツの性質によって異なります:
コンテンツの種類 | 信頼性を高めるための要素 |
---|---|
ニュース記事 | 事実確認、複数の情報源からの検証、公平な報道 |
医療情報 | 学術論文や公的機関の情報の引用、医療専門家による監修 |
製品レビュー | 実際の使用体験、メリット・デメリットのバランスの取れた説明 |
チュートリアル | 明確で再現可能な手順、潜在的なリスクや注意点の明示 |
ショッピングサイト | 明確な返品ポリシー、セキュアな決済システム、詳細な商品説明 |
企業サイト | 透明な会社情報、明確な連絡先、プライバシーポリシー |
特にYMYL分野では、情報の正確さや誤解を与えないことが極めて重要です。間違った医療情報や金融アドバイスは、ユーザーに深刻な害を与える可能性があるため、「信頼性」は厳しく評価されます。
信頼性を損なう要素としては、過度に誇張された主張、根拠のない意見の事実としての提示、不透明な広告表示、情報源の欠如などが挙げられます。特にこれらの要素がYMYL分野のコンテンツに見られる場合、Googleから厳しく評価される可能性が高いです。
E-E-A-Tを高めるための具体的な施策
ここからは、E-E-A-Tの各要素を高めるための具体的な施策について解説します。これらの施策を実践することで、Googleからの評価を向上させ、検索順位の改善につなげることができるでしょう。
経験を示すための方法
経験を示すための効果的な方法には以下があります:
- 実体験に基づくコンテンツの作成
- 実際に体験したことを基にした記事を書く
- 第一人称視点での体験談を積極的に盛り込む
- Before/Afterの変化や成果を具体的に示す
- 実際の作業工程や使用シーンの写真を掲載
- 事例やケーススタディの紹介
- 実際のプロジェクト事例を詳細に解説
- 成功事例だけでなく、失敗から学んだことも共有
- データや数字を用いて具体的な成果を示す
- 時系列に沿った変化のプロセスを説明
- ユーザーの声や体験談の掲載
- お客様インタビューを記事化
- 利用者からの声を収集して掲載
- ユーザーレビューを取得して表示
- SNSでの顧客の投稿を(許可を得て)引用
- 実務経験の明示
- 著者のプロフィールに実務経験年数を記載
- 具体的なプロジェクト実績を紹介
- 業界特有の裏話や知見を共有
- 「現場からの視点」を強調したコンテンツ作成
- 実験や検証の実施と報告
- 自ら実験や検証を行い、その過程と結果を報告
- 複数の方法や製品を比較した独自の検証結果を共有
- ステップバイステップの実行過程と結果を記録
- 長期間にわたる経過観察や変化を記録
経験を示すコンテンツは、具体的で詳細な説明が重要です。「良かった」「効果があった」といった抽象的な表現ではなく、「3週間で10kgの減量に成功した」「1ヶ月で検索順位が15位から3位に上昇した」など、具体的な数値や変化を示すことで説得力が増します。
また、経験に基づくコンテンツには、時間的要素も重要です。「10年間にわたる試行錯誤」「5年間で100件以上の案件を担当」など、経験の期間や量を示すことで、その深さや信頼性を伝えることができます。
専門性を強化するためのアプローチ
専門性を高めるための効果的なアプローチには以下があります:
- 専門家による監修体制の構築
- 分野の専門家による記事の監修
- 監修者のプロフィールや資格を明示
- 専門家のコメントを記事内に取り入れる
- 「医師監修」「弁護士監修」などのバッジを表示
- 専門知識を体系的に提供
- 特定のジャンルやトピックに特化したコンテンツ作成
- 初心者から上級者まで段階的に学べる構成
- 専門用語の解説や用語集の提供
- 体系的なナレッジベースやリソースセンターの構築
- 最新情報や研究結果の取り入れ
- 業界の最新トレンドを取り入れた記事作成
- 学術論文や研究結果の引用と解説
- セミナーやカンファレンスの情報の共有
- 最新の統計データやレポートの分析
- 資格や専門教育の活用
- 執筆者や運営者の保有資格を明示
- 専門教育や研修の受講歴をアピール
- 専門団体への所属を明記
- 継続的な学習や最新知識の習得を示す
- 独自の分析や調査の実施
- 業界動向の独自調査レポートの作成
- データ分析に基づく洞察の提供
- 専門的観点からの問題分析と解決策の提示
- オリジナルの調査方法や分析フレームワークの開発
専門性の高いコンテンツには、深い洞察と精度の高い情報が不可欠です。表面的な一般情報ではなく、業界内の専門家しか知らないような詳細な知識や、複雑な概念の分かりやすい解説を提供することが重要です。
また、専門性の示し方は、ターゲットオーディエンスによって調整する必要があります。専門家向けのコンテンツであれば専門用語をそのまま使用しても問題ありませんが、一般向けのコンテンツでは専門用語の解説や分かりやすい言い換えを行うことで、専門知識を持ちながらも伝える能力があることを示せます。
権威性を高めるための戦略
権威性を向上させるための効果的な戦略には以下があります:
- 質の高い外部リンクの獲得
- 業界メディアへの寄稿や取材対応
- 有益なコンテンツの作成による自然な被リンク獲得
- 関連ブログやメディアとの関係構築
- 他のサイトから引用されやすい独自調査やデータの公開
- サイテーションの増加
- Google ビジネスプロフィールの最適化
- 業界ディレクトリへの登録
- SNSプロフィールの充実と統一
- オンライン上での一貫したブランディング
- メディア露出の拡大
- プレスリリースの配信
- インタビュー記事への出演
- 業界イベントでの登壇や発表
- ポッドキャストやウェビナーへの出演
- SNSでの影響力拡大
- 専門的な情報発信の継続
- エンゲージメントを高めるコンテンツ作成
- 業界のインフルエンサーとの交流
- ハッシュタグやキーワードを活用した戦略的な投稿
- 第三者からの認証や評価
- 業界団体からの認定取得
- 第三者評価サイトでの高評価獲得
- 権威ある賞やアワードへの応募と受賞
- 公的機関やNPOとのパートナーシップ
権威性の構築には時間がかかりますが、段階的に行うことで効果的に進めることができます。まずは特定のニッチな領域で専門性を発揮し、徐々に影響力を拡大していくアプローチが有効です。
また、権威性は単に有名になることとは異なります。特定の分野における信頼できる情報源としての地位を確立することが重要です。そのためには、一貫した質の高い情報提供と、業界内での積極的な活動が必要となります。
信頼性を向上させるための手法
信頼性を高めるための効果的な手法には以下があります:
- サイトのセキュリティ強化
- SSL証明書の導入(https化)
- セキュリティ対策の実施と明示
- プライバシーポリシーの明確化
- 個人情報の適切な取り扱いと保護
- コンテンツの正確性向上
- 情報源の明示と適切な引用
- 定期的なコンテンツの更新
- 誤情報の修正と更新日の明示
- ファクトチェックの実施と結果の共有
- 運営の透明性確保
- 会社情報や運営者情報の明示
- お問い合わせ方法の明確化
- サイトマップや利用規約の整備
- 免責事項や利益相反の開示
- ユーザーからの信頼獲得
- レビューや評価の表示
- 質問への迅速な回答
- カスタマーサポートの充実
- ユーザーフィードバックの反映
- 技術的信頼性の確保
- ウェブサイトの高速化
- モバイルフレンドリーな設計
- 破損リンクやエラーの定期的なチェックと修正
- アクセシビリティの向上
YMYL(Your Money or Your Life)分野のサイトでは、特に以下の点に注意を払うことが重要です:
- 医療情報には必ず専門家の監修を入れ、情報源を明記する
- 金融アドバイスには免責事項や個人差についての注意書きを追加する
- 製品レビューやアフィリエイトリンクには利益関係を明示する
- 科学的主張には学術論文や研究結果への引用を含める
- 個人的意見と事実情報を明確に区別する
信頼性は、一度失われると回復が非常に難しいため、常に高い水準を維持することが重要です。特に問題が発生した場合は、隠蔽するのではなく、透明性を持って対応し、改善策を明示することで、むしろ信頼性を高める機会とすることができます。
YMYLコンテンツとE-E-A-Tの関係
YMYL(Your Money or Your Life)は、ユーザーの生活や財産に大きな影響を与える可能性のあるトピックを指します。このようなコンテンツでは、E-E-A-Tの基準がより厳格に適用されます。
YMYLとは何か?
YMYLとは、「Your Money or Your Life(あなたのお金または生活)」の略で、以下のようなカテゴリが含まれます:
- 健康・医療情報
- 病気や症状に関する情報
- 薬や治療法の説明
- 栄養や健康的な生活に関するアドバイス
- メンタルヘルスに関する情報
- 金融・投資アドバイス
- 投資戦略や金融商品の情報
- 保険や退職計画に関するアドバイス
- 税金対策や相続に関する情報
- ローンや住宅購入に関するガイド
- 法律・税金関連の情報
- 法的権利や義務に関する情報
- 契約や法的手続きに関するアドバイス
- 税金申告や税法に関する説明
- 移民や市民権に関する情報
- ニュースや時事問題
- 政治や社会問題に関する報道
- 経済ニュースや市場分析
- 公共の安全や健康危機に関する情報
- 選挙や投票に関する情報
- 安全に関わる情報
- 災害対策や緊急時の対応
- 製品の安全性や回収情報
- 交通安全やパブリックセーフティに関するアドバイス
- サイバーセキュリティや個人情報保護に関する情報
- 住宅や不動産の取引
- 住宅購入や売却に関するアドバイス
- 不動産投資や賃貸に関する情報
- 住宅ローンや融資に関するガイド
- 建築や改修に関する安全情報
- 教育や就職に関する情報
- 教育機関の選択や奨学金に関する情報
- キャリアアドバイスや就職支援
- 専門資格や認定に関する情報
- オンライン教育や遠隔学習に関するガイド
これらの分野は、間違った情報がユーザーの生活や財産に深刻な影響を与える可能性があるため、Googleは特に高い品質基準を設けています。
YMYL分野 | 例 | E-E-A-Tの重要性 |
---|---|---|
健康・医療 | 病気の症状や治療法、薬の情報 | 非常に高い(医師などの専門家による監修が必須) |
金融・投資 | 投資アドバイス、保険の選び方 | 非常に高い(資格保有者の監修が推奨) |
法律・税金 | 法的アドバイス、確定申告の方法 | 非常に高い(弁護士、税理士などの監修が推奨) |
ニュース | 社会問題、政治、国際情勢 | 高い(報道機関としての信頼性が重要) |
安全関連 | 災害対策、セキュリティ情報 | 高い(正確で最新の情報提供が必須) |
住宅・不動産 | 購入アドバイス、ローン情報 | 高い(専門知識と透明性が重要) |
教育・就職 | 学校選び、キャリアアドバイス | 中~高(具体的な経験に基づく情報が有用) |
YMYLコンテンツにおけるE-E-A-Tの重要性
YMYLトピックを扱う場合、以下の点に特に注意する必要があります:
- 専門家の関与
- 医療情報は医師、金融情報はファイナンシャルプランナーなど、該当分野の資格を持つ専門家による監修や執筆
- 専門家の資格や経歴を明示
- 複数の専門家による確認プロセスの構築
- 分野ごとの専門家ネットワークの構築
- 情報の正確性と最新性
- 定期的な情報の更新
- 公的機関や研究機関などの信頼できる情報源からの引用
- 更新日の明示
- 古い情報に対する注意書きや更新状態の明示
- 複数の信頼できる情報源からの情報の検証
- 透明性の確保
- 利益相反の可能性がある場合の明示
- 広告コンテンツと編集コンテンツの明確な区別
- 情報の限界や免責事項の記載
- 運営者情報やスポンサーシップの開示
- 資金源や収益モデルの透明性
- ユーザーへの配慮
- 専門用語の分かりやすい説明
- 重要な選択を迫るような断定的な表現の回避
- 必要に応じて専門家への相談を促す注意書き
- 情報の限界や個人差についての説明
- 情報の文脈や適用範囲の明確化
YMYLコンテンツでは、E-E-A-Tの基準を満たすことが検索順位だけでなく、社会的責任の観点からも非常に重要です。ユーザーの健康や財政に影響を与える可能性のある情報を提供する際は、特に慎重なアプローチが求められます。
E-E-A-Tを意識したコンテンツ制作のポイント
E-E-A-Tを意識したコンテンツを作成するためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを実践することで、ユーザーとGoogleの両方から高く評価されるコンテンツを制作することができます。
ユーザーの信頼を得るためのコンテンツ作成
ユーザーの信頼を獲得するためのコンテンツ作成には、以下のポイントが重要です:
- 透明性の確保
- 運営者情報や著者情報の明示
- 情報源や引用元の明記
- 広告やアフィリエイトの明示
- コンテンツの作成日・更新日の表示
- 編集ポリシーやガイドラインの公開
- ユーザーファーストの姿勢
- ユーザーの悩みや疑問に直接答える内容
- 読みやすいレイアウトと構成
- 専門用語の適切な解説
- ユーザーのニーズに合わせたコンテンツ設計
- アクセシビリティへの配慮
- 情報の正確性とバランス
- 事実と意見の明確な区別
- 複数の視点からの情報提供
- 客観的なデータや統計の活用
- バイアスや主観的判断の明示
- 反対意見や代替案の公平な提示
- ユーザーエンゲージメントの促進
- コメント機能やフィードバックの仕組み
- ユーザーからの質問への迅速な回答
- 読者との対話を促す要素の導入
- ユーザー参加型のコンテンツ作成
- コミュニティ形成の支援
信頼性の高いコンテンツは、見た目だけでなく、そのプロセスや背景も重要です。例えば、医療情報サイトであれば、「このコンテンツは○○病院の△△医師(専門医)が監修し、毎年最新の研究結果に基づいて更新しています」といった情報を明示することで、ユーザーの信頼を獲得できます。
また、問題が発生した場合の対応も信頼性に大きく影響します。誤情報の訂正や更新履歴を透明に公開し、積極的にフィードバックを受け入れる姿勢を示すことで、「完璧ではないが誠実である」という信頼感を醸成できます。
質の高い情報を提供するための工夫
質の高い情報を提供するための工夫には、以下のポイントが挙げられます:
- コンテンツの網羅性
- トピックに関連する情報の包括的な提供
- 読者の疑問点を予測した内容構成
- 関連トピックへのリンク設置
- FAQセクションの充実
- 用語集や参考資料の提供
- 独自性と付加価値
- オリジナルの調査やデータ分析
- 実体験に基づく独自の知見
- 業界の裏話や実践的なコツの共有
- 独自の視点や分析フレームワークの提供
- 他では得られない情報や洞察の提供
- 視覚的な情報の充実
- データを分かりやすく示す図表やグラフ
- 概念を理解しやすくする図解
- 実際の使用例や結果を示す画像
- プロセスを説明するフローチャート
- 比較表やまとめ表による情報整理
- 構造化された情報設計
- 明確な見出しと階層構造
- 論理的な情報の流れとストーリー性
- スキャンしやすいレイアウト
- 強調表示やボックスによる重要情報の強調
- スキーママークアップなどの技術的構造化
- 実用性と行動可能性
- 具体的なアクションステップの提示
- 理論だけでなく実践方法の説明
- 成功事例や具体例の紹介
- 読者が即座に活用できるリソースやツールの提供
- フォローアップや更なる学習のためのガイド
質の高い情報提供は、単なる事実の羅列ではなく、その情報をユーザーがどう活用できるかまで考慮したコンテンツ設計が重要です。特にハウツーやガイド記事では、「なぜそれが重要か」「どのように実践するか」「どんな結果が期待できるか」といった、ユーザーの行動につながる情報を含めることが価値を高めます。
また、質の高いコンテンツは時間の経過とともに劣化しないよう、定期的な更新と改善が必要です。特に急速に変化する分野では、最新情報の反映が信頼性と価値を維持するために不可欠です。
E-E-A-Tに関するよくある質問
E-E-A-Tに関して、多くの方が疑問に思うポイントについて解説します。
E-E-A-Tはどのように評価されるのか?
E-E-A-Tは主にGoogleの品質評価者(Quality Raters)によって評価されます。彼らは「検索品質評価ガイドライン」に基づいてウェブページの品質を評価し、その結果はGoogleのアルゴリズム改善に活用されます。
E-E-A-Tの評価は単一の要素ではなく、以下のような様々な側面から総合的に判断されます:
- コンテンツの質と正確性
- 著者や運営者の専門性や経験
- サイト全体の信頼性と評判
- 外部からの評価や言及
- ユーザー体験の質
- コンテンツの網羅性と深さ
- 情報の最新性と関連性
- 独自の洞察や付加価値
重要なのは、E-E-A-T自体が直接的なランキング要因ではなく、品質を測るための概念的なフレームワークだということです。Googleの検索エンジン担当者は、「E-E-A-Tはアルゴリズムに直接組み込まれているわけではなく、品質の高いコンテンツがどのようなものかを示す概念的なフレームワーク」と説明しています。
しかし、E-E-A-Tの要素を強化することは、結果的にGoogleのアルゴリズムが評価する様々な要素(コンテンツの質、ユーザーエンゲージメント、リンクプロファイルなど)の改善につながります。つまり、E-E-A-Tは直接的なランキング要因ではないものの、間接的にSEOに大きな影響を与えると考えられます。
E-E-A-Tを高めるための具体的なアクションは?
E-E-A-Tを高めるための具体的なアクションには、以下のようなものがあります:
- 著者情報の充実
- 各記事に著者情報を明示
- 著者の経歴、専門性、実績を詳細に記載
- 著者の写真やSNSリンクを掲載
- 著者の保有資格や専門分野を明記
- 執筆者のプロフィールページの作成
- 運営者情報の透明化
- 会社概要やチーム情報の充実
- 連絡先や所在地の明示
- プライバシーポリシーや利用規約の整備
- 会社の沿革や理念の共有
- メディアポリシーや編集ガイドラインの公開
- コンテンツの品質向上
- 定期的な情報の更新
- 事実確認と出典の明示
- 専門家による監修体制の構築
- オリジナルデータや調査結果の提供
- 実体験に基づく情報の追加
- 技術的な信頼性の確保
- サイトのSSL化(https導入)
- サイト速度の最適化
- モバイルフレンドリーな設計
- コード品質の向上
- 構造化データの実装
- 外部からの評価獲得
- 質の高いコンテンツによる自然な被リンク獲得
- 業界関連サイトやディレクトリへの登録
- メディア掲載やPR活動の強化
- ゲスト投稿や寄稿による露出拡大
- 専門家コミュニティへの積極的な参加
- ユーザーエンゲージメントの向上
- コメント機能の導入とレスポンスの徹底
- ユーザーフィードバックの収集と反映
- コンテンツの継続的な改善
- ユーザーのニーズに応じたコンテンツ開発
- コミュニティ形成のサポート
- YMYL分野での特別な配慮
- 専門家の監修体制の強化
- 正確で最新の情報提供
- 情報源の明示と適切な引用
- 利益相反の可能性の開示
- 個人差や限界についての説明
これらのアクションは一度に全て実施する必要はなく、自社のリソースに合わせて優先順位を付けて段階的に取り組むのが効果的です。また、業種や扱うトピックによって重要度が異なるため、自社のコンテキストに合わせた戦略の策定が重要です。
特に、すでに高い専門性や実績がある分野では、それを効果的に示すことに注力し、不足している要素については、外部専門家との協力や継続的な学習を通じて段階的に強化していくアプローチが現実的です。
E-E-A-Tの測定と改善のためのKPI設定
E-E-A-Tは抽象的な概念のため、その改善を定量的に測定するのは難しい面があります。しかし、以下のようなKPI(重要業績評価指標)を設定することで、間接的にE-E-A-Tの改善を追跡することができます。
経験(Experience)の測定KPI
- ユーザー体験談や事例の掲載数
- 実体験に基づくコンテンツの割合
- ケーススタディや成功事例の数
- ユーザーレビューや体験談の数と質
- 「やってみた」系コンテンツのエンゲージメント率
専門性(Expertise)の測定KPI
- 専門資格や認定を持つ執筆者の割合
- 専門家による監修記事の割合
- 業界用語や専門知識の正確な使用率
- 専門的なトピックに関する深い記事の数
- 学術論文や研究結果の引用数
権威性(Authoritativeness)の測定KPI
- 質の高いサイトからの被リンク数
- メディア掲載や引用の回数
- ソーシャルメディアでの共有数とリーチ
- 業界イベントでの講演や登壇回数
- 業界内での評判調査の結果
信頼性(Trustworthiness)の測定KPI
- 更新日の表示と定期的な更新の割合
- 情報源や引用の明示率
- ユーザーフィードバックや評価スコア
- プライバシーポリシーやセキュリティ対策の実施状況
- 透明性関連の指標(運営者情報、連絡先の明示など)
E-E-A-T改善の総合的なKPI
- 検索順位の変動
- オーガニックトラフィックの増加率
- ページの滞在時間とバウンス率
- 再訪問率とリピーターの割合
- コンバージョン率とリード獲得率
これらのKPIを定期的に測定し、改善策を実施することで、E-E-A-Tの向上と検索パフォーマンスの改善を段階的に達成することができます。
まとめ:E-E-A-Tを意識してサイトの信頼性を向上させよう
E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)は、Googleが高品質なコンテンツを評価するための重要な指標です。特にYMYL(Your Money or Your Life)と呼ばれる、ユーザーの生活や財産に影響を与える可能性のあるトピックでは、E-E-A-Tの基準がより厳格に適用されます。
E-E-A-Tの各要素を高めるためには、実体験に基づくコンテンツの作成、専門家の知見の活用、業界内での信頼獲得、サイトの透明性と正確性の確保など、様々な施策が必要です。これらは一朝一夕で達成できるものではなく、継続的な取り組みが求められます。
E-E-A-Tの向上は、以下のような具体的なステップで進めることができます:
- 現状分析: 自社サイトのE-E-A-T要素の強みと弱みを評価
- 優先順位の設定: 最も改善が必要な要素と最も効果が期待できる施策を特定
- アクションプランの作成: 短期的、中期的、長期的な改善施策のロードマップを策定
- 施策の実行: 優先順位に基づいた改善施策の段階的な実施
- 効果測定: KPIに基づいた効果の測定と分析
- 継続的な改善: 測定結果に基づいた施策の調整と新たな改善点の特定
E-E-A-Tを意識したサイト運営は、単にSEOのためだけではなく、ユーザーに真の価値を提供し、長期的な信頼関係を構築するためにも不可欠です。今日から自社サイトのE-E-A-Tを見直し、改善に取り組むことで、検索順位の向上だけでなく、ブランド価値の向上にもつなげていきましょう。
最後に、E-E-A-Tは固定された概念ではなく、Googleの評価基準や検索アルゴリズムの変化に合わせて進化していくものです。2022年末には「経験(Experience)」要素が追加されたように、今後も変化する可能性があります。常に最新の動向やベストプラクティスに注目し、柔軟に対応していくことが、長期的なSEO成功の鍵となるでしょう。

記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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