インターネット上で企業や個人に関する誹謗中傷や風評被害が広がると、検索結果にネガティブな情報が表示され、ビジネスや評判に悪影響を及ぼすことがあります。このような状況に対処するための施策として「逆SEO対策」があります。通常のSEOが自社サイトの検索順位を上げることを目的とするのに対し、逆SEO対策はネガティブな情報の検索順位を下げ、ポジティブな情報を上位表示させる施策です。
そこで本記事では、逆SEO対策の基本的な概念から具体的な手法、実施する際の注意点、費用相場まで詳しく解説します。さらに、自社が逆SEOの被害を受けた場合の対処法についても説明し、企業や個人の評判管理に役立つ情報をお届けします。
記事執筆:認定SEOコンサルタント 三田健司
逆SEO対策とは

逆SEO対策とは、ネガティブな情報やコンテンツが検索エンジンの上位に表示されるのを防ぎ、ポジティブな情報を上位表示させるための対策です。具体的には、誹謗中傷や風評被害など、企業や個人のイメージを損なうようなサイトやコンテンツの検索順位を下げる、あるいはそれらのコンテンツよりも自社の正確な情報を含むサイトの順位を上げることを目的としています。
逆SEO対策の目的と重要性
逆SEO対策の主な目的は、以下の通りです:
- 誹謗中傷や風評被害など、ネガティブな情報の影響を最小限に抑える
- 企業や個人の評判やブランドイメージを守る
- 検索結果において正確かつポジティブな情報の可視性を高める
- ビジネスへの悪影響を防止する
インターネット上の情報は、企業の信頼性や個人の評判に大きな影響を与えます。特に検索エンジンの結果は、多くのユーザーが情報を得る際の入口となるため、検索上位に表示される情報の質は極めて重要です。ネガティブな情報が上位表示されることで、潜在顧客の流入減少や既存顧客の信頼低下などの問題が発生する可能性があります。
逆SEOと通常のSEOの違い
逆SEOと通常のSEOは、同じSEO(検索エンジン最適化)という言葉を使用していますが、その目的と手法には大きな違いがあります。
項目 | 通常のSEO | 逆SEO |
---|---|---|
目的 | 自社サイトの検索順位を上げる | ネガティブなサイトの検索順位を下げる |
対象 | 自社のWebサイトやコンテンツ | 他社や第三者が管理するネガティブなサイト |
手法 | コンテンツ最適化、内部/外部リンク構築など | 正確な情報の発信、関連サイトの上位表示、コンテンツ削除依頼など |
期間 | 中長期的な取り組み | 即効性を求める場合が多い |
通常のSEOが自社サイトの順位を上げることに注力するのに対し、逆SEOはネガティブなコンテンツへの対応を重視します。両者は相互に補完し合う関係にあり、効果的な評判管理のためには両方の視点からの施策が必要です。
逆SEO対策の基本的な手順
逆SEO対策を実施する際には、効果的な結果を得るために一定の手順に従って進めることが重要です。以下に、逆SEO対策の基本的な手順を解説します。
現在の検索結果の分析
まず最初に行うべきことは、対象となるキーワードに関する現在の検索結果を詳細に分析することです。この分析では以下の点を確認します:
- どのようなネガティブなコンテンツが検索結果に表示されているか
- それらのコンテンツの検索順位はどのくらいか
- 各サイトのドメインパワーはどれくらいか
- ネガティブなサイトと自社サイトの順位の差はどのくらいか
これらの情報を把握することで、どの程度の対策が必要かを見極めることができます。特に、ネガティブサイトのドメインパワーを把握することは、対策の難易度を判断するうえで重要です。
対策用コンテンツの作成と公開
分析結果をもとに、対策用のコンテンツを作成します。この段階では以下のポイントに注意します:
- 対象キーワードに関連する高品質なコンテンツを作成
- 自社サイト内に専用ページを設置
- 必要に応じてサテライトサイト(関連サイト)を作成
- SNSやブログなど多様なプラットフォームでコンテンツを発信
コンテンツ作成の際は、単にキーワードを詰め込むのではなく、ユーザーにとって価値のある情報を提供することが重要です。また、Google検索のアルゴリズムは高品質なコンテンツを評価する傾向にあるため、質の高いコンテンツ作成に注力しましょう。
検索上位表示のための施策実行
作成したコンテンツを検索上位に表示させるために、以下のような施策を実行します:
- 内部リンク構造の最適化
- 外部サイトからの良質な被リンクの獲得
- SNSでの情報拡散によるシグナル向上
- コンテンツの定期的な更新と改善
これらの施策は通常のSEO対策と共通する部分が多いですが、ネガティブなコンテンツよりも上位表示させることを目的としている点が異なります。
効果測定と継続的な改善
実施した対策の効果を定期的に測定し、必要に応じて戦略を調整します。測定すべき主な指標は以下の通りです:
- 対象キーワードの検索順位の変化
- ネガティブなコンテンツと自社コンテンツの順位差
- 自社コンテンツへの流入状況
- 関連キーワードの検索順位
効果が見られない場合は、コンテンツの質や量の見直し、リンク構築戦略の見直しなどを行い、継続的に改善を図ることが重要です。逆SEO対策は一度行えば終わりではなく、継続的な取り組みが必要な施策です。
効果的な逆SEO対策の手法
逆SEO対策を実施する際に効果的な手法をいくつか紹介します。状況に応じて適切な手法を選択し、組み合わせることで効果を高めることができます。
自社サイトの検索順位向上
最も基本的かつ効果的な逆SEO対策は、自社サイトの検索順位を向上させることです。ネガティブなコンテンツよりも自社の正確な情報を上位表示させることで、ネガティブな情報の影響を軽減できます。
具体的な方法としては以下が挙げられます:
- 対象キーワードに関する高品質なコンテンツの作成
- サイト内の内部リンク構造の最適化
- 外部サイトからの良質な被リンクの獲得
- ユーザーエクスペリエンスの向上によるサイト評価の向上
- コンテンツの定期的な更新と拡充
これらの施策を総合的に実施することで、自社サイトのドメインパワーが向上し、検索順位が上がりやすくなります。特に被リンクの獲得は、Googleのアルゴリズムにおいてサイトの評価を高める重要な要素とされています。
ネガティブコンテンツへの適切な対応
ネガティブなコンテンツに対しては、直接的なアプローチも効果的です。以下のような対応が考えられます:
- コンテンツ発信元への削除依頼
- サービス提供企業(プラットフォーム)への削除申請
- Googleへのコンテンツ削除申請
- DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく申請
- 法的措置の検討
これらの対応は、ネガティブなコンテンツの性質や状況によって適切な方法が異なります。例えば、著作権侵害や個人情報の不正利用がある場合はDMCA申請や法的措置が有効ですが、単なる意見や評価の場合は削除が難しいこともあります。
サテライトサイトの活用
自社サイト以外にも、関連するサテライトサイトを作成して検索結果を占有する戦略も効果的です。サテライトサイトとは、メインサイトとは別に作成する関連サイトのことで、以下のようなものが考えられます:
- 企業の公式ブログ
- 製品やサービス専用のサイト
- 業界情報や専門知識を提供する情報サイト
- FAQ形式の質問回答サイト
サテライトサイトを作成する際は、以下の点に注意することが重要です:
- オリジナルかつ価値のあるコンテンツを提供する
- 明らかなコピーサイトやスパムサイトにならないよう注意する
- 適切な内部リンク・外部リンクを構築する
- 各サイトに固有の価値を持たせる
適切に運用されたサテライトサイトは、検索結果の上位を占めることで、ネガティブなコンテンツを下位に押し下げる効果があります。
SNSプラットフォームの活用
SNSは情報発信力が高く、検索結果にも表示されやすいため、逆SEO対策の重要なツールとなります。主要なSNSプラットフォームそれぞれにアカウントを作成し、定期的に情報を発信することで、検索結果における存在感を高めることができます。
特に効果的なSNSプラットフォームとしては以下が挙げられます:
- X(旧Twitter): リアルタイムの情報発信に適している
- Facebook: 企業ページが検索結果に表示されやすい
- LinkedIn: ビジネス関連の検索に強い
- YouTube: 動画コンテンツが検索結果で目立ちやすい
- Instagram: 視覚的なブランディングに効果的
これらのプラットフォームでの活動は、アカウントを取得するだけでなく、定期的な投稿と適切なプロフィール設定、検索キーワードを含んだ情報発信が重要です。
避けるべき逆SEO手法とリスク
逆SEO対策には効果的な手法がある一方で、避けるべき手法も存在します。これらの手法はGoogleのガイドラインに違反するリスクがあり、発覚した場合はペナルティの対象となる可能性があります。
不正なサイト構築に関するリスク
不正なサイト構築手法として以下のようなものがあります:
- コピーサイトを大量に作成する
- 低品質なコンテンツを大量生成する
- 自動生成コンテンツで多数のサイトを作成する
- 隠しテキストや隠しリンクを使用する
これらの手法は短期的には効果が見られることもありますが、Googleのアルゴリズムアップデートにより発見されやすくなっています。発覚した場合、自社サイトまで検索順位が下がるリスクがあります。
悪質な被リンク戦略のデメリット
以下のような被リンク関連の不正行為もリスクが高いです:
- 低品質なサイトからの大量被リンクを作成する
- リンクファームを利用する
- 関連性のない不自然なアンカーテキストでリンクを大量に獲得する
- リンクの購入や交換を過剰に行う
これらの手法は、Googleのペンギンアップデート以降、発見されやすくなり、ペナルティの対象となりやすくなっています。特に低品質サイトからの大量のリンクは、むしろサイト評価を下げる結果につながる可能性があります。
法的問題を引き起こす行為
法的リスクを伴う以下のような手法も避けるべきです:
- 対象サイトへのハッキングやウイルス感染
- 虚偽のDMCA申請
- 競合サイトへの誹謗中傷
- 個人情報の不正利用
これらの行為は法的責任を問われる可能性があるだけでなく、発覚した場合の企業イメージへのダメージも甚大です。短期的な効果を求めて法的リスクを冒すことは避けるべきです。
検索エンジンのガイドライン違反
Googleをはじめとする検索エンジンは、品質ガイドラインを設けており、これに違反するサイトはペナルティの対象となります。主な違反行為には以下のようなものがあります:
- コンテンツの自動生成
- リンクスキーム
- クローキング(検索エンジンとユーザーに異なるコンテンツを表示)
- 隠しテキストや隠しリンク
- ドアウェイページ(検索エンジン用の低品質なページ)
これらの手法を用いて逆SEO対策を行うと、短期的には効果が見られることもありますが、長期的には大きなリスクを伴います。Googleのアルゴリズムは常に進化しており、不正行為の検出精度は年々向上しています。
逆SEOの被害を受けた場合の対応策
自社が逆SEOの被害を受けた場合、適切に対応することが重要です。以下に具体的な対応策を紹介します。
高品質コンテンツ制作によるドメイン強化
ネガティブなSEO攻撃を受けた場合、最も基本的かつ効果的な対策は、自社サイトのドメインパワーを強化することです。そのためには以下の対策が有効です:
- 高品質なコンテンツの継続的な作成と公開
- ユーザーエクスペリエンスの向上
- サイト構造の最適化
- モバイルフレンドリーな設計
- ページ表示速度の改善
これらの施策は一朝一夕に効果が出るものではありませんが、長期的には最も安定した効果が期待できます。特に高品質なコンテンツの作成は、Googleのコアアルゴリズムアップデートにおいても評価されるため、積極的に取り組むべき対策です。
被リンク元の調査と対策
不自然な被リンクによる攻撃を受けている場合は、以下の対策を行います:
- Google Search Consoleで被リンク元を確認する
- 低品質または不審なサイトからのリンクを特定する
- リンク否認ツールを使用して、Googleにこれらのリンクを無視するよう伝える
- 可能であれば、直接リンク元サイトに削除を依頼する
リンク否認は慎重に行う必要があります。正当な被リンクまで否認してしまうと、かえってSEO効果が低下する可能性があるためです。不審なリンクのみを対象にするよう注意しましょう。
専門家への相談と法的対応
状況が深刻な場合は、専門家に相談することも検討すべきです:
- SEO専門家やコンサルタントへの相談
- ウェブ評判管理の専門業者への依頼
- 弁護士への相談と法的措置の検討
特に以下のような場合は、法的対応を検討する価値があります:
- 明らかな誹謗中傷や虚偽の情報が含まれている
- 著作権侵害がある
- 個人情報の不正利用がある
- 明らかな営業妨害と認められる行為がある
法的措置を講じる場合は、証拠の収集と保全が重要です。ウェブページのスクリーンショットやアーカイブ、アクセスログなど、関連する情報を適切に記録しておきましょう。
Googleへの報告と削除申請
Googleのポリシーに違反するコンテンツについては、Googleに直接報告することも可能です。主な報告対象としては以下のようなものがあります:
- 個人情報の漏洩
- 著作権侵害コンテンツ
- フィッシングサイトやマルウェアサイト
- ヘイトスピーチや暴力的コンテンツ
報告方法は問題の種類によって異なりますが、多くの場合はGoogle Search Consoleを通じて行うことができます。ただし、Googleが削除に応じるのは明確なポリシー違反がある場合に限られるため、単なる評判の問題や批判的なコンテンツについては対応が難しい場合もあります。
逆SEO対策の費用相場と専門業者の選び方
逆SEO対策を専門業者に依頼する場合の費用相場と、信頼できる業者の選び方について解説します。
逆SEO対策の一般的な費用相場
逆SEO対策の費用は、対策の難易度や範囲、期間によって大きく異なります。一般的な費用相場は以下の通りです:
料金形態 | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
固定料金型 | 月額5万円〜50万円 | 毎月一定額を支払い、継続的に対策を実施 |
成果報酬型 | 成功報酬50万円〜300万円 | 目標達成時に報酬を支払う形式 |
初期費用 | 10万円〜30万円 | 調査や分析、戦略立案のための初期費用 |
これらの費用は目安であり、以下の要因によって変動します:
- 対象となるキーワードの競合度
- ネガティブなコンテンツの検索順位やドメインパワー
- 対策の緊急性
- 契約期間
費用を検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と費用のバランスを比較することが重要です。
信頼できる業者の選び方
逆SEO対策を依頼する業者を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう:
- 実績と事例
- 過去の成功事例が公開されているか
- 類似業種での実績があるか
- 事例の詳細が具体的に説明されているか
- 手法と透明性
- 使用する手法が明確に説明されているか
- 不正な手法を提案していないか
- 結果に対する保証の内容が現実的か
- サポート体制
- レポーティングの頻度と内容
- 担当者の専門知識と経験
- 問い合わせへの対応の早さ
- 契約条件
- 契約期間の柔軟性
- 途中解約時の条件
- 成果が出ない場合の対応
これらのポイントを総合的に評価し、信頼できる業者を選択することが重要です。特に不正な手法を提案する業者には注意が必要です。
業者に依頼する際のチェックポイント
業者に依頼する際は、以下の点を明確にしておくことが重要です:
- 目標設定の具体性(例:特定キーワードでの検索順位など)
- 実施される施策の内容と期間
- 報告の頻度と方法
- 追加費用が発生する条件
- 契約解除の条件と手続き
また、契約前には必ず以下の確認を行いましょう:
- 過去の顧客からの評判やレビュー
- 同業他社からの評価
- 会社の事業実績や業歴
業者との良好な関係を構築するためにも、自社の状況や目標を明確に伝え、双方の認識を合わせておくことが重要です。
日常的にできる逆SEO対策の方法
専門業者に依頼せずとも、日常的に取り組むことができる逆SEO対策の方法があります。これらの施策を継続的に実施することで、ネガティブな情報の影響を軽減することが可能です。
ネガティブコンテンツのモニタリング
まず重要なのは、自社に関するネガティブなコンテンツの早期発見です。以下の方法でモニタリングを行いましょう:
- Google Alertsの設定:自社名や関連キーワードの通知を受け取る
- 定期的な検索結果のチェック:主要キーワードでの検索結果を定期的に確認
- SNSモニタリングツールの活用:SNS上の言及をリアルタイムで把握
- レビューサイトの定期確認:業界特化型のレビューサイトを定期的にチェック
早期発見により、問題が大きくなる前に対処することが可能になります。特にソーシャルメディア上での話題は急速に拡散する可能性があるため、リアルタイムのモニタリングが重要です。
ポジティブなコンテンツの継続的発信
ネガティブなコンテンツの影響を薄めるために、ポジティブなコンテンツを継続的に発信することが重要です:
- 企業ブログの定期更新
- プレスリリースの配信
- 専門メディアへの寄稿
- 成功事例やケーススタディの公開
- SNSでの積極的な情報発信
コンテンツを発信する際は、以下の点に注意しましょう:
- 一貫したメッセージング
- 高品質で価値のある情報提供
- 適切なキーワードの自然な使用
- 多様なフォーマット(テキスト、画像、動画など)の活用
継続的なコンテンツ発信は、検索エンジンにおける存在感を高めるだけでなく、ステークホルダーとの関係構築にも役立ちます。
まとめと今後の展望
逆SEO対策は、インターネット上での評判管理において重要な役割を果たします。本記事では、逆SEO対策の基本概念から具体的な手法、注意点、費用相場まで詳しく解説しました。
逆SEO対策の重要ポイント
逆SEO対策を実施する際の重要ポイントをまとめると以下の通りです:
- 現状分析を徹底的に行い、対象となるネガティブコンテンツの特性を把握する
- 高品質なコンテンツ作成と正当なSEO施策を基本とする
- 不正な手法は避け、長期的な視点で対策を実施する
- 専門業者に依頼する場合は、実績や手法を十分に確認する
- 日常的なモニタリングとポジティブコンテンツの発信を継続する
これらのポイントを押さえることで、効果的な逆SEO対策が可能になります。
逆SEO対策は単なる一時的な対処法ではなく、企業のオンライン戦略の一環として継続的に取り組むべき施策です。本記事を参考に、効果的な逆SEO対策を実施し、企業や個人の評判を守るための取り組みを進めていただければ幸いです。

記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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