記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
「Bingは使っている人が少ないから、そこまで気にしなくていいですよね」。数年前まで、サジェスト対策のご相談ではこう言われることがよくありました。
ところが2026年の今、その前提が崩れています。統計サービスStatCounterの集計では、日本国内のデスクトップ検索でBingのシェアが大きく伸び、Googleに迫る水準まで来ているためです。
会社名を調べるとき、多くの人は職場のパソコンを使います。つまり取引先や採用候補者が自社を調べる場面では、Bingで検索されている可能性がかなり高いということです。
この記事では、Bingサジェストがどう決まるのか、なぜ2026年になって重要度が上がったのか、そして自社にネガティブなキーワードが並んでしまったときに何ができるのかを、順番に整理します。あわせて、2025年に施行された法律との関係についても触れます。
Bingサジェストとは?表示される仕組み

入力の途中に候補が出る仕組み
Bingサジェストとは、Bingの検索窓に文字を入力している途中で、その下に自動的に表示される検索候補のことです。オートサジェストや検索候補とも呼ばれます。
候補は人が1つずつ選んでいるわけではなく、実際に多くの人が入力した検索語の傾向をもとに機械的に生成されています。入力中の文字列と一緒に検索されやすい語ほど、上位に出やすくなる仕組みです。
そのため、話題性のある語や、短期間に検索が集中した語ほど候補に現れやすくなります。誰かが意図的に登録したものではない、という点がサジェスト問題の難しさの出発点です。
Googleサジェストとの違い
基本的な考え方はGoogleサジェストと同じですが、母集団になる検索データが異なるため、並ぶ候補は一致しません。同じ会社名を入れても、Googleでは出ないキーワードがBingでは出る、という状況が普通に起こります。
もう1つの違いは利用者層です。BingはWindowsパソコンの標準ブラウザであるMicrosoft Edgeに標準搭載されているため、企業の業務用パソコンからの利用が相対的に多くなります。
この構造の違いが、後述する「BtoBほど影響が大きい」という話につながっていきます。

関連キーワードとの違い
混同されやすいのが、検索結果ページの下部に並ぶ関連キーワードです。こちらは検索を実行したあとに表示されるもので、入力中に出るサジェストとは別の枠組みです。
削除を申し出る場合も、サジェストと関連キーワードでは扱いが分かれることがあります。自社について問題が起きているのがどちらなのかを、最初に切り分けておいてください。
2026年、Bingを取り巻く状況はこう変わった

デスクトップ検索でのシェアが急拡大した
最も大きな変化は、日本国内の検索シェアの構造です。StatCounterの集計をもとにした各種の分析では、2020年ごろのデスクトップ検索はGoogleが8割近くを占め、Bingは1割にも届いていませんでした。
それが2026年時点では、デスクトップでGoogleが5割台、Bingが3割台後半という数字が示されるようになっています。わずか数年で、デスクトップ検索は「Google一強」から「GoogleとBingの二強」に近い形へ変わりました。
ただし数字の読み方には注意が必要です。StatCounterはウェブサイト側のアクセス情報から推計する方式で、実際の検索回数を直接数えているわけではありません。Edgeの標準設定が影響している面もあり、実利用の体感より高めに出ているという指摘もあります。
モバイルでは今もGoogleが圧倒的
一方、スマートフォンではこの傾向がまったく当てはまりません。モバイル検索では引き続きGoogleが8割以上を占め、Bingのシェアは1%前後にとどまるとされています。
AndroidはGoogle検索が標準、iPhoneもSafariの既定がGoogleという構造が理由です。つまり日本の検索市場は、デバイスによって景色がまったく違う二極化した状態にあります。
この二極化は、事業の性質によって優先順位が変わることを意味します。個人向けの店舗ビジネスならモバイル、法人向けのビジネスならデスクトップ、という切り分けが実務上は有効です。
Copilot Searchの登場で検索画面が変わった
もう1つの変化が、MicrosoftがBingにAI回答型の検索体験を組み込んだことです。検索語を入れると、10本のリンクの前にAIがまとめた回答が出る形が一般的になりました。
この変化はサジェストの重みを二方向に動かします。AIが答えを出してくれる分、候補をクリックする機会は減るかもしれません。しかし同時に、入力途中に目に入る候補の言葉そのものが、利用者の印象を左右する度合いは変わっていません。
むしろ、AIが参照する情報源として自社サイトが読まれる時代になったからこそ、その入口である検索窓に何が並ぶかを放置しないほうがよい、というのが筆者の見方です。

会社名のネガティブサジェストが与える実害

読まれる前に印象が決まる
サジェストの怖さは、記事を1本も読まれないうちに印象が固まってしまう点にあります。会社名を入力した瞬間、その横に否定的な言葉が並べば、多くの人はそこで警戒します。
しかも候補は検索エンジンが自動で出したものなので、読み手は「多くの人がそう検索している」と受け取ります。第三者の評価のように見えてしまうところが、通常の口コミよりやっかいです。
BtoBほど影響が大きい理由
前述のとおり、Bingの利用は業務用パソコンに偏っています。取引先の与信確認、仕入れ先の下調べ、採用面接前の企業研究といった場面は、まさに業務用パソコンで行われるものです。
つまりBingサジェストが効いてくるのは、一般消費者ではなく、取引や採用の意思決定に関わる相手だということです。件数は少なくても、1件あたりの影響が大きい相手にこそ見られていると考えてください。
実務でご相談を受ける際も、「問い合わせ数は減っていないが、商談の初回で相手の反応が固い」という形で表面化することがあります。数字に出にくいぶん、気づくのが遅れがちです。
Googleだけ見て安心してしまう落とし穴
サジェスト対策に取り組んでいる企業でも、確認しているのはGoogleだけ、というケースが少なくありません。Bingは母集団が違うため、Googleで消えていてもBingには残っていることがあります。
逆にBingにだけ突然現れることもあります。定期的な確認の対象に、GoogleとYahoo!に加えてBingを必ず入れておいてください。

自社のBingサジェストを調べる手順

まっさらな状態で検索する
調べ方の第一の注意点は、普段使っているブラウザでそのまま検索しないことです。過去の検索履歴が候補に影響し、実際に他人が見ている並びと違うものが表示されてしまいます。
ブラウザのプライベートウィンドウ(Edgeなら「InPrivate ウィンドウ」)を開いてから、bing.comにアクセスしてください。そのうえで会社名を入力し、途中で表示される候補を確認します。
会社名だけでなく、「会社名+スペース」まで入力した状態も見てください。スペースを打った瞬間に別の候補群が出てくることがよくあります。
確認しておく組み合わせ
チェックする語は、正式社名だけでは足りません。略称、サービス名、代表者名、店舗名など、お客様や取引先が実際に入力しそうな言い方をひととおり試してください。
あわせて、GoogleとYahoo!でも同じ語を確認します。3つの検索エンジンで並びを比べておくと、どこで何が起きているのかが一目でわかります。
| 確認する検索エンジン | 主に使われる場面 | 確認の優先度(法人向け事業の場合) |
|---|---|---|
| Bing | 企業の業務用パソコン、Microsoft Edge | 高い |
| スマートフォン全般、個人利用 | 高い | |
| Yahoo! | スマートフォン、年齢層の高い利用者 | 中程度 |
個人向けの店舗ビジネスであれば、この優先度は入れ替わります。自社のお客様がどのデバイスで検索しているかを基準に、順番を決めてください。
検索窓以外もあわせて見る
サジェストだけを見て終わりにせず、実際に検索を実行したあとの画面も確認してください。検索結果の1ページ目に何が並んでいるか、下部の関連キーワードに何が出ているかも、受け手の印象を左右します。
AI回答が表示される場合は、その本文も読んでおいてください。AIが自社について何を根拠にどう説明しているのかは、公式サイトの書き方を見直すヒントになります。
この3層(サジェスト・検索結果・AI回答)をセットで見る習慣がつくと、問題の発生源を早く特定できるようになります。
記録の残し方
確認したら、必ず画面のスクリーンショットを撮って日付とともに保存してください。サジェストは日々変動するため、「あのとき出ていた」ことを後から証明する手段が写真しかありません。
削除を申し出るときも、弁護士に相談するときも、この記録が出発点になります。撮影日、使用した検索エンジン、入力した文字列の3点をセットで残しておくのが実務的です。
頻度は月に1回程度から始めれば十分です。何か問題が起きている時期は、週に1回に増やして推移を追ってください。

Bingサジェストの削除を申し出るには

Microsoftの報告窓口を使う
Bingに表示される内容についての申し出は、Microsoftが用意している報告フォームから行います。名誉毀損やプライバシーの侵害など、申し出の種類ごとに入口が分かれている形です。
フォームの構成や名称は時期によって変わることがあるため、申し出の前にBingのヘルプから最新の入口を確認してください。古い解説記事のリンクをそのまま使うと、すでに移動していることがあります。
申し出の前に整理しておくこと
申し出が通るかどうかは、書き方でかなり変わります。「不快だから消してほしい」ではなく、「事実と異なる」「具体的にどのような権利侵害にあたる」という形に落とし込むことが重要です。
用意しておくとよいのは、対象の検索語(入力した文字列と表示された候補)、確認日時のスクリーンショット、そしてなぜ問題なのかを説明する短い文章です。この3点がそろっていれば、申し出の形は整います。
法人として申し出る場合は、権限のある担当者名と連絡先も明記してください。誰が申し出ているのかが曖昧だと、審査が進みにくくなります。
結果の見通しについて
正直に書きますが、申し出をすれば必ず消えるというものではありません。Microsoftは審査の基準や所要期間を公表していないため、期間や結果を確約することはできません。
また、いったん消えても、検索の傾向が変わらなければ再び表示されることがあります。削除の申し出は「一度きりの解決策」ではなく、後述する平時の取り組みとセットで考えてください。
なお、Bingの削除手順そのものについては別記事でより詳しく手順を追っています。実際に申し出る段階に入っている方は、そちらもあわせてご覧ください。

情報流通プラットフォーム対処法と検索サジェスト

2025年4月に施行された法律
この1年で、ネット上の権利侵害への対応をめぐる制度が変わりました。旧プロバイダ責任制限法を改正した情報流通プラットフォーム対処法が、2025年4月1日に施行されています。
この法律では、規模の大きなプラットフォーム事業者を「大規模特定電気通信役務提供者」として指定し、削除の申出への対応を速めることと、削除運用を透明化することを義務づけています。削除の申出に対しては原則7日以内に判断し、結果を申出者に通知することが求められます。
指定されたのはどの事業者か
総務省は2025年4月30日と5月30日の2回に分けて、指定する事業者を公表しました。1回目はGoogle LLC(対象サービスはYouTube)、LINEヤフー、Meta Platforms、TikTok、X Corp.の5社です。
2回目はPinterest、サイバーエージェント(Amebaブログ)、爆サイ.comの運営会社、ドワンゴ(ニコニコ動画)が加わりました。いずれも投稿型・交流型のサービスが対象になっています。
検索サジェストはこの枠の外にある
ここが実務上とても重要な点です。公表された指定一覧を見ると、Microsoftは含まれていません。またGoogle LLCが指定されている対象サービスはYouTubeであり、検索やサジェストではありません。
つまり検索エンジンのサジェストについては、この法律が定める7日以内の判断・通知という仕組みを当てにすることができません。各社が独自に用意した窓口に申し出る、という従来どおりのやり方になります。
なお総務省は、指定を追加で行うことを検討中であり、行う場合は改めて公表すると述べています。今後の状況によっては扱いが変わる可能性もあるため、最新の公表内容を確認してください。
法的な判断が必要になる場面では、弁護士など専門家にご相談ください。ここに書いているのはあくまで、公表された制度の枠組みを整理したものです。
削除が通らないときの選択肢

法的手続きという道
事業者への申し出で解決しない場合、裁判所の手続きを通じて削除を求める方法があります。仮処分という形で、本訴より短い期間で判断を得る手続きが使われることが一般的です。
ただし費用と時間がかかり、認められるかどうかはケースによります。この判断は法律の専門領域なので、必ず弁護士にご相談ください。
元になっている情報に対処する
サジェストは検索の傾向を反映したものなので、そう検索させている原因がどこかにあります。掲示板の書き込み、まとめサイトの記事、SNSの投稿などです。
元の情報が違法・有害なものであれば、そちらの削除を求めるほうが根本的です。前述のとおり、投稿型サービスのほうは情報流通プラットフォーム対処法の対象になっており、対応が速まる制度が整っています。
サジェストだけを見て消そうとするより、原因側から手をつけるほうが結果的に早いことがあります。両方を並行して進めるのが現実的です。
検索される言葉そのものを変える
もう1つの方向が、自社について前向きな検索を増やしていく取り組みです。「会社名+サービス名」「会社名+実績」といった語で検索される機会が増えれば、候補の顔ぶれは変わっていきます。
自社サイトでの情報発信、採用ページの充実、プレスリリース、SNSでの発信などが手段になります。時間はかかりますが、削除申請と違って自社の裁量で進められるのが利点です。
なお、検索回数を人工的に水増しするようなサービスには手を出さないでください。効果が続かないうえ、検索エンジン側の対策で無効化されるリスクがあります。

平時にやっておく予防とモニタリング

誰が見るのかを決めておく
サジェストの問題は、担当者が決まっていない会社ほど発見が遅れます。まずは月1回、誰がどの検索エンジンを確認するのかを決めてください。
広報や総務の担当者が兼務する形で構いません。大切なのは、確認する日が決まっていることと、記録が同じ場所に貯まっていくことです。
発見したときの初動を決めておく
実際に問題を見つけたとき、慌てて動くと状況を悪化させることがあります。誰に報告するのか、外部に相談するかどうかを誰が決めるのかを、平時のうちに決めておいてください。
特に避けたいのが、担当者が個人の判断でネット上に反論を書き込むことです。反論そのものが新しい話題になり、検索が増えて逆効果になることが少なくありません。
自社サイトを情報源として整えておく
予防として最も効果が長続きするのが、自社サイトの整備です。事業内容、沿革、代表者の経歴、実績、よくある質問といった一次情報がそろっていれば、検索する人はまずそこを見ます。
AI検索が広がった今、この価値はさらに上がりました。AIが自社について答えるとき、参照する情報源として自社サイトが使われるためです。
ネガティブな候補が並んでも、その先に信頼できる公式情報があれば、受け手の判断は変わります。守りの意味でも、公式サイトの中身を厚くしておくことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)

Bingサジェストは自分で操作できますか
特定の言葉を自由に登録したり並べ替えたりする機能は用意されていません。候補は実際の検索傾向をもとに機械的に生成されるためです。
できるのは、問題のある候補について削除を申し出ることと、前向きな検索が増えるように情報発信を続けることの2つです。「確実に消せる」とうたうサービスには慎重に接してください。
削除にはどのくらい時間がかかりますか
Microsoftは審査の所要期間を公表していないため、目安をお伝えすることができません。数日で状況が変わることもあれば、返答があっても削除されないこともあります。
2025年施行の情報流通プラットフォーム対処法にある7日以内の判断・通知は、指定された投稿型サービスに関する仕組みです。検索サジェストには適用されないという点にご注意ください。
Googleで消えればBingでも消えますか
消えません。GoogleとBingは別の会社が運営する別のサービスで、候補の元になるデータも審査の窓口も異なります。
それぞれの検索エンジンに対して、個別に確認と申し出を行う必要があります。Yahoo!についても同様に、独立して確認してください。
Bingは利用者が少ないので後回しでよいのでは
スマートフォンの利用に限れば、その判断も一理あります。しかしデスクトップ、とりわけ企業の業務用パソコンではシェアが大きく伸びました。
取引先や採用候補者は業務用パソコンから調べます。法人向けの事業を行っている会社ほど、Bingを後回しにするリスクは大きいと考えてください。
対策会社に依頼したほうがよいですか
確認と記録、そして削除の申し出までは自社でも進められます。まずは現状を正確に把握し、そのうえで手に負えない部分だけ外部に頼むという順序をおすすめします。
依頼先を選ぶ際は、成果の定義と料金体系、そして「消えなかった場合にどうなるのか」を必ず書面で確認してください。断定的な保証をうたう会社には注意が必要です。
まとめ|Bingを「その他」に分類する時代は終わった

Bingサジェストは、検索窓に文字を入れた途中で表示される検索候補です。実際の検索傾向をもとに機械的に生成されるため、誰かが意図して並べたものではありません。
この1年で状況は大きく変わりました。StatCounterの集計では、日本のデスクトップ検索におけるBingのシェアが3割台後半まで伸び、Googleとの差が縮まっています。一方でモバイルは今もGoogleが8割超という、二極化した構造です。
もう1つの変化が制度面です。2025年4月に情報流通プラットフォーム対処法が施行され、指定された大規模プラットフォームには7日以内の判断・通知が義務づけられました。ただし指定されたのは投稿型のサービスで、検索エンジンのサジェストはこの枠の外にあります。
だからこそ、自社で守る仕組みが要ります。月1回の確認、記録の保存、問題を見つけたときの初動、そして自社サイトという一次情報の整備。この4つが、遠回りに見えて最も効きます。
今日すぐできることを1つ挙げるなら、Edgeの InPrivate ウィンドウを開いて自社名をBingで検索し、その画面を日付つきで保存してみてください。何も問題がなければ安心材料になりますし、何かあれば早く動けます。

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株式会社アクセス・リンクは、栃木県下野市を拠点に、SEOコンサルティング、サジェスト対策、WordPressによるホームページ制作を行っています。代表の三田健司は全日本SEO協会の認定SEOコンサルタントで、Web制作の実務に10年以上、延べ1,000件以上の案件に携わってきました。
サジェストの問題は、現状を正確に把握するところから始まります。どの検索エンジンで何が出ているのか、原因になっている情報がどこにあるのか。そこを整理したうえで、削除の申し出と情報発信のどちらから着手すべきかをご提案します。
会社名やサービス名のサジェストでお困りの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。現状の確認とご相談は無料で承っております。

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Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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