Webサイトにおいて画像は重要な要素ですが、その画像に設定する「alt属性」がSEOにどのような影響を与えるのか、正しく理解していますか?alt属性は単なるHTMLの一部ではなく、検索エンジン最適化やユーザビリティの向上に大きく貢献する重要な要素です。
本記事では、alt属性の基本的な概念から、SEOへの効果、最適な記述方法、確認方法まで、SEOコンサルタントの視点から徹底的に解説します。正しいalt属性の設定方法を理解し、Webサイトのパフォーマンス向上に役立ててください。
記事執筆者:認定SEOコンサルタント 三田健司
alt属性とは?基本概念と役割

alt属性は、HTMLにおいて画像を表示するimg要素に付与される属性のひとつで、Alternative Text(代替テキスト)の略です。主に画像が表示されない場合に、その代わりとなるテキスト情報を提供する役割を持っています。
<img src="example.jpg" alt="企業名のロゴ画像">
上記のようなHTMLコードでは、「alt=”企業名のロゴ画像”」の部分がalt属性にあたります。
alt属性の基本的な役割
alt属性には以下のような基本的な役割があります:
- 画像の代替テキスト: 何らかの理由で画像が表示されない場合に、その代わりとなるテキスト情報を提供します。
- アクセシビリティの向上: 視覚障害のあるユーザーが使用するスクリーンリーダーなどの支援技術が画像の内容を理解するための情報となります。
- 検索エンジンへの情報提供: Googleなどの検索エンジンのクローラーは画像そのものを「見る」ことができないといわれているため、alt属性を通じて画像の内容を理解します(昨今のAIの進化により、画像の内容を理解している可能性はあり)。
alt属性とtitle属性の違い
alt属性と混同されがちなものに「title属性」があります。両者はどのように違うのでしょうか?
項目 | alt属性 | title属性 |
---|---|---|
目的 | 画像が表示されない場合の代替テキスト | 補足情報の提供 |
表示 | 画像が読み込めない場合に表示 | マウスホバー時にツールチップとして表示 |
SEO効果 | 高い(検索エンジンの画像理解に重要) | 限定的 |
適用要素 | img要素に限定 | ほとんどのHTML要素に適用可能 |
アクセシビリティ | スクリーンリーダーが読み上げる | 読み上げ機能との相性は良くない |
このように、alt属性はSEOおよびアクセシビリティにおいて非常に重要な役割を果たしますが、title属性はユーザー体験を補足するオプション的な要素と言えます。
alt属性との組み合わせとして、画像に対してはfigcaption要素を使用した「キャプション」も活用できます。キャプションは画像の下や周辺に表示されるテキストで、すべてのユーザーに見えるという特徴があります。
項目 | alt属性 | キャプション |
---|---|---|
表示対象 | 画像が表示されない場合のみ | すべてのユーザー |
SEO効果 | 画像検索に効果的 | 通常のテキストコンテンツとして評価 |
情報量 | 簡潔に | より詳細な説明が可能 |
実装方法 | HTML属性 | figcaption要素や通常のテキスト |
理想的には、alt属性とキャプションを併用し、それぞれの特性を活かした説明を行うことがベストプラクティスです。
alt属性のSEO効果
alt属性は、以下のような点でSEOに効果をもたらします。
画像検索での最適化
alt属性は、Googleなどの検索エンジンが画像の内容を理解するための重要な手がかりとなります。適切なalt属性を設定することで:
- 画像検索結果での表示機会の増加
- 画像検索からのトラフィック獲得
- 検索エンジンのクローラーによる画像コンテンツの理解促進
などの効果が期待できます。
Googleの画像検索SEOベストプラクティスによると、適切なalt属性は画像検索での表示機会を大きく向上させる要素として挙げられています。
検索エンジンによるコンテンツ理解の促進
検索エンジンは、Webページのコンテンツの関連性や質を評価する際に、テキストだけでなく画像の内容も考慮します。alt属性によって画像の内容が明確に伝わることで、ページ全体のコンテンツの文脈理解が促進されます。
Google検索セントラルの公式ガイドラインでも、画像の周辺テキストとalt属性の一貫性が重要であると強調されています。
アンカーテキストとしての機能
画像にリンクが設定されている場合、そのalt属性はアンカーテキストとして機能します。アンカーテキストはSEOにおいて重要な要素であり、リンク先のページの関連性を示す指標となります。
Mozの調査によると、適切なアンカーテキストは検索エンジンのアルゴリズムにおいて重要な重み付け要素になっています。
モバイルSEOへの貢献
モバイル環境では、通信状況によって画像の読み込みが遅延したり失敗したりすることがあります。このような状況でもalt属性があれば、ユーザーにコンテンツの意図が伝わりやすくなり、結果としてページの離脱率低下につながります。
Mobile-First Indexingにおいて、Googleはモバイルユーザーの体験を重視しており、通信状況が不安定な状況でもコンテンツが理解できることを評価します。
アクセシビリティとの相関性
Googleを含む検索エンジンは、Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)に準拠したアクセシブルなサイトを好む傾向があります。alt属性は、WCAGにおける重要な要素の一つであり、アクセシビリティの向上を通じて間接的にSEOにプラスの影響を与えます。
alt属性の記述方法とベストプラクティス
alt属性を効果的に記述するための基本ルールと実践的なテクニックを紹介します。
基本的な記述ルール
- 具体的かつ簡潔に: 画像の内容を具体的に説明しつつも、簡潔な文章で記述します。
- 文脈を考慮: ページ全体の文脈や、その画像がページ内で果たしている役割を考慮した記述にします。
- 自然な日本語で: 検索エンジンのためだけでなく、人間が読んでも自然な日本語で記述します。
- 適切な長さ: 一般的には125文字以内に収めることが推奨されています。最小限の長さで最大限の情報を伝えましょう。
- 装飾目的の画像には空のalt属性: 純粋に装飾目的の画像には、alt=””と設定してスクリーンリーダーが不要な情報を読み上げないようにします。
効果的なalt属性の例
画像の種類 | 良い例 | 悪い例 | 理由 |
---|---|---|---|
企業ロゴ | alt=”株式会社〇〇のロゴ” | alt=”logo.png” | ファイル名ではなく内容を説明 |
製品写真 | alt=”軽量折りたたみ傘の製品写真” | alt=”umbrella” | 具体的な特徴を含めている |
グラフ | alt=”2020〜2024年のSEO市場成長率を示す棒グラフ” | alt=”グラフ” | グラフが示す情報を含めている |
装飾用画像 | alt=”” | alt=”decoration” | 意味を持たない装飾は空にする |
バナー広告 | alt=”5月限定SEOコンサルティング20%オフキャンペーン” | alt=”banner” | オファーの内容を明確に伝えている |
モバイルページへの対応
レスポンシブデザインのサイトでは、同じ画像がデスクトップとモバイルの両方で使用されることがあります。この場合、どちらの環境でも適切に機能するalt属性を設定することが重要です。特に、モバイル環境では通信状況によって画像が表示されないケースが多いため、alt属性の重要性が高まります。
キーワードの適切な使用法とペナルティ回避
alt属性にSEOキーワードを含めることは効果的ですが、以下の点に注意が必要です:
- キーワードの詰め込みを避ける(スパム行為とみなされる可能性)
- 自然な文脈でキーワードを使用する
- 画像の内容と関連性のあるキーワードのみを使用する
- 同じalt属性を複数の画像に使用しない
- 過度に長いalt属性の使用を避ける
- 画像の内容と全く関係ないalt属性を設定しない
良い例と悪い例
良い例:
<img src="seo-analysis.jpg" alt="サイト分析に基づくSEO対策のグラフ">
悪い例:
<img src="graph.jpg" alt="SEO SEO対策 上位表示 キーワード分析 アクセスアップ 集客">
Googleはalt属性のスパム的な使用に対してペナルティを課す可能性があるため、読んで自然な記述を心がけましょう。
alt属性の確認方法

既存のWebサイトのalt属性を確認・検証するための方法をいくつか紹介します。
Googleの検証機能を活用する
Google Chromeのデベロッパーツールを使うと、各画像のalt属性を簡単に確認できます:
- 確認したいページを開き、右クリックして「検証」を選択
- HTML要素内でimg要素を探し、alt属性の内容を確認
詳しい使い方はGoogle公式のデベロッパーツールガイドで確認できます。
Chrome拡張機能「Alt&Metaviewer」の利用
より簡単にalt属性を確認したい場合は、Chrome拡張機能「Alt&Metaviewer」が便利です:
- Google Chromeウェブストアから「Alt&Metaviewer」をインストール
- 確認したいページを開き、拡張機能のアイコンをクリック
- ページ内のすべての画像とそのalt属性が一覧表示される
この拡張機能を使えば、一度にすべての画像のalt属性を確認できるため、大規模なサイトでも効率的に確認作業が行えます。
専門的なSEO分析ツールの活用
より詳細なalt属性分析や大規模サイトの一括チェックには、以下のような専門ツールが有効です:
- Screaming Frog SEO Spider: サイト全体をクロールして画像のalt属性を一覧で確認できる高機能ツール
- SEMrush: サイト分析機能の中でalt属性を含む画像SEO評価が可能
- Ahrefs: コンテンツ監査機能でalt属性の最適化状況をチェック
これらのツールは有料ですが、無料プランや試用版もあり、専門的なSEO分析が可能です。特にScreaming Frogの無料版では、500URLまでなら制限なく分析できるため、中小規模のサイトであれば十分活用できます。
Google Search Consoleによる画像検索パフォーマンス確認
Google Search Consoleでは、自サイトの画像検索パフォーマンスを確認できます:
- Google Search Consoleにサイトを登録
- パフォーマンスレポートで「検索タイプ」フィルターを「画像」に設定
- クリック数、表示回数、CTR、掲載順位などのデータを確認
alt属性を最適化した後にこれらの指標がどう変化するかを追跡することで、最適化の効果を測定できます。
alt属性の効果測定とデータ分析

alt属性の改善がSEOにどのような効果をもたらすのか、実際のデータと分析手法を紹介します。
効果測定の方法
alt属性の最適化効果を測定するためには、以下の指標を確認すると良いでしょう:
- 画像検索からの流入数の変化:Google Search Consoleで「検索タイプ」を「画像」に絞り込んで確認
- 関連キーワードの順位変動:画像に関連するキーワードでの検索順位の変化
- ユーザー行動指標の変化:Google Analyticsでの離脱率やページ滞在時間などの変化
- アクセシビリティスコアの改善:Lighthouse等のツールでのスコア変化
特にLighthouseは、Googleが開発したオープンソースの自動化ツールで、Webページの品質を測定します。アクセシビリティの項目でalt属性の状態が評価されるため、改善前後の比較に有効です。
A/Bテストによる検証
alt属性の最適化効果を正確に測定するためには、A/Bテストを実施することも効果的です。サイトの一部のページだけalt属性を最適化し、残りはそのままにして比較することで、改善効果を明確に把握できます。
A/Bテストの設計と分析には、Google OptimizeやOptimizelyなどのツールが活用できます。
この手法を使った検証では、特に以下のような傾向が見られました:
- 画像が多いページほど、alt属性最適化の効果が大きい
- 専門性の高い内容の画像ほど、適切なalt属性による検索流入増加率が高い
- モバイルユーザーに対する効果がデスクトップより大きい
HTMLにおける画像関連の要素と最適化
HTML内で画像を最適化するためには、alt属性以外にも活用できる要素があります。それぞれの特性を理解し、適切に組み合わせることでSEO効果を高めることができます。
ファイル名の最適化
alt属性だけでなく、画像のファイル名自体もSEOに影響を及ぼす可能性があります。
<!-- 良い例 -->
<img src="blue-lightweight-umbrella-2024.jpg" alt="軽量折りたたみ傘 ブルー 2024年モデル">
<!-- 悪い例 -->
<img src="IMG_1234.jpg" alt="軽量折りたたみ傘 ブルー 2024年モデル">
ファイル名にもキーワードを含めることで、alt属性とともに相乗効果が期待できます。特に画像検索では、ファイル名も重要な要素として評価されます。
画像のサイズと読み込み速度の最適化
画像のサイズや読み込み速度もSEOに影響します。最適化された画像は:
- ページの読み込み速度を向上させる
- モバイルユーザーのデータ使用量を削減する
- Googleのページ体験シグナルに好影響を与える
Google公式のWeb Vitalsでは、画像の最適化がページパフォーマンスに与える影響について詳しく解説されています。特にLargest Contentful Paint (LCP)の指標は、画像の読み込み速度に大きく影響されるため、注目すべき要素です。
画像サイズの最適化には以下のツールが役立ちます:
- TinyPNG: 画質をほとんど落とさずに画像ファイルサイズを圧縮
- Squoosh: Googleが開発した高機能な画像圧縮ツール
- WebP Converter: 次世代フォーマットのWebPへ変換
構造化データによる画像情報の強化
Schema.orgの構造化データを使用することで、画像に関するより詳細な情報を検索エンジンに伝えることができます。特に商品画像やレシピ画像など、特定の文脈で使われる画像には有効です。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org/",
"@type": "ImageObject",
"contentUrl": "https://example.com/photos/1x1/photo.jpg",
"name": "軽量折りたたみ傘 ブルー 2024年モデル",
"description": "防水性と耐風性を兼ね備えた最新の軽量折りたたみ傘",
"creditText": "© 2024 傘専門店"
}
</script>
構造化データの実装と検証には、Googleの構造化データテストツールを活用するとよいでしょう。
業界別のalt属性最適化戦略
業界や目的によって、alt属性の最適な活用方法は異なります。それぞれの特性に合わせた戦略を紹介します。
Eコマースサイトでの最適化戦略
商品画像が多数あるEコマースサイトでは、検索からの流入と購買意欲向上の両面でalt属性が重要です:
<!-- 良い例 -->
<img src="product-123.jpg" alt="軽量折りたたみ傘 ブラック 耐風構造 自動開閉機能付き">
<!-- 悪い例 -->
<img src="product-123.jpg" alt="傘">
効果的なalt属性構成要素:
- 商品名(先頭に配置)
- カテゴリ情報
- 主要な特徴(2-3点)
- 色やサイズなどの変数
- モデル番号(必要に応じて)
特に在庫管理システムと連携して、商品情報から自動的にalt属性を生成するシステムを構築することで、大量の商品画像にも対応できます。ShopifyやWooCommerceなどのEコマースプラットフォームでは、商品情報を活用した自動alt属性生成機能を提供しています。
コンテンツメディアでの最適化戦略
ニュースサイトやブログなどのメディアサイトでは、コンテンツ強化とSEO効果の両面から最適化します:
<!-- 良い例 -->
<img src="tokyo-summit-2024.jpg" alt="2024年東京デジタルマーケティングサミットでの基調講演の様子">
<!-- 悪い例 -->
<img src="photo.jpg" alt="講演">
メディアサイトでのalt属性最適化ポイント:
- 画像が伝える主要なメッセージを先頭に
- 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)の要素を簡潔に含める
- 記事のテーマに関連するキーワードを自然に組み込む
- 図表やインフォグラフィックは特に詳細なalt属性を設定
記事作成ワークフローの中でalt属性チェックを組み込み、画像挿入時に適切な設定がされるようにすることが重要です。WordPressユーザーはYoast SEOやRank Mathなどのプラグインを活用し、alt属性のチェック機能を導入することをお勧めします。
ポートフォリオサイトでの特殊戦略
デザイナーや写真家のポートフォリオサイトでは、作品の特性を伝えるalt属性が重要になります:
<!-- 良い例 -->
<img src="branding-project.jpg" alt="自然食品ブランドのCI設計 コーポレートカラー:オーガニックグリーン ターゲット:30代ヘルスコンシャス層">
作品を適切に伝えるための要素:
- 作品のタイトルや名称
- 使用した技法や素材
- 制作の背景やコンセプト
- 主要なデザイン要素
作品の特性を伝えることで、検索エンジンからの適切な評価と、視覚障害があるユーザーへの情報提供の両方を実現します。ポートフォリオサイト向けのテーマやプラットフォームについては、BehanceやAdobe Portfolioなどがalt属性の設定を重視したシステムを提供しています。
まとめ:alt属性を活用してSEOを強化しよう
alt属性は、検索エンジン最適化において重要な要素であることが分かりました。適切に設定されたalt属性は、検索エンジンが画像の内容を理解し、関連検索での表示機会を増やします。また視覚障害のあるユーザーを含め、あらゆるユーザーに内容を伝えることができます。通信状況が悪い環境でも情報を伝える役割も担っており、結果として画像検索からのトラフィックを増加させることにもつながります。
alt属性を設定する際は、画像の内容を具体的かつ簡潔に説明するよう心がけましょう。関連するキーワードを自然に含めることも効果的です。装飾目的の画像についてはalt=””とし、過度なキーワードの詰め込みは避けるべきです。特にモバイルページには必ずalt属性を設定することが、スマートフォン中心の現代では重要な要素となっています。
効果的なalt属性の設定は、小さな労力で大きなSEO効果をもたらす可能性があります。サイト内の画像全体のalt属性を見直し、最適化することで、より効果的なSEO対策を実現しましょう。画像が多いサイトであれば特に、この対策の効果は大きく表れるでしょう。

記事執筆・株式会社アクセス・リンク 代表取締役
Webサイト制作歴10年以上の経験を元にSEOコンサルティングを行い、延べ1,000件以上のサポート実績を誇ります。個人事業主や中小企業向けのホームページ制作やSEOコンサルティングを得意としています。
(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント
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